
BtoBペルソナの作り方 – すぐ使えるテンプレート&記入例付き
BtoBペルソナとは、自社が狙うべき法人顧客像を「企業属性(組織)」と「担当者・決裁者(個人)」の2層で具体化したものです。 BtoCのペルソナが個人のライフスタイルや価値観を中心に設計するのに対し、BtoBでは複数人の意思決定プロセスや組織課題を反映させる点が大きく異なります。
この記事で分かること:
- BtoBペルソナに必要な「企業×個人」2層テンプレートの全項目
- IT企業・製造業の2業種での具体的な記入例
- テンプレート記入でよくある3つの失敗パターンとBefore/After修正例
- 作ったペルソナをコンテンツ企画・広告・営業連携に落とし込む方法
BtoBのペルソナ作成では、企業属性(組織ターゲット)と担当者・決裁者の属性(個人ターゲット)の二軸で具体化することが成果を左右します。6,650社以上のBtoB企業を支援してきたferretソリューションの実務知見でも、この二層構造の定義を徹底することが、複数人が関与するBtoBの購買フローにおいて「決裁を通すメッセージの土台」になると位置づけています。本記事では、企業ペルソナ・個人ペルソナそれぞれのテンプレート項目と、IT企業・製造業の2業種での記入例を掲載しています。テンプレートを使うことで項目の抜け漏れや属人化を防ぎ、チーム全員が同じ顧客像をもとに施策を動かせる状態を作れます。「よくある記入ミス」のBefore/Afterも紹介しているので、初めてペルソナを作る方も、作ったけれど活用できていない方も、明日から実務に使える内容です。
「ペルソナを作ったけれど、結局マーケ施策に活かせていない」——BtoBマーケティングの現場で、こうした声は少なくありません。原因の多くは、ペルソナの「作り方」ではなく「テンプレートの使い方」にあります。
項目だけ並べても、何をどこまで書けばいいのか分からなければ手が止まります。逆に、具体的な記入例があれば、自社に置き換えて埋めるだけでペルソナが完成します。
この記事では、テンプレートの各項目の意味と記入のコツを、2つの業種パターンで具体的に解説します。ペルソナの概念や戦略的な位置づけについて詳しく知りたい方は、BtoBペルソナ設定完全ガイドもあわせてご覧ください。
目次[非表示]
なぜBtoBペルソナにはテンプレートが必要なのか
BtoBのペルソナ作成でテンプレートを使う最大のメリットは、「誰が作っても同じ粒度・同じ観点で顧客像を定義できる」ことです。
テンプレートなしでペルソナを作ると、次のような問題が起きがちです。
- 担当者ごとに項目がバラバラ:Aさんは業種と役職だけ、Bさんは課題まで深掘り——粒度が揃わず、施策の前提がズレる
- 必要な項目が抜け落ちる:BtoBは、人物軸だけでなく企業軸も設定する必要がありますが、企業軸を忘れて個人の属性だけで作ってしまうケースが多い
- 作るたびにゼロから考える:フォーマットがないと毎回「何を書くか」から議論が始まり、完成までに時間がかかる
テンプレートがあれば、これらの問題を一気に解消できます。
テンプレートは「埋めること」が目的ではありません。項目を埋める過程で「この情報は社内にあるか?」「営業に聞けば分かるか?」と情報収集の起点になることが、テンプレートの本当の価値です。
BtoBペルソナの作り方 5ステップ

既存顧客のリサーチから始め、課題軸でセグメントし、セグメントごとにペルソナを設定、名前・目標・課題をまとめ、別部門からフィードバックをもらい、定期的にアップデートするのが基本の流れです。ここでは、テンプレート記入に直結する5ステップに整理します。
ステップ1:ペルソナ作成のゴールを決める
最初に「このペルソナを何に使うのか」を明確にします。
- コンテンツマーケティングの企画に使う → 情報収集手段・課題・検索キーワードの項目を重視
- 広告ターゲティングに使う → 業種・企業規模・役職の項目を重視
- 営業連携(MQL定義)に使う → 決裁権限・導入検討フェーズの項目を重視
ゴールによって、テンプレートのどの項目に力を入れるかが変わります。
ステップ2:既存顧客データを収集する
ペルソナシートの項目を決めたら、顧客企業のデータを収集します。具体的には以下のデータソースを活用します。
データが十分にない場合は、まず営業担当3〜5名に「直近で受注した顧客の共通点」を聞くことから始めましょう。感覚だけで作ったペルソナは施策に活かせません。
ferretソリューション流:「勝てるペルソナ」をデータから見つける
理想を追うのではなく、実績データから「勝てるペルソナ」を抽出することが成果への近道です。ferretソリューションが支援企業に推奨しているのは、自社のSFA/CRMに蓄積された既存顧客データから「LTVが高い顧客群」や「商談化率・受注率が高い顧客層」の共通項を優先的に抽出し、その層をペルソナのモデルとして設定するアプローチです。営業部門と連携して「一番勝てる顧客」のリアルな姿を捉えることこそが、商談創出に直結するマーケティングの出発点になります。
ステップ3:課題軸でセグメントを分類する
収集したデータをもとに、顧客を「課題」で分類します。業種や企業規模ではなく、課題で分ける理由は、同じ業種でも抱える課題が異なれば、響くメッセージがまったく違うからです。
たとえば、同じIT企業でも「リード獲得の仕組みがない」企業と「リードはあるが商談化しない」企業では、必要なコンテンツも訴求ポイントも異なります。
3〜5つのカテゴリーについて、プライマリーペルソナを1〜2パターン、セカンダリーペルソナを2〜3パターン設定するのが実務的な目安です。
ステップ4:テンプレートに記入する
次のセクションで紹介するテンプレートに、収集した情報を記入していきます。
テンプレートを埋める際に注意したいのは、社内の会議室で「きっと顧客はこう考えているはずだ」と想像だけで枠を埋めないことです。ferretソリューションの支援現場でも、実際の見込み顧客や既存顧客への直接インタビューを実施し、生の一次情報を抽出することを必須プロセスとしています。想像だけで作ったペルソナは「机上の空論」に過ぎず、施策の精度を大きく下げてしまいます。
特に、ペルソナの課題を設定する際は 「Why(なぜ)」を5回問い続けるフレームワーク が有効です。
「なぜ業務を効率化したいのか?」→ 残業時間を減らしたいから → 「なぜ残業を減らしたいのか?」→ 全社的な人件費削減の目標があるから → 「なぜ人件費削減が急務なのか?」→ …
このように深掘りを繰り返すことで、単なる現場担当者の悩みを超え、決裁者の心も動かす「本質的な組織課題」 にリーチする訴求軸を作り出せます。表面的なニーズで止まると、ありきたりなメッセージしか生まれません。進め方としては、ターゲットの企業項目から設定し、その企業のどういった職種・役職の方にアプローチするのかを掘り下げていくとスムーズです。
ステップ5:社内共有し、定期的に更新する
ペルソナが作成できたら、カスタマージャーニーマップを作成するなどして戦略設計や施策立案に活用し、定期的に見直してブラッシュアップしていくことが重要です。
作って終わりにしないために、四半期に1回は営業チームと「このペルソナは実態と合っているか?」を確認する場を設けましょう。
【テンプレート】企業ペルソナの項目と記入例

企業ペルソナは、「どんな会社にアプローチするか」を定義するテンプレートです。以下に項目一覧と、IT企業・製造業の2パターンの記入例を掲載します。
企業ペルソナは「実在する1社」をモデルにすると書きやすくなります。受注率が高かった顧客や、LTVが高い顧客を思い浮かべながら記入してみてください。
【テンプレート】個人ペルソナの項目と記入例

個人ペルソナは、「その企業の中で、誰にメッセージを届けるか」を定義するテンプレートです。BtoBの場合、まずは入り口となる企業の担当者をペルソナに設定し、担当者の興味・関心を引くことで次のステップに進めることを意識します。
BtoBでは「この人が社内でどう稟議を通すか」まで想定する必要があり、情報収集する担当者と最終決裁者が異なるケースがほとんどです。「社内での稟議の通し方」の項目は、営業チームが提案資料を準備する際にも直接役立ちます。
BtoBペルソナのテンプレート記入でよくある3つの失敗と修正例
テンプレートの項目を埋めても、書き方を間違えると施策に活かせないペルソナになってしまいます。ここでは、実務でよく見る3つの失敗パターンと、その修正例を紹介します。
失敗1:抽象的すぎて施策に落とせない
なぜダメか:「マーケティングに課題がある」では、コンテンツのテーマも広告のメッセージも決められません。「何が」「どう」課題なのかを、数値や具体的な状況で書くことが重要です。
失敗2:都合の良すぎる理想像になっている
なぜダメか:売り手の願望だけで作られたペルソナは市場にほぼ存在せず、営業が実際に出会う確率が極めて低いため、施策の再現性がなくなります。実際の商談データに基づいた現実的な記述を心がけましょう。
失敗3:項目を埋めすぎて焦点がぼやける
なぜダメか:BtoCのペルソナ設計手法(年齢・趣味・休日の過ごし方など)をBtoBにそのまま適用するのは、最もよくある失敗パターンです。BtoBでは、趣味や家族構成よりも「業務上の課題」「情報収集行動」「意思決定プロセス」の方が施策に直結します。
ペルソナを施策に落とし込む3つの活用法

テンプレートを埋めたら、次はペルソナを実際のマーケティング施策に活用します。ここでは、すぐに実行できる3つの活用法を紹介します。
活用法1:コンテンツ企画に使う
ペルソナの「個人的な課題」「情報収集手段」「ミッション」の項目から、コンテンツのテーマと形式を決めます。
例:IT企業の田中さん(主任)の場合
- 課題「SEO・コンテンツマーケの知見が不足」→ SEOの基礎解説記事、コンテンツマーケの始め方ガイド
- 情報収集「Google検索、ウェビナー」→ 検索流入を狙った記事 + ウェビナー企画
- ミッション「月間リード50件」→ リード獲得の成功事例コンテンツ
活用法2:広告ターゲティングに使う
企業ペルソナの「業界・業種」「従業員数」「年間売上」と、個人ペルソナの「役職」を広告プラットフォームのターゲティング条件に直接反映します。
例:製造業の鈴木さん(課長)をターゲットにする場合
- LinkedIn広告:業種「製造業」× 従業員数「201-500名」× 役職「課長・マネージャー」
- Google広告:「製造業 Web集客」「製造業 問い合わせ 増やす」などのキーワードで出稿
活用法3:営業連携(MQL定義)に使う
企業ペルソナの「従業員数」「組織課題」「導入検討フェーズ」と、個人ペルソナの「役職」「決裁権限」を組み合わせて、営業にトスアップすべきリード(MQL)の基準を定義します。
MQL定義の例:
- 企業規模:従業員50名以上
- 役職:主任以上
- 行動条件:料金ページを閲覧 or 事例ページを2件以上閲覧
- CVポイント:資料請求 or 無料相談申込
ペルソナは作って満足するものではなく、実際のマーケティング施策に反映させて初めて意味を持ちます。ferretソリューションの「BtoBグロースステップ」でも、作成したペルソナを直ちにカスタマージャーニーマップへ落とし込み、施策を「点」ではなく「線」で設計することを必須ステップとしています。ペルソナが課題を認知し、情報収集から比較検討、発注に至るまでの心理状態と行動プロセスを可視化することで、「どの検討フェーズにいるペルソナに、どのコンテンツ(ノウハウ資料や導入事例)を届けるか」をマッピングでき、無駄打ちのない一貫したマーケティング施策が実現します。
BtoBグロースステップのSTEP1では、すべての土台となる「強みの特定」「ターゲットの特定」「競合分析」の方法を解説しており、ペルソナ作成はこのターゲット特定のプロセスに位置づけられます。
まとめ
BtoBペルソナの作成は、テンプレートを活用することで「誰が作っても同じ粒度で、施策に直結する顧客像」を定義できます。
本記事のポイント:
- BtoBペルソナは「企業ペルソナ」と「個人ペルソナ」の2層構造で作る
- テンプレートの価値は「項目を埋めること」ではなく「情報収集の起点になること」
- 記入時は抽象的な表現を避け、数値や具体的な状況で書く
- BtoCの項目(趣味・家族構成)をそのまま使わず、業務課題・意思決定プロセスを重視する
- 作ったペルソナはコンテンツ企画・広告・営業連携の3つの施策に落とし込む
- 四半期に1回は営業チームと実態のすり合わせを行い、更新する
ペルソナの設計は、BtoBマーケティングの土台です。しかし、精緻なペルソナを設計し、それをカスタマージャーニーやコンテンツ戦略に落とし込むには、高いマーケティングノウハウと客観的な視点が必要です。自社だけで進めようとすると、「手前味噌な自社都合のペルソナ」になってしまうケースも少なくありません。
「テンプレートは埋められたけれど、ここからどう施策に展開すればいいか分からない」「ペルソナに基づいたWebサイトやコンテンツをどう作ればいいか迷う」という方は、BtoBマーケティングの実績を持つ外部パートナーの伴走支援を活用するのも有効な選択肢です。戦略設計のコア業務をプロの視点を交えて進めることで、社内にノウハウを蓄積しながら、売上に直結するブレのないマーケティング体制を構築できます。
ferretソリューションは、戦略立案から実行まで一貫して伴走し、マーケティングの成果で事業成長に貢献するスタンスで、6,650社以上のBtoB企業をサポートしてきた実績があります。
800ページにわたるBtoBマーケの実践知識を体系化した「BtoBグロースステップ」では、ペルソナ設計を含むターゲット特定から、Webサイト構築、リード獲得の仕組みづくりまでを一貫した「型」として提供しています。
「ペルソナは作れたけれど、次に何をすればいいか分からない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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