
TERAKOYA講座第5回|BtoBマーケティングのKPI設計とは?売上につなげるための数値設計と考え方
TERAKOYAとは株式会社ベーシックが提供する、BtoBマーケティングの戦略設計からリード獲得、ナーチャリング、営業連携までを体系的に学べる全6回の実践型研修プログラムです。詳細はこちら
BtoBマーケティングに取り組んでいるものの、「リードは増えているのに売上につながらない」「どの指標を追うべきか分からない」といった課題を感じていませんか。
本記事は、これまで6,000社以上のBtoBマーケティングを支援してきた株式会社ベーシックが実際に提供している研修プログラムの内容をもとに構成しています。
本シリーズでは、その研修内容をもとに、各テーマごとに分解しながら、実務で活用できる形で解説していきます。
今回は第5回として、「KPI設計」にフォーカスし、BtoBマーケティングを売上につなげるための数値設計の考え方を解説します。
なぜBtoBマーケティングは“数字で失敗する”のか
BtoBマーケティングで数字の管理がうまくいかないのは、追っている指標が売上に結びついていないケースが多いからです。リード数だけを見ていても、商談化率や受注率が伴っていなければ、事業成果にはつながりません。
また、営業とマーケティングで見ている数字が違うと、どこに課題があるのかも分かりにくくなります。指標の分断が、改善の分断を生むことをまず理解する必要があります。
リード数だけを追ってしまっている
マーケティング部門では、リード獲得数が分かりやすい成果指標になりやすい一方で、それだけでは質の差が見えません。大量のリードが取れていても、商談化しなければ売上にはつながりません。
そのため、単純な件数ではなく、売上に近づくリードをどれだけ生み出せているかまで見る必要があります。
売上とのつながりが見えていない
リード獲得と売上の間には、MQL、商談、受注など複数のステップがあります。この途中の数字が見えていないと、どこがボトルネックなのか判断できません。
- リードは足りているのか
- 商談化率が低いのか
- 受注率に課題があるのか
この分解がないままでは、改善の打ち手も曖昧になります。
営業とマーケの指標が分断されている
マーケティングはリード数、営業は商談数や受注数だけを見る状態だと、部門ごとに最適化が起こりやすくなります。その結果、「数は取れている」「いや質が悪い」という認識のズレが起こります。
部門間のズレを防ぐには、売上から逆算した共通指標で会話することが重要です。
BtoBマーケティングは売上から逆算する
KPI設計の出発点は売上です。どれだけリードを集めるかではなく、どれだけ売上を作る必要があるかから逆算することで、はじめて必要な商談数やリード数が見えてきます。

売上を基準に置くことで、マーケティングの役割も明確になります。単に件数を増やすのではなく、事業目標に必要なリードを供給することが求められます。
最終ゴールは売上である
マーケティング活動の目的は、PVやリード件数を増やすこと自体ではありません。最終的に事業成果へつながっているかどうかが重要です。
そのためKPI設計では、まず売上目標を起点に置き、そこから必要な商談数や受注数を考える必要があります。
商談数・受注数から逆算する
売上目標が決まれば、平均受注単価や受注率をもとに必要な受注件数を算出できます。さらに商談化率まで分解すると、必要な商談数も見えてきます。
このように、上流の目標を下流へ分解していくことで、マーケティングと営業の数字がつながります。
マーケの役割は必要なリード数を供給すること
営業が受注を担う一方で、マーケティングはその前段階として、必要な質と量のリードを供給する役割を持ちます。ここでいう「必要なリード数」は、売上から逆算された数字です。
つまり、マーケティングKPIは独立した数字ではなく、営業成果と連動した数字として設計すべきです。
KPI設計の基本構造
KPI設計では、売上から商談、商談からリードへと順に分解していきます。途中の転換率を設定することで、各フェーズでどれだけの件数が必要かを算出できます。

売上 → 商談 → リードへ分解する
売上目標だけでは、実際にどれだけの活動量が必要か分かりません。そこで、売上を受注件数へ、受注件数を商談数へ、商談数をリード数へと分解します。
この分解を行うことで、マーケティングが担うべき数字が具体的になります。
各フェーズの転換率を設定する
分解しただけでは足りず、各段階でどれくらい次のフェーズへ進むかという転換率も設定する必要があります。商談化率や受注率が現実に合っていないと、必要数の見積もりもずれます。
フェーズ | 見る数字 |
|---|---|
リード → 商談 | 商談化率 |
商談 → 受注 | 受注率 |
受注 → 売上 | 平均受注単価 |
必要なリード数を算出する
転換率を踏まえて逆算すると、売上目標を達成するために必要なリード数が算出できます。この数字が分かると、月次でどれだけ獲得しなければいけないか、現状とどれだけ差があるかも明確になります。
目標件数を感覚で置くのではなく、計算で置くことがKPI設計の基本です。
KPI設計の具体イメージ
数値分解を行うと、必要なリード数や不足しているフェーズが見えやすくなります。これにより、どこを改善すべきかの優先順位も立てやすくなります。

数値を分解すると必要なリード数が見える
たとえば売上目標と平均受注単価が分かれば、必要な受注件数が出ます。そこに受注率と商談化率を掛け戻していけば、必要なリード数も見えてきます。
この考え方によって、「とりあえず前年より増やす」といった曖昧な目標から脱却できます。
転換率によって成果は大きく変わる
同じリード数でも、商談化率や受注率が少し変わるだけで売上は大きく変動します。だからこそ、量だけでなく質や転換率もKPI設計に組み込む必要があります。
リード数が足りないのか、商談化率が低いのかを切り分けることが、適切な改善につながります。
現実的な目標設定が重要になる
理想値だけでKPIを置いてしまうと、現場で達成不可能な計画になりやすくなります。過去実績や現状の転換率を踏まえたうえで、改善可能な範囲を見込んで設計することが重要です。
現実的な目標でなければ、運用も改善も続きません。
MQLとは何か
リード数を追うだけでは成果が見えない理由のひとつが、すべてのリードを同じ価値で見てしまうことです。そこで重要になるのがMQLという考え方です。

MQLは、営業に渡すべき状態まで温まったリードを定義するための指標です。
すべてのリードが同じ価値ではない
資料請求をしただけのリードと、複数ページを閲覧し比較検討しているリードでは、商談化の可能性が異なります。その違いを無視すると、数は増えても営業成果は伸びにくくなります。
リードの“質”を見るために、MQLの考え方が必要になります。
営業に渡すべきリードを定義する
MQLは、営業に渡してもよい状態を定義するための仕組みです。基準が曖昧なままだと、営業は「質が悪い」と感じ、マーケは「数は渡している」と感じやすくなります。
共通定義を作ることで、部門間の会話が具体的になります。
MQLは“質”を担保する指標
MQLを導入すると、単なる件数ではなく「営業成果につながりやすいリード」がどれだけあるかを見られるようになります。KPI設計に質の視点を入れるためにも重要な指標です。
MQLの定義方法
MQLは感覚で決めるのではなく、属性情報と行動情報を組み合わせて定義していきます。必要に応じてスコアリングも使いながら、営業にとって意味のある基準を作ることが重要です。

属性(企業規模・業種など)
自社にとって対象となる企業規模や業種、役職などを整理することで、そもそもターゲットに合っているかを判断できます。属性条件が合っていなければ、行動が活発でも受注につながりにくいケースがあります。
行動(閲覧・DL・参加など)
資料DL、料金ページ閲覧、セミナー参加などの行動は、検討度を測る重要なシグナルです。どの行動を重視するかは、商談化につながりやすいパターンをもとに決めると精度が上がります。
スコアリングで判断する
属性と行動を点数化し、一定以上をMQLとする方法も有効です。基準を明文化しておくことで、誰が見ても同じ判断をしやすくなります。
ただし、スコアだけで完結させず、営業フィードバックをもとに見直す運用が欠かせません。
KPIとMQLを連動させる
KPI設計を本当に売上につなげるには、MQLを含めた設計にする必要があります。量だけでなく、営業へ渡すべき質を担保したうえで数値管理することで、はじめて成果とのつながりが見えます。
KPIはMQLベースで設計する
営業成果に結びつくリードを管理するためには、単純なリード数ではなく、MQL数をKPIに置くことが有効です。これにより、質の低いリードで件数だけを稼ぐ状態を防ぎやすくなります。
商談化率を踏まえて調整する
MQLを設定しても、商談化率が低ければ基準が厳しすぎる、あるいは緩すぎる可能性があります。設計したら終わりではなく、商談化率を見ながら調整することが重要です。
営業と共通指標として運用する
MQLを共通指標にすると、営業とマーケティングが同じ基準で成果を見やすくなります。ズレが減ることで、改善の議論も具体的になります。
売上から逆算したKPIと、営業と合意したMQL定義を連動させることが、BtoBマーケティングの数値設計では欠かせません。
まとめ
KPI設計では、リード件数だけを追うのではなく、売上から逆算して必要な商談数・リード数を設計することが重要です。
また、すべてのリードを同じ価値で扱わず、MQLによって“質”を定義することで、営業成果とのつながりが見えやすくなります。
営業とマーケティングが共通指標で連携できる状態を作ることが、BtoBマーケティングを売上につなげるための第一歩です。











