
BtoB企業のWeb戦略の立て方|「施策はやってるのに成果が出ない」を抜け出す5ステップ
BtoB企業のWeb戦略は「目標設定→ターゲット特定→競合・自社分析→施策の優先順位付け→KPI設計とPDCA」の5ステップで立てるのが基本です。BtoBでは目標の売上・受注件数から逆算して必要リード数を算出し、商談化率20〜30%、案件化率40〜60%、受注率20〜40%といった指標をもとにKPIを設計します。フレームワークは3C分析・SWOT・STP・カスタマージャーニーの4つが実務で使いやすく、BtoB特有の「組織ターゲットと個人ターゲットの使い分け」「営業連携」「検討段階の可視化」を押さえることで、施策の寄せ集めから脱却し成果につながる戦略を構築できます。
「広告もSEOもやっているのに、なぜか成果が出ない」——そんな悩みを抱えるBtoBマーケターは少なくありません。多くの場合、原因は個々の施策ではなく、施策をつなぐ"戦略"が不在であることにあります。
本記事では、BtoB企業がWeb戦略を立てるための具体的な5ステップと、実務で使えるフレームワーク、そしてBtoBならではの戦略設計のポイントを解説します。
目次[非表示]
Web戦略とは?BtoBで重要な理由

Web戦略とは、Webを活用して事業目標を達成するための全体設計のことです。マーケティング戦略とは「誰に(ターゲット)、何を(自社の製品・サービスの価値)、どのように提供するのか(アプローチの手法)」を定めることであり、Web戦略はその中でもデジタルチャネルに焦点を当てた設計図にあたります。
BtoBでWeb戦略が特に重要な理由は、顧客の購買行動がWebに大きくシフトしているからです。
BtoBマーケティングの全体像は「ターゲット設計→Webサイト→流入(集客チャネル)→CV」の順番で構成されます。この流れを一貫した戦略のもとで設計できているかどうかが、成果を分ける決定的な差になります。
BtoBビジネスでは、買い手は意思決定プロセスの67%を営業担当との接触前に済ませているというデータがあります。つまり、Webサイトが「営業担当の代わり」として機能しているかどうかが、商談獲得の成否を左右します。
Web戦略がうまくいかないBtoB企業の共通課題
マーケ施策を実行しているのに成果が出ない企業には、共通するパターンがあります。
1. 戦略なき施策の乱立
戦略の多様性が逆に迷走を招き、結果として営業活動の効率を損なうこともあります。「とりあえず広告を出す」「とりあえずブログを書く」という施策先行型では、各施策がバラバラに動き、全体としての成果に結びつきません。
2. ターゲットが曖昧なまま施策を回している
「製造業向け」のような大きなくくりのままでは、刺さるメッセージもコンテンツも作れません。「戦略はあるが実行が追いつかない」「施策は回しているが全体像が見えない」といったBtoBマーケ特有の課題は、ターゲットの解像度不足から生まれていることが多いです。
3. マーケと営業の分断
リードを獲得しても営業に渡した後のフィードバックがなく、「質の悪いリードばかり」と言われてしまう。営業活動を営業に任せきりでは、マーケターの役割を果たしているとは言えません。商談化率や受注率の向上には「営業からのフィードバックに基づいた施策の改善」が不可欠です。
BtoB Web戦略を立てる5つのステップ

成功に向けた戦略を確実に立てるためには、一定のステップに沿って策定していくことが重要です。ここでは、BtoB企業が実務で使える5ステップを紹介します。
ステップ1:目標設定(KGI・KPIの逆算)
最初のステップはKGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)を設定することです。KGIは全社レベルでの達成目標、KPIはその達成の途中経過を測る指標となります。
BtoBの場合、売上目標から逆算して必要なリード数を算出するのが基本です。
たとえば年間売上目標が1億円、平均受注単価が200万円なら、必要な受注数は50件。商談化率20〜30%、案件化率40〜60%、受注率20〜40%を当てはめると、必要リード数が具体的に見えてきます。
「とりあえずPV数やリード数を増やす」といった部分最適の指標を追うのは危険です。ferretソリューションのメソッドでは、最終的な事業目標(KGI)から逆算してKPIツリーを設計することを鉄則としています。「目標売上」→「必要な受注数」→「案件化率」「商談化率」といったプロセス係数を用いて必要リード数を論理的に算出する——この逆算ロジックに基づく目標設定こそが、単なる「集客」ではなく「事業貢献」に直結する戦略となり、経営層や営業部門の納得感を得るための強力な土台になります。
ステップ2:ターゲットの特定
BtoBのターゲット設定では、組織ターゲット(どんな企業か) と 個人ターゲット(誰が情報収集し、誰が決裁するか) の2軸で考えます。詳しくは後述の「BtoB特有のポイント」で解説しますが、ここでは「業種・規模・課題」で組織を絞り、その中の「担当者と決裁者」を具体化するという手順を押さえてください。
ステップ3:競合・自社分析
戦略を立案するためには、市場の調査や分析を行い顧客のニーズを理解することから始めます。さらに自社の強みや弱みを洗い出しながら、アプローチ方法を定めていきます。
具体的には、競合3〜5社のWebサイトを調査し、以下を比較します。
- 訴求メッセージ:どんなキャッチコピーで、どの課題を解決すると言っているか
- コンテンツの充実度:ブログ記事数、ホワイトペーパーの有無、導入事例の数
- CVポイント:問い合わせだけか、資料DLやセミナーなど複数の接点があるか
自社の強みを特定する際は「強み突破型(独自性が高く資産が豊富)」か「市場大×競合多型(競合が多く差別化が図りづらい)」かを見極めることが重要です。
ステップ4:施策の優先順位付け
分析結果をもとに、どの施策から着手するかを決めます。どの検討度の人を対象とするかによって、施策は変わります。
優先順位の考え方は以下のとおりです。
まずは「今すぐ客」を取りこぼさない施策から着手し、並行して中長期の集客基盤を構築するのが定石です。
「とりあえず広告を出そう」「SEO記事を書こう」と単発の施策(点)から入りがちですが、これではバケツに穴が空いたまま水を注ぐようなものです。まずBtoBマーケティングの全体像(戦略マップ)を俯瞰し、「線」で設計することが重要です。ターゲットを定義し、受け皿となるWebサイトを整備した上で、集客チャネルを選定するという正しい順序を守りましょう。ユーザーがどこで離脱しているか(水漏れしているか)をデータから特定し、ボトルネックを改善し続けるPDCAこそが、Web戦略を成功に導く最短ルートです。
ステップ5:KPI設計とPDCA
施策ごとにKPIを設定し、月次でPDCAを回します。予算と目標のバランスは3年スパンで合わせていくのがBtoBの現実的な考え方です。
PDCAを回す際は「施策単位」ではなく「ファネル全体」で数値を追いましょう。集客数は増えたのにCV数が変わらないなら、ボトルネックはサイト側にあります。部分最適ではなく全体最適の視点が成果を加速させます。
Web戦略策定に使えるフレームワーク4選
複雑化するBtoBマーケティングでは、多くの施策を並行して動かしますが、全体の戦略を整えることで成果をぐっと引き上げることができます。ここでは、BtoBのWeb戦略策定で実務的に使いやすいフレームワークを4つ紹介します。
3C分析(Customer・Competitor・Company)
市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点で現状を整理するフレームワークです。Web戦略の出発点として、「誰に・何を・どう届けるか」の土台を固めるのに最適です。
SWOT分析
自社の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)を整理します。3C分析で集めた情報をSWOTに落とし込むことで、自社が勝てる領域が明確になります。
STP分析
STPは市場を理解し、勝利の方程式を導き出すための最も重要なフレームワークです。STPを活用することで、予算や人員を集中させるべき「最短ルートのターゲット」を組織全体で共有できます。
セグメンテーション(市場細分化)→ターゲティング(狙う市場の選定)→ポジショニング(競合との差別化軸の明確化)の順で進めます。
3C分析やペルソナといったフレームワークは有効ですが、社内の会議室だけで推測して枠を埋めても「机上の空論」で終わりがちです。戦略設計の土台として重要なのが、実際の見込み顧客や既存顧客への**「直接インタビュー(ファクトファインディング)」**です。「競合と比較した際に何が不安だったか」「どんな決め手で導入したか」という生々しい一次情報を抽出し、フレームワークに落とし込みましょう。この泥臭いプロセスを通じて顧客の解像度を高めることこそが、競合と明確に差別化された戦略を生み出す源泉です。
カスタマージャーニーマップ
ターゲットが「課題認知→情報収集→比較検討→問い合わせ→商談→受注」に至るまでの行動と心理を時系列で可視化します。各段階で必要なコンテンツと接点を設計できるため、施策の抜け漏れを防ぐのに有効です。
BtoB特有のWeb戦略3つのポイント

BtoCとは異なるBtoB特有の要素を戦略に組み込むことで、施策の精度が大きく変わります。
ポイント1:組織ターゲットと個人ターゲットの使い分け
BtoBにおけるターゲット設定では、個人のペルソナより先に企業単位でのICP(Ideal Customer Profile:理想顧客企業像)を定義することが標準的なアプローチです。
実務では、まず「業種・企業規模・抱えている課題・予算規模」で組織ターゲットを絞り込みます。その上で、情報収集をする担当者と最終的な意思決定を下す決裁者の2者を個人ターゲットとして定義します。
ペルソナ作成に時間をかけすぎた結果、実態と乖離した架空の人物像になってしまうケースは少なくありません。ferretソリューションのメソッドでは、営業データや既存顧客データから**「LTV(顧客生涯価値)が高い顧客」の共通項を優先的に抽出**することを推奨しています。さらに、顧客の「Why(なぜこの課題を解決したいのか)」を5回繰り返し問い、表面的な個人の悩みだけでなく、経営層が関わる「組織としての真の課題」まで深掘りします。この「データ検証」と「深い課題抽出」を掛け合わせたペルソナこそが、商談に直結する強いコンテンツを生み出す起点となります。
担当者はWebで検索して情報収集し、決裁者は社内稟議で判断します。サイトのコンテンツは担当者向け、サービス資料は決裁者が読んでも伝わる設計にするのがコツです。
ポイント2:営業連携の設計
Web戦略はマーケティング部門だけで完結しません。マーケティング施策を成功に導くには「三位一体」のチーム——意思決定者、専任担当者、外部コンサルの三者が共に目標達成へ協力できる体制を作ることが重要です。
特に、マーケが獲得したリードを営業にトスアップした後のフィードバックループを仕組み化することが成果の鍵になります。「どのリードが商談化したか」「なぜ失注したか」の情報がマーケに戻ることで、ターゲットや施策の精度が上がっていきます。
ポイント3:検討段階の可視化
BtoBの見込み客には「明確層(発注先を絞り込み中)」から「潜在層(課題を認識していない)」まで幅があります。Webサイト上に問い合わせフォームしかない場合、準顕在層〜潜在層は何もアクションを起こさずに離脱してしまいます。
検討段階ごとにCVポイントを設計することで、見込み客の検討度合いを可視化できます。
- 明確層 → 問い合わせ・デモ依頼
- 顕在層 → サービス資料DL・導入事例閲覧
- 準顕在層 → ホワイトペーパーDL・セミナー参加
- 潜在層 → ブログ記事・メルマガ登録
サイト上の導線が「お問い合わせ」や「無料トライアル」といったハードルの高いものだけでは、情報収集段階の潜在層を多く取りこぼしてしまいます。戦略を設計する際は、「マーケティング戦略マップ」を描き、顧客の検討フェーズに応じた多層的な導線(CTA)をマッピングしましょう。まだニーズが低い潜在層には「お役立ちホワイトペーパー」、比較検討に入った準顕在層には「導入事例」や「サービス紹介資料」を提示します。顧客の心理的ハードルを下げ、それぞれの温度感に合った選択肢を用意することで、Webサイト全体のリード獲得数を大きく引き上げることができます。
戦略を「絵に描いた餅」にしない実行体制の作り方
どれほど精緻なWeb戦略とフレームワーク分析を行っても、「サイトを更新するのに毎回制作会社を通さなければならない」「実行する社内リソースがない」という状態では、PDCAが回らず戦略は頓挫してしまいます。
この壁を突破するには、マーケティング担当者自身がノーコードで直感的にサイトを更新できるCMSを導入し、施策の実行スピードを上げることが不可欠です。さらに、戦略の意思決定(コア業務)は自社で行い、サイト制作やコンテンツ作成(ノンコア業務)はBtoBマーケティングの実績を持つ外部パートナーに伴走・代行してもらう「ハイブリッド型」の体制を築くことが、ノウハウを蓄積しながら最短で事業成果を生み出す賢い選択となります。
よくある質問(FAQ)
まとめ
BtoB企業のWeb戦略の立て方を5ステップで整理しました。
- 目標設定:売上から逆算してKGI・KPIを数値化する
- ターゲット特定:組織ターゲットと個人ターゲットの2軸で定義する
- 競合・自社分析:3C分析やSWOTで自社が勝てる領域を見極める
- 施策の優先順位付け:検討段階に応じて「今すぐ客」から着手する
- KPI設計とPDCA:ファネル全体で数値を追い、3年スパンで改善する
「施策はやっているのに成果が出ない」状態から抜け出すには、個別施策の改善ではなく、戦略の再設計が必要です。
とはいえ、戦略設計から実行までを自社だけで完結させるのは簡単ではありません。20年以上にわたる自社実践と6,650社の支援実績から導き出した「成果を出すためのノウハウ」を体系化したferretソリューションでは、戦略立案から実行まで一貫して伴走し、マーケティングの成果で事業成長に貢献しています。
「戦略の見直しが必要だと感じているが、どこから手をつければいいかわからない」という方は、まずは現状の課題整理から一緒に始めてみませんか。
あわせて読みたい:BtoB営業戦略の立て方 - 商談化率を上げる5ステップ実践ガイド













