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事業戦略の立て方4ステップ—経営戦略との違いとフレームワーク7選

事業戦略とは、特定の事業領域で「どう勝つか」を決めるシナリオです。経営戦略(全社戦略)が事業ポートフォリオや資源配分を決めるのに対し、事業戦略はターゲット市場の選定・差別化要因・収益モデルなど、個別事業の競争優位を築く方針を定めます。

「事業戦略を立てたいが、何から手をつければいいかわからない」「フレームワークは知っているが、実務でどう使い分ければいいのか迷う」——BtoB企業の事業責任者やマーケティング担当者から、こうした声をよく聞きます。

この記事では、事業戦略の定義と経営戦略との違いを整理したうえで、策定の4ステップと実務で使えるフレームワーク7選を解説します。「戦略を立てたのに現場が動かない」という失敗を防ぐポイントや、マーケティング施策への落とし込み方まで、明日から使える実践的な内容をお伝えします。

事業戦略とは?経営戦略・機能戦略との違い

事業戦略とは?経営戦略・機能戦略との違い

事業戦略の定義

事業戦略とは、企業が特定の事業領域(ドメイン)において競争優位を築き、目標を達成するための方針・シナリオのことです。「競争戦略」とも呼ばれ、「その事業でどう勝つか」を決める中核的な戦略にあたります。

戦略の3層構造を理解する

企業の戦略は、一般的に以下の3層構造で捉えられます。機能戦略とは事業戦略を細分化した部署ごとの戦略であり、事業戦略が決定した後に策定されるのが一般的です。

階層

名称

役割

主な検討事項

上位

経営戦略(全社戦略)

企業全体の方向性を決める

事業ポートフォリオの選択、資源配分、M&A

中位

事業戦略(競争戦略)

個別事業で「どう勝つか」を決める

ターゲット市場、差別化要因、収益モデル

下位

機能戦略(部門戦略)

事業戦略を実行する具体的手段

マーケティング、営業、人事、財務

監修者

経営戦略が「どの土俵で戦うか」、事業戦略が「その土俵でどう勝つか」、機能戦略が「勝つための具体的な動き」を担う——この3層の関係を押さえておくと、自社の戦略議論がスムーズになります。

経営戦略と事業戦略を混同しないために

よくある混乱が「経営戦略と事業戦略を同じものとして議論してしまう」ケースです。単一事業の企業では両者がほぼ一致しますが、複数事業を展開する企業では明確に分けて考える必要があります。

  • 経営戦略で決めること:どの事業に投資し、どの事業から撤退するか
  • 事業戦略で決めること:選ばれた事業の中で、どの市場・顧客に、どんな価値を、どう届けるか

この区別ができていないと、「全社の方向性は決まったのに、各事業の具体的な勝ち筋が見えない」という状態に陥りがちです。

なぜ今、事業戦略の見直しが必要なのか

BtoB企業を取り巻く環境変化

BtoB企業の事業環境は、ここ数年で大きく変化しています。

  • 顧客の購買行動のデジタル化:BtoBの買い手は、営業担当者に会う前にWebで情報収集を済ませるケースが増えています。従来の「営業力で売る」だけでは通用しなくなっています
  • 市場の成熟と競争激化:多くの業界で市場が成熟し、価格競争に陥りやすくなっています
  • DXの加速:デジタル技術の進化により、新たなビジネスモデルが次々と登場し、既存の競争ルールが変わりつつあります

「戦略なき実行」が招くリスク

経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間)は有限であり、事業戦略が明確であれば成長可能性の高い領域にリソースを集中投下できますが、戦略が曖昧なままでは施策や予算が分散し、成果が出にくくなります。

BtoB企業でよく見られるのが、以下のような「戦略なき実行」の状態です。

  • 営業個人の属人的なスキルに依存し、組織として再現性がない
  • マーケティング施策を「とりあえずやってみる」で進め、全体像が見えない
  • 競合と同じような施策を後追いし、差別化できていない

戦略とは「競争しないためのルールづくり」でもあり、他社と同じ土俵で価格競争に陥らないために独自のポジションや提供価値を明確にし、継続的に強化していくことが重要です。

事業戦略の立て方 4ステップ

事業戦略の立て方 4ステップ

事業戦略の策定は、以下の4ステップで進めます。戦略を立てるためには、まず現状を把握し分析することが大切です。

ステップ1:外部・内部環境を分析する

最初に行うのは、自社を取り巻く環境の客観的な把握です。

  • 外部環境分析:市場動向、競合の動き、技術トレンド、法規制の変化などを調べます。PEST分析5フォース分析が有効です
  • 内部環境分析:自社の強み・弱み、経営資源、組織能力を棚卸しします。VRIO分析バリューチェーン分析を活用します

BtoB企業の場合、営業現場の声が貴重な情報源になります。「顧客がなぜ自社を選んだか」「失注した理由は何か」を体系的に集めることで、分析の精度が上がります。

ステップ2:事業ドメインを定義する

環境分析の結果をもとに、自社が戦う領域(事業ドメイン)を明確にします。事業ドメインの明確化やターゲット顧客の特定は、ビジネスプランの核心になります。

事業ドメインは、以下の3つの軸で定義するのが一般的です。

  • 誰に(Customer):どの市場・顧客セグメントを狙うか
  • 何を(Function):どんな価値・機能を提供するか
  • どのように(Technology):どんな技術・手段で実現するか

ステップ3:競争優位の方針を決める

事業ドメインが決まったら、その領域で「どう勝つか」の方針を定めます。代表的な方向性は以下の3つです。

方針

概要

BtoBでの例

コストリーダーシップ

業界最低コストで提供する

大量生産による価格優位

差別化

独自の価値で選ばれる

専門性の高いコンサルティング

集中(ニッチ)

特定セグメントに経営資源を集中

特定業界向けSaaS

ステップ4:実行計画に落とし込む

戦略の実行は、策定した戦略を組織全体で動かせる形に落とし込み、実際の行動へと結びつけるステップであり、どれほど優れた戦略であっても実行されなければ成果にはつながりません。

実行計画では、以下を具体化します。

  • 部門や個人レベルまで分解し、「誰が・いつまでに・何をするのか」を明確にする
  • 部門ごとにKPI(重要業績評価指標)を設定し、行動を数値で管理する
  • 戦略の目的や狙いを全社員と共有し、理解を深める

「戦略は立てたが現場の行動が変わらない」は最も多い失敗パターンです。戦略を「絵に描いた餅」にしないためには、KPIの設定と定期的な振り返りの仕組みが不可欠です。

「リードを増やす」だけでは危険——KGIから逆算する目標設計

事業戦略で掲げた売上目標(KGI)を実行に移す際、「リードを〇件増やす」「PVを稼ぐ」といった部分的なKPIだけを目標にすると、施策の実行自体が目的化してしまいます。

弊社の支援現場では、事業の目標売上から必要な受注数を導き、プロセス係数(リードからの商談化率20〜30%、商談からの案件化率40〜60%、受注率20〜40%)を用いて必要なリード数や商談数を逆算することを鉄則としています。

指標

算出方法の例

目標売上(KGI)

事業計画から設定

必要受注数

目標売上 ÷ 平均受注単価

必要商談数

必要受注数 ÷ 受注率(20〜40%)

必要案件化数

必要商談数 ÷ 案件化率(40〜60%)

必要リード数

必要案件化数 ÷ 商談化率(20〜30%)

この逆算ロジックに基づく目標設計こそが、マーケティングと営業が「事業貢献」という同じベクトルに向かって動くための土台になります。「この戦略を実行すれば、これだけの事業インパクト(売上)が創出できる」という明確なロードマップが完成し、経営層や現場の納得感を得やすくなります。

事業戦略に使えるフレームワーク7選

事業戦略に使えるフレームワーク7選

事業戦略の各ステップで活用できる代表的なフレームワークを、使いどころとともに紹介します。

1. PEST分析(マクロ環境を把握する)

政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)の4つの視点から、自社を取り巻くマクロ環境を分析するフレームワークです。

使いどころ:ステップ1の外部環境分析で最初に使います。市場参入のタイミングや中長期的なリスク・機会を把握するのに有効です。

BtoBでの活用ポイント:法規制の変化(P)や業界のDX動向(T)は、BtoB企業の事業戦略に直結します。「自社の事業に影響を与える外部要因は何か」を洗い出す起点として活用してください。

2. 3C分析(市場の構造を理解する)

顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの視点から、事業環境を分析するフレームワークです。

使いどころ:ステップ1〜2で、事業の成功要因(KSF:Key Success Factor)を見つけ、戦略の方向性を決める際に使います。

BtoBでの活用ポイント:BtoBでは「顧客の顧客」まで視野に入れることが重要です。自社の顧客が抱える課題だけでなく、その先のエンドユーザーのニーズまで把握することで、より深い価値提案が可能になります。

3. 5フォース分析(業界の競争構造を読む)

業界の収益性を決める5つの競争要因(既存競合・新規参入・代替品・買い手の交渉力・売り手の交渉力)を分析するフレームワークです。

使いどころ:ステップ1の外部環境分析で、業界全体の魅力度や自社の交渉力を評価する際に使います。

BtoBでの活用ポイント:SaaS業界のように参入障壁が低い市場では、新規参入の脅威を常にウォッチする必要があります。一方、製造業のように設備投資が大きい業界では、既存競合との差別化が焦点になります。

4. SWOT分析(戦略オプションを導き出す)

強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)を整理し、クロスSWOTで戦略オプションを導き出すフレームワークです。

使いどころ:ステップ2〜3で、PEST・3C・5フォースの分析結果を統合し、具体的な戦略の方向性を決める際に使います。

BtoBでの活用ポイント:SWOT分析は単独で使うよりも、他のフレームワークの分析結果を「統合する場」として使うのが効果的です。特にクロスSWOT(強み×機会、弱み×脅威など)で戦略オプションを出すことで、具体的なアクションに繋がります。

フレームワークを「ただの穴埋め」にしない——一次情報の収集が戦略精度を決める

3C分析やSWOT分析などのフレームワークは、入力する「情報の質」が戦略の精度に直結します。会議室の憶測や社内の思い込みだけでマス目を埋めても、顧客の本当のニーズから乖離した「売り手視点の戦略」に陥る罠があります。

弊社のメソッドで強く推奨しているのは、分析のインプットとして**「顧客のリアルな声(一次情報)」を徹底的に収集する**ことです。具体的には、以下のような情報を集めます。

  • 営業部門へのヒアリング:商談で顧客が口にしたペイン(悩み)、競合と比較された際のリアルな決め手
  • 既存顧客へのインタビュー:「なぜ他社ではなく自社を選んだのか」という客観的な事実
  • 失注分析:選ばれなかった理由から見える自社の弱みや市場のギャップ

この泥臭いプロセスを経てフレームワークに落とし込むことで、競合と比較されても確実に勝てる「独自の強み(競合優位性)」を言語化できます。フレームワークは「分析ツール」であると同時に、一次情報を構造化して戦略に変換する「翻訳装置」として活用してください。

5. VRIO分析(自社の「真の強み」を特定する)

VRIO分析は、アメリカの経営学者ジェイ・B・バーニー氏が1991年に発表した経営戦略論の中で提唱されたフレームワークです。経営資源を価値(Value)・希少性(Rarity)・模倣困難性(Imitability)・組織(Organization)の4つの視点で評価します。

使いどころ:ステップ1の内部環境分析で、自社の持続的な競争優位性の源泉を特定する際に使います。

BtoBでの活用ポイント:「自社の強みは何か」と聞かれて即答できない企業は少なくありません。VRIO分析を使えば、「価値はあるが希少性がない(=競争均衡)」「希少だが模倣されやすい(=一時的な優位)」など、強みの質を段階的に評価できます。

評価項目

質問

「No」の場合

Value(価値)

その資源は顧客に価値を提供するか?

競争劣位

Rarity(希少性)

その資源を持つ競合は少ないか?

競争均衡

Imitability(模倣困難性)

競合が模倣するのは難しいか?

一時的な競争優位

Organization(組織)

その資源を活かす組織体制があるか?

持続的な競争優位(未実現)

6. バリューチェーン分析(価値の源泉を見つける)

バリューチェーンはマイケル・ポーター氏が著書『競争優位の戦略』で提唱したフレームワークで、企業の提供価値を主活動(購買物流・製造・出荷物流・マーケティング・販売・サービス)と支援活動(企業インフラ・人材資源管理・技術開発・調達)に分け、企業活動がどのようにして価値を構成するかを構造的に捉えます。

使いどころ:ステップ1の内部環境分析で、自社のビジネスを構成する項目を段階的に整理して「どこで」「何の活動が」利益を生み出しているのかを明確にし、資源配分の見直しやコスト削減・業務効率の向上に活用します。

BtoBでの活用ポイント:BtoBにおいてビジネスの持続・成長のためには単なるコスト削減だけではなく付加価値の提供が重要であり、バリューチェーン分析を活用するとコスト削減以外にどのプロセスで価値や品質の向上が可能かが見えてきます。

7. アンゾフの成長マトリクス(成長の方向性を決める)

事業成長の方向性を検討する際、多くのBtoB企業が「新規開拓すべきか」「既存顧客深耕を優先すべきか」という問いに直面しますが、アンゾフ・マトリクスはこうした成長戦略を4つの選択肢に整理し、判断の軸を与えてくれるフレームワークです。

既存製品

新規製品

既存市場

市場浸透(低リスク)

新製品開発

新規市場

新市場開拓

多角化(高リスク)

使いどころ:ステップ2〜3で、事業拡大の方向性を決める際に使います。

BtoBでの活用ポイント:近年ではBtoBマーケティングやインサイドセールス、ABM(アカウントベースドマーケティング)との親和性が高く、顧客セグメント戦略やターゲット優先度の設計にも応用されています。まずは「市場浸透」で既存顧客の深耕を図り、そこで得た知見をもとに「新市場開拓」や「新製品開発」に展開するのが、リスクを抑えた成長の定石です。

事業戦略の成功事例・失敗パターンに学ぶ

成功のポイント:環境変化を先読みし、戦略を転換する

Netflixは、DVDレンタル事業がライフサイクルの視点から成熟期から衰退期に移り変わっていることを推測し、動画ストリーミングに焦点を移してオンデマンドで映画やテレビ番組を提供する新たなビジネスモデルを構築しました。この戦略により映画業界を変革し、世界中で数百万人以上のサブスクリプション会員を獲得しています。

この事例から学べるのは、既存事業の成功に安住せず、市場の変化を先読みして事業戦略を転換する判断力の重要性です。

スターバックスは独自の店舗展開戦略を展開し、コーヒーショップの経験を提供することで世界中で成功を収めました。ブランド力と店舗スタッフへの集中投資により、差別化戦略で一貫性のある店舗体験を実現しています。

失敗のポイント:よくある4つのパターン

事業戦略の策定・実行で陥りがちな失敗パターンを整理します。

1. 顧客不在の戦略 自社の技術やリソースを起点に戦略を立て、「顧客が本当に求めているもの」を見落とすケースです。BtoBでは特に、顧客の業務課題を深く理解しないまま製品・サービスを設計してしまうリスクがあります。

2. 過去の成功体験への依存 「以前うまくいった方法」に固執し、市場環境の変化に対応できないケースです。成功と失敗から学ぶことが重要であり、企業が直面する様々な課題にどのように取り組んだかを分析することで、戦略策定のヒントを得ることができます。

3. 戦略と実行の乖離 どれほど優れた戦略であっても実行されなければ成果にはつながらず、会社全体が同じ方向性を共有していなければ戦略は現場で機能しないまま終わってしまいます。

4. 撤退基準の未設定 事業開始時に明確な撤退基準を設定し、「6ヶ月後に月間売上100万円を達成していなければ撤退」など具体的な数値目標と期限を設定することで、感情に流されない判断ができます。

Q
事業戦略の見直しはどのくらいの頻度で行うべきですか?
A
最低でも年1回、市場環境の変化が激しい業界では四半期ごとの見直しが推奨されます。定期的なKPIモニタリングと合わせて、戦略の前提が崩れていないかを確認しましょう。

事業戦略をマーケティング施策に落とし込むには

事業戦略を策定しても、それが機能戦略(マーケティング・営業など)に正しく落とし込まれなければ、成果にはつながりません。ここでは、BtoB企業が事業戦略をマーケティング施策に接続する方法を解説します。

戦略→機能戦略への接続ステップ

1. ターゲットを具体化する 事業戦略で定めた「誰に」を、マーケティングで使えるレベルまで具体化します。業種・企業規模・部署・役職・課題など、ペルソナとして言語化することで、施策の精度が上がります。

2. 差別化軸をコンテンツにマッピングする 弊社の「BtoBグロースステップ」の実務知見では、戦略で導き出した「差別化軸」を、ペルソナの選定基準やカスタマージャーニーマップに反映させることを推奨しています。ターゲットの検討フェーズに合わせて、自社の強みを証明する「導入事例」や「競合比較表」などのキラーコンテンツを戦略的にマッピングしましょう。

検討フェーズ

顧客の行動

有効なコンテンツ例

認知・興味

課題を調べ始める

ノウハウ記事、業界レポート

比較検討

解決策を比較する

競合比較表、導入事例

商談・意思決定

社内稟議を通す

ROI試算資料、無料診断

戦略とコンテンツ(実行)を「線」で繋ぐこのプロセスが、描いた戦略を確実な事業成果(リード獲得や受注)へと転換させます。

3. KPIを事業戦略と連動させる マーケティングのKPI(リード数、MQL数、商談化率など)を、事業戦略の目標(売上、シェア、利益率など)から逆算して設定します。

BtoBマーケティングでは、ターゲット設計→Webサイト構築→集客チャネル→CV(コンバージョン)の順番で施策を組み立てるのが基本です。事業戦略で定めた「誰に・何を」が、この流れの起点になります。

「戦略はあるが実行が追いつかない」を解消する

BtoB企業でよくある課題が、「戦略はあるが実行が追いつかない」「施策は回しているが全体像が見えない」といったマーケ特有の課題です。

この課題を解消するには、以下の3つが重要です。

  • 体制の整備:意思決定者・専任担当者・外部パートナーの三位一体で推進する
  • 優先順位の明確化:すべてを同時にやろうとせず、事業戦略に基づいて施策の優先順位を決める
  • PDCAの仕組み化:施策の実行→効果測定→改善のサイクルを回す仕組みを作る

マーケと営業の分断を防ぐ——SLA(引き渡し基準)の合意

優れた事業戦略を描き、マーケティング部門がリードを獲得しても、営業部門が「質が悪い」とフォローしなければ、事業目標(受注)は達成できません。

この分断を防ぐためには、戦略設計の段階でペルソナとカスタマージャーニーを両部門の共通言語として共有し、**SLA(Service Level Agreement:引き渡し基準)**を明確に合意することが不可欠です。

例えば、以下のようなルールを設定します。

  • 有効リード(MQL)の定義:自社の強みを訴求した特定のキラーコンテンツを閲覧し、導入時期やニーズが明確になったリード
  • 営業のアクション基準:MQL認定から24時間以内に初回アプローチを実施
  • フィードバックの仕組み:営業からマーケへ、リードの質に関する定期的なフィードバックを行う

この一気通貫のプロセス設計が、戦略を真の事業貢献へと昇華させます。

まとめ

事業戦略は、経営戦略と機能戦略の間に位置し、「個別事業でどう勝つか」を決める重要な戦略です。

策定のポイントを振り返ります。

  • 3層構造を理解する:経営戦略・事業戦略・機能戦略の役割を区別する
  • 4ステップで進める:環境分析→ドメイン定義→方針決定→実行計画
  • フレームワークを使い分ける:PEST・3C・5フォース・SWOT・VRIO・バリューチェーン・アンゾフの成長マトリクスを目的に応じて組み合わせる
  • 実行と振り返りを仕組み化する:KPIの設定と定期的なモニタリングで「絵に描いた餅」を防ぐ

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よくある質問

Q
事業戦略と経営戦略の違いは何ですか?
A
経営戦略は企業全体の方向性(どの事業に投資するか)を決め、事業戦略は個別事業で「どう勝つか」を決めます。単一事業の企業では両者がほぼ一致しますが、複数事業を展開する企業では明確に区別する必要があります。
Q
事業戦略の策定に使えるフレームワークはどれを選べばいいですか?
A
目的に応じて使い分けます。外部環境の把握にはPEST・5フォース、市場構造の理解には3C、自社の強み特定にはVRIO・バリューチェーン、戦略オプションの導出にはSWOT、成長方向の決定にはアンゾフの成長マトリクスが有効です。
Q
事業戦略を立てる手順を教えてください。
A
「外部・内部環境の分析→事業ドメインの定義→競争優位の方針決定→実行計画への落とし込み」の4ステップで進めます。各ステップでフレームワークを活用し、最後にKPIを設定して定期的に振り返る仕組みを作ることが重要です。
Q
事業戦略と競争戦略の違いは何ですか?
A
事業戦略と競争戦略はほぼ同義で使われることが多いですが、厳密には事業戦略が「特定事業で何を目指し、どう資源配分するか」という全体方針を指すのに対し、競争戦略は「競合に対してどう差別化するか」に焦点を当てた概念です。マイケル・ポーターが提唱した「コストリーダーシップ」「差別化」「集中」の3つの基本戦略は、事業戦略の中核をなす競争戦略の代表例です。
Q
中小企業でも事業戦略は必要ですか?
A
はい、むしろ中小企業こそ事業戦略が重要です。大企業と比べてリソースが限られるため、「どこで戦い、どこで戦わないか」を明確にしなければ、経営資源が分散して成果が出にくくなります。まずは自社の強みが最も活きる市場セグメントを1つ選び、そこに集中する戦略を立てることが第一歩です。

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菊池 貴行(きくち たかゆき)
菊池 貴行(きくち たかゆき)
金融機関、メディア運営会社を経て2018年より株式会社ベーシックへ入社。 ferret Oneカスタマーサクセス部にて、オンボーディングチーム立ち上げメンバーとして活躍し、顧客の「BtoBマーケティング」の立ち上げ支援を行い、 担当社数は累計120社以上。 製造業・ITサービス・コンサルティングサービスなど、有形から無形の幅広い業界の企業に対して、各社の事業理解から組織状態など踏まえた顧客に 寄り添った戦略設計や施策の設計などマーケティング支援を行う。 現在はマーケティング部にてセミナーの企画から講師を担当し、これまでに支援してきた豊富な経験をもとにした、実務に使えるセミナー内容に定評がある。

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