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BtoB購買プロセスとは?5つの段階と各段階で成果を出すマーケティング施策を解説

BtoB購買プロセス(B2B購買プロセス)は「課題認識→情報収集→比較検討→意思決定→購買・導入」の5段階で構成され、意思決定には平均6〜10人のステークホルダーが関与します。実際に77%のバイヤーが「BtoBの購買は非常に複雑で困難になった」と感じており、検討期間は数ヶ月から1年以上に及ぶことも珍しくありません。さらに、従来のテレアポや展示会中心の営業プロセスから、顧客がオンラインで自発的に情報収集を行うプロセスへと大きくシフトしています。本記事では、BtoB購買プロセスの各段階の特徴と、それぞれの段階で成果を出すための具体的なマーケティング施策を解説します。


「リードは獲得できているのに、なかなか商談につながらない」——BtoBマーケティングに携わる方なら、一度はこの壁にぶつかったことがあるのではないでしょうか。

その原因の多くは、顧客の購買プロセスとマーケティング施策がかみ合っていないことにあります。顧客がまだ課題を整理している段階で製品の機能説明を送っても響きませんし、比較検討の真っ最中に初歩的なノウハウ記事を届けても意味がありません。

BtoB市場では担当者と決裁者が異なり、社内の複数部門が関与するため、購買の流れは長期化・複雑化しやすいのが特徴です。だからこそ、購買プロセスの全体像を正しく理解し、各段階に合った施策を設計することが成果への近道になります。

この記事では、BtoB購買プロセスの5つの段階をわかりやすく解説したうえで、各段階で「何をすべきか」を施策レベルで具体的にお伝えします。明日からの業務にすぐ活かせる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

目次[非表示]

  1. 1.BtoB購買プロセスとは?5つの段階を図解で解説
  2. 2.BtoBとBtoCの購買プロセスの違い
  3. 3.購買プロセスの各段階で成果を出すマーケティング施策
  4. 4.購買プロセスを自社に落とし込む3ステップ
  5. 5.購買プロセスのボトルネックを特定する「行動履歴分析」
  6. 6.長期戦のBtoBマーケティングで担当者を疲弊させない業務の切り分け
  7. 7.よくある質問
  8. 8.BtoB購買プロセスを理解して成果につなげるために

BtoB購買プロセスとは?5つの段階を図解で解説

BtoB購買プロセスとは、企業が製品やサービスを購入する際に経る一連の意思決定の流れのことです。 「BtoB購買行動モデル」とも呼ばれ、一般的に「課題認識」「情報収集」「比較検討」「意思決定」「購買・導入」の5段階で構成され、複数の部門・担当者が関与しながら進行します。

BtoCの買い物と異なり、BtoBでは1つの購買に多くの人が関わります。Gartnerの調査によると、購買プロセスには6〜10人のステークホルダーが関係しており、それぞれが独自の情報をもとに検討するため、すり合わせが非常に複雑になっています。

それでは、5つの段階を順に見ていきましょう。

段階1:課題認識

購買プロセスの出発点は、自社の現状に課題や不満を感じることです。「営業の生産性が落ちている」「リードが足りない」「既存システムの老朽化が進んでいる」など、何らかのきっかけで問題を認識する段階です。

この段階では、顧客はまだ具体的な解決策を探しているわけではありません。「そもそも何が問題なのか」を整理している状態です。

段階2:情報収集

課題を認識した顧客は、解決策を探すために情報収集を始めます。BtoBではWebで検索したり、資料を請求したり、ホワイトペーパーをダウンロードしたりする行動が中心になります。

ここで重要なのは、この段階ではまだ特定の製品やベンダーを探しているわけではないということです。「どんな解決手段があるのか」をカテゴリレベルで調べている段階であり、業界トレンドやノウハウ系のコンテンツが求められます。

段階3:比較検討

情報収集が進むと、顧客は具体的な選択肢を比較検討し始めます。この段階になって初めて営業担当者に直接話を聞きたいと思うようになりますが、すでにある程度「どこから買うか」の当たりをつけていることが多いのが実情です。

つまり、比較検討段階に入る前の「情報収集」段階で、いかに自社を候補に入れてもらえるかが勝負の分かれ目になります。

段階4:意思決定

候補を絞り込んだ後は、社内での最終的な意思決定に入ります。BtoBでは稟議制度を通じて承認を得る必要があるため、現場担当者だけでなく、上長や経営層、情報システム部門など複数の関係者を説得しなければなりません。

この段階では、ROI(投資対効果)の試算、セキュリティ要件の確認、契約条件の交渉などが行われます。

段階5:購買・導入

契約が締結され、実際に製品やサービスの導入・運用が始まる段階です。BtoBでは一度の取引で終わることは少なく、導入後の満足度が次の契約更新やアップセル・クロスセルに直結します

BtoB購買プロセスは必ずしも一方向に進むわけではありません。比較検討の途中で新たな課題が見つかり情報収集に戻ったり、意思決定段階で予算が通らず保留になったりすることもあります。「行ったり来たり」が起こることを前提に施策を設計しましょう。

BtoBとBtoCの購買プロセスの違い

BtoB購買プロセスを正しく理解するには、BtoCとの違いを押さえておくことが重要です。一口に「購買検討」と言っても、BtoBとBtoCとでは特徴や難易度が大きく異なります。

比較ポイント

BtoB(法人購買)

BtoC(個人購買)

意思決定者

複数人(DMU:担当者・上長・役員・情シスなど)

本人、または家族

検討期間

長期(数ヶ月〜1年以上)

短期(即時〜数週間)

判断基準

合理性・ROI・業務課題の解決

感情・好み・流行・自己満足

購入単価

高額(数十万〜数億円)

比較的低額

決済方法

稟議制度・請求書払い・契約書締結

現金・カード・電子マネー

購買後の関係

継続的な取引・アフターサポート重視

一回限りの購買も多い

この違いから、BtoBマーケターが特に意識すべきポイントは次の3つです。

ポイント1:DMU(意思決定関与者)全員へのアプローチが必要

BtoCでは「買いたい人=決める人」ですが、BtoBでは現場担当者が「使いたい」と思っても、上長や経営層の承認がなければ購買に至りません。現場向けの「使いやすさ」訴求だけでなく、決裁者向けの「コスト削減効果」や情シス向けの「セキュリティ」など、関与者ごとの懸念を払拭するコンテンツが必要です

ポイント2:長い検討期間に合わせた継続的な接点づくり

BtoCのように衝動買いは起きません。数ヶ月〜1年以上にわたる検討期間の中で、定期的に有益な情報を届け続ける仕組み(メルマガ、ウェビナー、ブログ更新など)が不可欠です。

ポイント3:営業接触前の「非対面」での情報提供が勝負

従来はテレアポや展示会で見込み顧客を獲得し、営業が定期的に情報提供を行って受注につなげる流れが一般的でしたが、現在はオウンドメディアやオンライン広告で認知を獲得し、ホワイトペーパーやウェビナーで興味を喚起するプロセスが主流です。Webサイト上で比較検討に必要な情報(事例・価格感・ROI)を公開し、顧客の「自習」を支援することが重要になっています。

購買プロセスの各段階で成果を出すマーケティング施策

 

購買プロセスの各段階で成果を出すマーケティング施策

ここからが本記事の核心です。購買プロセスの5段階それぞれに対して、具体的にどんな施策を打つべきかをマトリクス形式で整理します。

BtoB購買プロセスの各段階に対応する主要施策は、課題認識段階のSEO記事・SNS・業界レポート、情報収集段階のホワイトペーパー・ウェビナー・メルマガ、比較検討段階の導入事例・比較表・デモ、意思決定段階のROI試算・提案書テンプレート・無料トライアル、購買・導入段階のオンボーディング・カスタマーサクセスです。

まず全体像を表で確認しましょう。

段階

目的

主な施策

主なKPI

課題認識

潜在顧客に課題を気づかせる

SEO記事、SNS、業界レポート、診断ツール

PV数、新規セッション数

情報収集

自社を「検討候補」に入れてもらう

ホワイトペーパー、ウェビナー、メルマガ

リード獲得数、DL数

比較検討

競合との差別化を伝える

導入事例、比較表、デモ、ROI試算

商談化率、MQL数

意思決定

社内稟議を通す支援をする

提案書テンプレ、セキュリティ資料、無料トライアル

受注率、稟議通過率

購買・導入

満足度を高め継続利用を促す

オンボーディング、活用セミナー、カスタマーサクセス

継続率、NPS

それでは、各段階の施策を詳しく見ていきます。

段階1:課題認識 ── 潜在顧客に「気づき」を届ける

この段階の顧客は、まだ自社の課題を明確に言語化できていません。マーケティングの役割は、「実はこんな課題がありませんか?」と気づきを与えることです。

具体的な施策:

  • SEOコンテンツ(ブログ記事): 「BtoB 営業 効率化」「リード獲得 方法」など、課題に関連するキーワードで検索上位を狙う記事を作成します。この段階では製品紹介ではなく、課題の整理や業界トレンドの解説が効果的です
  • SNS発信: X(旧Twitter)やLinkedInで業界の課題やトレンドに関する投稿を行い、潜在層との接点を作ります
  • 業界レポート・調査データの公開: 「BtoBマーケティングの実態調査」のようなレポートを公開し、読者に自社の立ち位置を客観視してもらいます
  • 診断ツール・チェックリスト: 「あなたのマーケティング成熟度診断」のような簡易ツールで、課題の自覚を促します

KPI例: オーガニック検索からのPV数、新規セッション数、SNSのインプレッション数

監修者

「課題認識」段階では、自社の製品を売り込む必要はありません。まずは「この会社は自分たちの業界をよく理解している」と思ってもらうことが大切です。

【実務の現場から】「組織の課題」と「個人の課題」の両面を捉える

BtoBの購買プロセスにおける初期段階(課題認識)では、顧客自身も「なんとなく課題があるが言語化できていない」ケースが多くあります。弊社の「BtoBグロースステップ」の実務知見からも、この段階で単なる製品の機能紹介をしても響きません。重要なのは、「組織としての課題(例:生産性の低下)」と「担当者個人の課題(例:日々の入力作業が面倒)」の両面を捉えることです。「〇〇業界における業務効率化の落とし穴」といった、潜在的な課題を先回りして言語化し、気づきを与えるコンテンツ(ホワイトペーパー等)を提供することが、その後の検討プロセスへ引き上げる第一歩となります。

段階2:情報収集 ── リードを獲得し、検討候補に入る

課題を認識した顧客は、解決策を探し始めます。この段階でのゴールは、自社をリードとして獲得し、「検討候補リスト」に入ることです。

具体的な施策:

  • ホワイトペーパー・eBook: 課題解決のノウハウをまとめた資料をダウンロード形式で提供します。ホワイトペーパーは問い合わせの15倍のCV数を誇るとも言われ、リード獲得の主力コンテンツです
  • ウェビナー・オンラインセミナー: テーマ別のウェビナーを開催し、参加者の課題感を把握しながらリードを獲得します
  • メルマガ(ナーチャリング): 獲得したリードに対して、段階的に有益な情報を届けるメールシリーズを設計します
  • 用語解説・ハウツー記事: 「カスタマージャーニーマップとは」「リードナーチャリングの始め方」など、解決手段のカテゴリを学べるコンテンツを用意します

KPI例: リード獲得数(MQL数)、ホワイトペーパーDL数、ウェビナー参加者数、メルマガ開封率

情報収集段階のコンテンツは「製品カテゴリの教育」が目的です。自社製品の機能紹介はまだ早く、「こういう手段がある」「こう考えると課題が整理できる」というレベルの情報提供が適切です。

段階3:比較検討 ── 競合との差別化で選ばれる

情報収集が終わった段階では、顧客はすでにある程度「どこから買うか」の当たりをつけています。つまり、この段階での営業接触は、すでに他社と比較されている状態です。

具体的な施策:

  • 導入事例(ケーススタディ): 同業種・同規模の企業がどのような課題を解決したかを具体的に紹介します。「導入前の課題→選定理由→導入後の成果」の構成が効果的です
  • 製品比較表・選び方ガイド: 自社と競合の機能・価格・サポート体制を客観的に比較できる資料を用意します
  • デモ・無料トライアル: 実際に製品を触ってもらうことで、機能面の不安を解消します
  • ROI試算ツール: 「導入するとどれくらいコスト削減できるか」を数値で示すシミュレーターは、決裁者への説得材料にもなります

KPI例: 商談化率(MQL→SQL転換率)、事例ページの閲覧数、デモ申込数

【実務の現場から】導入事例は「2つの役割」に分けて提示する

比較検討のフェーズに入った顧客に対して、最も強力な武器となるのが「導入事例」です。弊社の支援現場のデータでも、BtoBサイトにおいて機能紹介と並んで最も読まれるのが事例コンテンツです。ここで成果を出す秘訣は、事例を2つの役割に分けて提示することです。

  1. 「導入の決め手」事例: 自社と同じ課題を持っていた企業がなぜその製品を選んだかを示す
  2. 「成果事例」: 導入後に「CVRが2倍になった」等の客観的な数値を示す

これらを検討後期の顧客にぶつけることで、複数人が関わるBtoB特有の「社内稟議の説得材料」を提供し、商談化率を大きく高めることができます。

段階4:意思決定 ── 社内稟議を通す「武器」を渡す

BtoBでは、現場担当者が「この製品がいい」と思っても、社内稟議を通さなければ購買に至りません。この段階でのマーケティングの役割は、担当者が社内を説得するための「武器」を提供することです。

具体的な施策:

  • 提案書・稟議書テンプレート: 担当者がそのまま社内で使える提案書のひな形を提供します。ROI試算や競合比較が盛り込まれていると効果的です
  • セキュリティチェックシート: 情報システム部門からの質問に即座に回答できる資料を用意します
  • 経営層向けの要約資料: 現場向けの詳細資料とは別に、経営層が短時間で判断できる1〜2ページの要約を作成します
  • 無料トライアル・PoC(概念実証): 実際の業務環境で試してもらい、導入後のイメージを具体化します

KPI例: 受注率、稟議通過率、平均商談期間

意思決定段階で商談が止まる原因の多くは「担当者が社内を説得できない」ことにあります。マーケティング部門が営業と連携し、稟議に必要な資料を事前に揃えておくことが重要です。

【実務の現場から】マーケ→営業の引き渡しで最も多い失敗と対策

購買プロセスが進行し、マーケティング部門が獲得・育成したリードを営業部門(インサイドセールスなど)へ引き渡す際、弊社の支援現場で最も多く見られる失敗が「部門間の認識ズレによるリードの放置」です。これを防ぐためには、単にMAツールのスコアリング点数で判断するのではなく、以下のような顧客の具体的な行動履歴に基づく引き渡し基準(SLA)を両部門で合意することが不可欠です。

  • 「特定の料金ページを3回閲覧した」
  • 「セミナー後のアンケートで個別相談を希望した」

この泥臭い連携プロセスこそが、購買プロセスを途切れさせず最終的な受注へと繋げる最大の鍵となります。

段階5:購買・導入 ── 顧客の成功が次の売上をつくる

契約後の「購買・導入」段階は、マーケティングの範囲外と思われがちですが、BtoBでは導入後の顧客満足度が契約更新・アップセル・紹介に直結するため、非常に重要です。

具体的な施策:

  • オンボーディングプログラム: 導入初期の設定や使い方をサポートするガイド・動画を用意します
  • 活用セミナー・ユーザー会: 既存顧客向けに活用事例を共有するイベントを開催し、利用促進と顧客同士のネットワーキングを支援します
  • カスタマーサクセス: 定期的な利用状況のレビューと改善提案を行い、顧客の成果創出を伴走支援します
  • NPS調査・顧客の声の収集: 満足度を定量的に把握し、改善につなげるとともに、高評価の顧客には事例取材や紹介を依頼します

KPI例: 契約継続率(チャーンレート)、NPS、アップセル・クロスセル率

購買プロセスを自社に落とし込む3ステップ

購買プロセスを自社に落とし込む3ステップ

ここまで購買プロセスの5段階と各段階の施策を解説してきましたが、「自社の場合はどうすればいいのか」が気になるところだと思います。

自社に落とし込む3ステップは、①ペルソナとDMU(意思決定関与者)の整理、②カスタマージャーニーマップの作成、③施策の優先順位付けです。 この順番で進めることで、購買プロセスに沿った施策設計を効率的に行えます。

ステップ1:ペルソナとDMU(意思決定関与者)を整理する

まず、自社の顧客像を明確にします。BtoBでは「企業」だけでなく、その中の「誰が」購買に関わるのかを整理することが重要です。

具体的には、以下の関与者を洗い出しましょう。

  • 起案者(チャンピオン): 課題を感じ、解決策を探し始める人。多くの場合、現場の担当者
  • 影響者: 技術的な評価や業務フローへの影響を判断する人。情シスや業務部門のリーダー
  • 決裁者: 最終的な予算承認を行う人。部長・役員クラス
  • 利用者: 実際に製品を使う人。現場のメンバー

それぞれの関与者がどの段階で、どんな情報を求めているかを整理することで、コンテンツの優先順位が明確になります。

ステップ2:カスタマージャーニーマップを作成する

ペルソナとDMUが整理できたら、次はカスタマージャーニーマップを作成します。カスタマージャーニーマップとは、顧客の購入プロセスと接点・感情を図式化したもので、作成・活用の4ステップで実践できます。

カスタマージャーニーマップに盛り込む要素は以下の通りです。

要素

内容

段階

課題認識→情報収集→比較検討→意思決定→購買・導入

顧客の行動

各段階で顧客が具体的に何をするか

タッチポイント

顧客との接点(検索、SNS、メール、営業など)

顧客の感情・課題

各段階で感じている不安や疑問

提供すべきコンテンツ

各段階×各関与者に必要な情報

【実践のコツ】プロセスを図解して終わらせない——「キラーコンテンツ×CTA」のマッピング

購買プロセス(カスタマージャーニー)を可視化する際、「認知〜購入」のステップを描いて満足してはいけません。BtoBマーケティングで成果を出すためには、各検討フェーズにおいて顧客が求める「キラーコンテンツ(例:ノウハウ資料、比較表、導入事例)」と、それを提示する「タッチポイント(例:SEO記事、メルマガ)」、そして次に誘導すべき「CTA」までを具体的にマッピングすることが不可欠です。

顧客の温度感に合わせた多層的な導線を敷き、次に知りたい情報を先回りして提示する仕組みを作ることで、購買プロセスの各段階での離脱を防ぎ、確実に次のフェーズへ引き上げることが可能になります。

カスタマージャーニーマップの作成・活用4ステップ

ステップ3:施策の優先順位をつけてクイックウィンを狙う

カスタマージャーニーマップが完成したら、すべての施策を一度に始めるのではなく、優先順位をつけて着手することが重要です。

優先順位の付け方として、以下の基準をおすすめします。

  1. ボトルネックから着手する: 「リードは取れているが商談化しない」なら比較検討段階の施策(事例・デモ)を優先。「そもそもリードが足りない」なら課題認識・情報収集段階の施策(SEO・ホワイトペーパー)を優先
  2. 既存資産を活用する: すでに営業が持っている提案書や事例をコンテンツ化するなど、ゼロから作らなくてもいい施策から始める
  3. 効果測定しやすい施策から始める: ホワイトペーパーDL数やウェビナー参加者数など、数値で効果が見える施策を先に実行し、社内での実績を作る
監修者

「全部やらなきゃ」と思うと手が止まります。まずは自社の購買プロセスで最もボトルネックになっている段階を1つ選び、そこに集中するのがコツです。

購買プロセスのボトルネックを特定する「行動履歴分析」

購買プロセスのボトルネックを特定する「行動履歴分析」

売り手が想定した綺麗な5つの購買プロセス通りに、顧客が順番に動いてくれるケースは稀です。成果を出すためには、MAツール等を用いて「実際の顧客の行動ログ」を泥臭く分析することが重要です。

具体的には、以下の2つの視点で分析します。

  • 離脱ポイントの特定: 「どの流入元から来た顧客が、どのコンテンツを読んだ後に離脱しているか」を把握する
  • 勝ち筋の発見: 「受注に繋がった顧客は、商談化の直前にどの事例ページを見ていたか」を特定する

この客観的な事実データに基づき、商談を生み出す黄金ルート(勝ち筋)を発見し、そこに予算やリソースを集中させるPDCAを回し続けることこそが、施策のROI(投資対効果)を最大化します。

行動履歴分析は、最初から完璧を目指す必要はありません。まずは「受注した顧客が共通して閲覧していたページTOP3」を洗い出すだけでも、施策の優先順位が大きく変わります。

長期戦のBtoBマーケティングで担当者を疲弊させない業務の切り分け

BtoBの購買プロセスは数ヶ月から年単位と長期間に及ぶため、各段階に合わせたコンテンツ制作やメール配信などの施策を継続して実行する必要があります。しかし、これらを限られた社内リソースだけで全て内製化しようとすると、確実に担当者がパンクし施策が頓挫します。

ここで重要になるのが業務の切り分けです。

区分

業務内容

理由

コア業務(自社でやるべき)

ターゲットの定義、営業部門へのヒアリングによる「一次情報(顧客の生々しい課題や成功事例)」の抽出、効果測定

自社の顧客理解に直結し、外部では代替できない

ノンコア業務(プロに任せるべき)

各フェーズに合わせたコンテンツの構成案作成や執筆、MAツールの設定、サイトへの入稿作業

専門スキルが必要だが、自社の顧客理解がなくても品質を担保できる

戦略の舵取りに自社リソースを集中させ、実行負荷の高いノンコア業務は外部のプロフェッショナルに伴走してもらう「ハイブリッド型」の体制を敷くこと。これこそが、購買プロセス全体をカバーする施策を停滞させずにやり遂げるための賢い選択です。

よくある質問

Q
BtoB購買プロセスの平均的な検討期間はどのくらいですか?
A
商材や金額によりますが、一般的に数ヶ月〜1年以上かかることが多いです。特に高額な商材や全社導入の場合は、複数部門の合意形成が必要なため、検討期間が長期化する傾向にあります。
Q
購買プロセスの中で、マーケティングが最も注力すべき段階はどこですか?
A
自社の課題によって異なりますが、多くのBtoB企業では「情報収集」と「比較検討」の段階が重要です。購買プロセスの大部分は営業接触前に進んでいるため、この2段階でいかに自社を候補に入れてもらえるかが成果を左右します。
Q
BtoB購買プロセスにかかる期間はどのくらいですか?
A
商材の金額や導入範囲によりますが、一般的に数ヶ月〜1年以上かかります。特に全社導入や高額商材の場合は、複数部門の合意形成・稟議プロセスが必要なため、検討期間が長期化する傾向にあります。短縮するには、各段階で必要な情報を先回りして提供し、意思決定のボトルネックを解消することが有効です。
Q
DMU(意思決定関与者)とは何ですか?
A
DMU(Decision Making Unit)とは、BtoBの購買プロセスに関与する人々の集合体のことです。一般的に、起案者(課題を感じて解決策を探す人)、影響者(技術評価や業務影響を判断する人)、決裁者(予算承認を行う人)、利用者(実際に製品を使う人)の4つの役割で構成されます。Gartnerの調査では、1つの購買に平均6〜10人のDMUが関与するとされています。

BtoB購買プロセスを理解して成果につなげるために

本記事では、BtoB購買プロセスの5つの段階と、各段階で成果を出すためのマーケティング施策を解説しました。

押さえておきたいポイントをまとめます。

  • BtoB購買プロセスは「課題認識→情報収集→比較検討→意思決定→購買・導入」の5段階で構成される
  • BtoCと異なり、複数の意思決定者が関与し、検討期間が長く、合理的な判断基準で進む
  • 各段階に合ったコンテンツと施策を設計することで、リード獲得から商談化、受注までの転換率を改善できる
  • 自社に落とし込むには「ペルソナ・DMUの整理→カスタマージャーニーマップ作成→施策の優先順位付け」の3ステップが有効

購買プロセスの理解は、BtoBマーケティングの土台です。しかし、「理解はできたけれど、自社でどう実践すればいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

カスタマージャーニーマップの作成から始めたい方には、ferretソリューションが提供するカスタマージャーニーマップの作成・活用4ステップの資料がおすすめです。購買プロセスの可視化から施策設計までを、実践的な4ステップで解説しています。

カスタマージャーニーマップの作成・活用4ステップ

また、購買プロセス全体を見据えたマーケティング戦略を体系的に学びたい方は、『基礎からわかる!BtoBマーケティング実践ガイド』もあわせてご活用ください。戦略設計から各種施策のノウハウまでを網羅した資料です。

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菊池 貴行(きくち たかゆき)
菊池 貴行(きくち たかゆき)
金融機関、メディア運営会社を経て2018年より株式会社ベーシックへ入社。 ferret Oneカスタマーサクセス部にて、オンボーディングチーム立ち上げメンバーとして活躍し、顧客の「BtoBマーケティング」の立ち上げ支援を行い、 担当社数は累計120社以上。 製造業・ITサービス・コンサルティングサービスなど、有形から無形の幅広い業界の企業に対して、各社の事業理解から組織状態など踏まえた顧客に 寄り添った戦略設計や施策の設計などマーケティング支援を行う。 現在はマーケティング部にてセミナーの企画から講師を担当し、これまでに支援してきた豊富な経験をもとにした、実務に使えるセミナー内容に定評がある。

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