
マーケティング部門の役割とは?リードを商談につなげる立ち上げ5ステップ
マーケティング部門の役割とは、市場調査・リード獲得・ブランド構築を通じて、企業の売上成長を「仕組み」で支えることです。BtoB企業では「デマンドジェネレーション(見込み顧客の創出)」が中核ミッションであり、立ち上げには一人目マーケターの採用から段階的に組織化するのが現実的です。
「マーケティング部門を作りたいが、何から手をつければいいか分からない」「部門はあるのに、リードが商談につながらない」——BtoB企業のマーケティング担当者や経営者から、こうした声を多くいただきます。
営業の属人的な活動に頼る時代は終わりつつあります。ある調査では、82%の顧客が営業担当者との商談時には製品やサービスの絞り込みを終えていることが分かっています。つまり、営業が接触する前の段階で「選ばれる仕組み」を作れるかどうかが、受注率を大きく左右するのです。
この記事では、BtoB企業のマーケティング部門の役割・業務内容から、組織モデルの選び方、立ち上げの5ステップ、よくある課題と解決策までを実践的に解説します。
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マーケティング部門の役割とは?営業部門との違い

マーケティング部門が担う3つの役割
マーケティング組織は、企業の目標や方針に基づき戦略立案を行い、KGI・KPI設定、ペルソナ設定やカスタマージャーニー作成など、全体の方向性を決める役割を持ちます。BtoB企業のマーケティング部門が担う役割は、大きく以下の3つに集約されます。
- 市場調査・戦略設計: ターゲット市場の分析、ペルソナ設計、カスタマージャーニーの可視化、KGI/KPIの策定
- リード獲得・育成(デマンドジェネレーション): SEO、Web広告、展示会、ウェビナーなどを通じた見込み顧客の創出と、MA(マーケティングオートメーション)を活用したナーチャリング
- ブランド構築・分析改善: マーケティング活動の効果検証や分析・評価を行い、組織全体のPDCAサイクルを構築して改善を続ける
営業部門との役割分担マトリクス
マーケティング部門と営業部門は「対立関係」ではなく「分業関係」です。以下の表で役割の違いを整理します。
BtoB企業ならではのマーケ部門の特徴
BtoCと異なり、BtoBでは「検討期間が長い」「意思決定者が複数いる」「1件あたりの単価が高い」という特徴があります。そのため、マーケティング部門には単なる集客だけでなく、長期的なリード育成と営業部門への質の高いリード供給が求められます。
BtoBマーケティングの基本概念や営業との連携については、「BtoBマーケティングとは?戦略の立て方と成功事例を解説」も合わせてご覧ください。
BtoB企業にマーケティング部門が必要な3つの理由

理由①|属人的な営業から脱却し、安定したリード供給を実現する
「トップ営業が辞めたら売上が激減した」——こうした事態を防ぐには、個人の力に依存しない仕組みが必要です。マーケ組織がなくても営業が強ければいいという考えは短期的には成立しますが、BtoB購買の意思決定者の多くが営業担当者より先にWebで情報収集しており、営業が接触する前の段階で信頼を積み上げられるかが受注率を左右します。
理由②|顧客の購買行動がデジタルシフトしている
マーケティング組織は、企業の製品やサービスが市場で継続的に選ばれるための仕組みを作る専門部門ですが、その重要性はデジタルシフトによって急速に高まっています。インターネットやスマートフォンの普及により、顧客がオンライン上で情報収集やコミュニケーションを活発に行う方法が主流となり、82%の顧客が営業担当者との商談時には製品やサービスの絞り込みを終えています。
営業が接触する前に勝負が決まる時代です。Webサイト・コンテンツ・ホワイトペーパーなど、デジタル上の「接点」を設計できるマーケティング部門の有無が、競争力の差になります。
理由③|LTV最大化にはマーケ起点の顧客理解が不可欠
BtoBでは1社あたりのLTV(顧客生涯価値)が大きいため、「どの顧客セグメントに注力すべきか」「どのタイミングでどんな情報を届けるか」を戦略的に設計する必要があります。これはまさにマーケティング部門の役割です。
マーケティング部門の主な業務内容【一覧表付き】
マーケティング部門の業務は、戦略立案としてターゲットや訴求の策定、KGI・KPIの策定、ペルソナの作成、カスタマージャーニーマップの作成、個別施策の優先順位策定などがあります。以下の4カテゴリに整理できます。
自社で「今やれていること」と「やれていないこと」をこの表でチェックしてみてください。空白が多いカテゴリが、マーケティング部門の立ち上げで最初に取り組むべき領域です。
顧客の温度感に合わせた「多層的なCTA」を設計する
Web戦略を実行する際、すべてのユーザーをいきなり「お問い合わせ」という高いハードルへ誘導しようとすると、多くの潜在層を取りこぼしてしまいます。顧客の温度感(顕在層〜潜在層)に合わせた多層的な導線を設計しましょう。
Webサイトを単なるカタログではなく、あらゆる温度感の顧客を逃さない「最強の営業マン(受け皿)」に進化させることが重要です。
マーケティング部門の組織モデル3つの型【比較表付き】
企業の規模や業種、戦略によってマーケティング組織の編成は異なります。主に3つのモデルがあります。
①事業部付属型(分散型)
各事業部内にマーケティング担当を配置するモデルです。事業への理解が深く、営業との連携がスムーズな反面、施策が属人化しやすいデメリットがあります。
②独立部門型(集中型)
全社横断のマーケティング専門部署を設置するモデルです。組織モデルの詳細な比較は「マーケティング組織とは?立ち上げ・運営方法を成功事例とともに解説」でも解説しています。 ノウハウが蓄積しやすく、ブランドの一貫性を保てますが、各事業部の現場ニーズとの乖離が起きやすい点に注意が必要です。
③ハイブリッド型(CoE+事業部連携)
本部に専門チーム(Hub)を置き、各事業部にも担当者(Spoke)を配置するモデルです。専門性と現場対応力を両立できますが、意思決定プロセスが複雑になりやすい面があります。
50名未満の企業なら「独立部門型」で1〜3名からスタートするのが現実的です。事業が増えてきたらハイブリッド型への移行を検討しましょう。
マーケティング部門の立ち上げ5ステップ
【事例】営業主体の組織からマーケ部門を立ち上げ、1年でリード数3倍・商談化率28%を達成
あるBtoB企業では、営業の属人的な活動に限界を感じ、マーケティング部門を新設しました。最初は営業と兼務する「一人目マーケター」からスタートし、リードが月50件を超えた段階で専任化を判断。その後、コンテンツ担当→広告運用担当の順に採用し、1名→3名体制へ拡大しました。
ただし、最初の半年はコンテンツ量産に走り、成果が出なかったという失敗も経験しています。転機となったのは、営業部門との週次MTGとSLA(後述)の導入です。「マーケのリードは質が低い」という営業の不満に正面から向き合い、MQLの定義を共同で再設計したことで、立ち上げ1年でリード数3倍、商談化率は15%→28%に改善しました。
また、MA導入のタイミングは「リードが月100件を超え、手動管理の限界を感じた時点」で判断。選定基準は「営業のCRMとの連携のしやすさ」を最優先にしたことが、その後のスムーズな運用につながっています。
STEP1|経営目標からマーケティングのミッションを定義する
BtoBでは目標の売上・受注件数から必要リード数を逆算します。商談化率は20〜30%程度、案件化率は40〜60%程度、受注率は20〜40%程度が目安です。
例えば「年間売上1億円・平均単価200万円」なら、必要受注数は50件。受注率30%なら約167件の商談、商談化率25%なら約668件のリードが必要——という逆算ができます。この数字がマーケティング部門のミッションの起点になります。
【実務の鉄則】「PV数」ではなく「売上」から逆算する
Webマーケティングの目標を立てる際、「とりあえずPV数を増やす」「リードを月100件獲得する」といった部分最適の指標だけを追うのは危険です。経営層が求めているのは「事業への貢献(売上)」です。「目標売上→必要な受注数→案件化率→商談化率→必要なリード数」という逆算ロジックを用いて目標を論理的に算出することで、単なる「集客」ではなく「売上」に直結する戦略となり、社内(経営層や営業部門)の理解と協力を得やすくなります。
STEP2|ターゲット・ペルソナを設計する
マーケティング担当者は自社の製品やサービスの顧客像をペルソナとして明確にし、その顧客がどのような購買プロセスを辿るかをカスタマージャーニーとして可視化します。BtoBでは「企業属性(業種・規模・課題)」と「個人属性(役職・決裁権・情報収集行動)」の両面で設計することが重要です。ペルソナ設計の具体的な手法は「BtoBのペルソナ設計ガイド|テンプレート付き」も参考になります。
【実務知見】ターゲットは「二層構造」で定義する
BtoBのWebマーケティング戦略において、ターゲットを「担当者個人」だけで設定するのは不十分です。顧客分析は「組織ターゲット(企業規模や抱える事業課題)」と「個人ターゲット(決裁者と担当者)」の二層構造で定義することを推奨します。例えば、担当者は「作業が簡単・早いツール」を探していても、決裁者は「売上や利益へのインパクト」を求めています。複数人が関与するBtoBの購買フローにおいて、まずは「組織としての課題」を捉え、その上で各個人のニーズを満たすコンテンツを設計することが戦略の土台となります。
【実務知見】カスタマージャーニーは「直接インタビュー」で解像度を上げる
カスタマージャーニーマップを作成する際、社内の会議室だけで推測して枠を埋めても「机上の空論」になりがちです。最も重視すべきは、実際の見込み顧客や既存顧客への「直接インタビュー」です。「どの段階でどんな情報を集めたか」「比較検討の際に何が不安だったか」という生々しい一次情報を抽出し、マップに落とし込みます。この泥臭いファクトファインディングを通じて顧客の解像度を極限まで高めることで、自社が強化すべき「キラーコンテンツ(事例やホワイトペーパーなど)」が明確になり、競合と差別化された戦略が完成します。
STEP3|組織モデルを選び、「一人目マーケター」を採用する
実務的には「内製1名+実行外注」のハイブリッド設計が現実解になるケースが多いです。一人目マーケターに求められるのは、特定施策のスペシャリストではなく、戦略から実行まで俯瞰できる「T型ジェネラリスト」です。
一人目マーケターの採用チェックリスト:
- ☐ 戦略思考:KPI設計や施策の優先順位付けができる
- ☐ 実行力:コンテンツ制作や広告運用を自ら手を動かせる
- ☐ ツールリテラシー:MA・CRM・アクセス解析ツールの基本操作ができる
- ☐ 営業連携マインド:営業現場をリスペクトし、泥臭い調整業務を厭わない
- ☐ 数値感覚:CPL・CVR・ROIなどの指標で成果を語れる
経営層に対しては「完成形」ではなく「成長プロセス」を共有することが重要で、3か月ごとの目標と進捗を示しながら段階的に体制を整えていくアプローチが現実的です。
STEP4|KPIを設計し、営業部門とSLAを合意する
マーケティング部門と営業部門の間でSLA(サービスレベルアグリーメント)を合意することが、連携の要です。
SLA設計の具体例:
- MQLの定義: 「資料請求+従業員50名以上+ターゲット業種」など、営業が追うべきリードの条件を明文化
- 応答ルール: ホットリード(資料請求・デモ依頼)発生から24時間以内に営業が架電する
- フィードバック: 営業は商談結果(受注/失注/保留)を1週間以内にCRMに記録する
- 定例レビュー: 週次でマーケ・営業合同のレビュー会議を実施し、MQLの質と量を振り返る
経営層への報告は「活動量」ではなく「事業成果への貢献」で語ることがポイントで、商談数や受注数といった営業指標との接続が予算確保の鍵になります。
STEP5|施策を実行し、90日で最初の成果を出す
最初の90日間は「クイックウィン(早期の成果)」を出すことに集中します。ただし、「とりあえず広告を出そう」「記事を量産しよう」と単発の施策(点)から入るのは避けましょう。成果を出すためには、マーケティングの全体像を俯瞰し「線」で設計する必要があります。具体的には、「①ターゲット設計」→「②受け皿となるWebサイト(LP)の整備」→「③集客チャネル(広告やSEO)の選定」→「④最適なCVポイント(ホワイトペーパー等)の設置」という正しい順番で構築し、どこからユーザーが離脱しているかを特定してボトルネックを改善し続けるPDCAこそが、事業をグロースさせる最短ルートです。最初の一手は「いま社内に眠っている資産を最大化できる施策」から始めるのが最短ルートで、営業が日々答えている顧客の質問をホワイトペーパー化するだけで初月から数十件のリードを獲得できるケースもあります。
フェーズ別の予算配分目安:
BtoB業界別のマーケティング予算は売上比率で、SaaS/ITが8〜15%、製造業が2〜5%が目安です。立ち上げ期の配分としては以下が参考になります。
立ち上げ後によくある3つの課題と解決策

課題①|リードは増えたが商談につながらない
チェックリスト:
- ☐ MQLの定義が営業と合意されていない
- ☐ リードの「量」だけがKPIになっている
- ☐ ナーチャリング施策(メルマガ・セミナー)が不足している
解決策: リードの「量」だけでなく「質(SQL転換率)」をマーケのKPIに含めましょう。リードナーチャリングの具体的な手法も合わせて確認してみてください。戦略設計とKPI管理を担う役割と、実行を担う役割を意図的に切り分け、1人が複数の役割を兼務していても「今どの帽子をかぶっているのか」を明確にすることが重要です。
課題②|営業部門との対立・温度差
チェックリスト:
- ☐ マーケと営業で共通のKPIがない
- ☐ 定例のレビュー会議が設定されていない
- ☐ 営業からのフィードバックが仕組み化されていない
解決策: 営業連携の秘訣は「共通の目標を持つ」ことです。マーケ・営業・カスタマーサクセスが共通の売上目標を追う「レベニュー会議」を定例化し、MQLの質や商談化率を一緒に振り返る場を作りましょう。
課題③|施策が属人化し、担当者が抜けると回らない
チェックリスト:
- ☐ 施策の手順書・マニュアルが存在しない
- ☐ CRMやMAの活動履歴が入力されていない
- ☐ 特定の担当者しか運用できないツールがある
解決策: カスタマージャーニーをもとに年間のスケジュールを作成し、マーケティング活動全般を仕組み化していくことが重要です。CRMへの活動履歴入力を徹底し、データに基づいた意思決定文化を作ることで、担当者が変わっても施策が回る体制を構築できます。
さらに、この壁を突破するには、マーケティング担当者自身がノーコードで直感的にサイトを更新できるCMS環境を整え、施策の実行スピードを上げることも不可欠です。戦略の意思決定(コア業務)は自社で行い、サイト制作やコンテンツ作成(ノンコア業務)はBtoBマーケティングの実績を持つ外部パートナーに伴走・代行してもらう「ハイブリッド型」の体制を築くことが、ノウハウを蓄積しながら最短で事業成果を生み出す賢い選択です。
まとめ|マーケティング部門の成功は「仕組み化」がカギ
マーケティング部門の立ち上げ・強化で押さえるべきポイントは3つです。
- 役割を明確にする: マーケティング部門は「営業が効率的に受注できる状態を作る」部門。営業との役割分担とSLAを合意する
- 段階的に組織化する: 一人目マーケターの採用から始め、3か月ごとに成果を検証しながら体制を拡大する
- 仕組みで成果を出す: 属人的な活動ではなく、KPI設計・プロセスの型化・ツール活用で再現性のある成果を目指す
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