「自社の強みが見つからない」から脱却!BtoBマーケティングの「自社の強み」の見つけ方|3C・SWOT・VRIO活用による顧客視点の価値発見
BtoBマーケティングに取り組む中で、「競合との差別化が難しい」「自社の強みをどう表現すれば顧客に響くのか分からない」といった悩みに直面していませんか?ひょっとすると、「そもそも当社には強みなんて無いのでは…」と感じている方もいるかもしれません。
実はこの悩みは珍しいことではなく、国内の大手製造業やSIer(システムインテグレーター)でさえ直面している課題です。例えば、現在の市場環境では海外から安価な製品が流入し、製品性能も各社で均質化が進んだ結果、「高品質」というだけでは差別化が難しくなっています(参考:BtoB製造業にマーケティングは必要?課題や具体的手法、成功事例を解説)。
また、特定の顧客要件に合わせることが多い大手SIerやSaaS企業でも、自社の特徴を打ち出しづらく、結局「価格」でしか差別化できない状況に陥りがちだと指摘されています(参考:価格競争から一歩抜け出すコンテンツ戦略|競合との明確な差別化のために)。
このように、多くの企業が素晴らしい技術やサービスを持ちながら、それを顧客にとっての「価値」として言語化できていないために機会損失を生んでいるのが現状です。
しかし、どんな企業にも必ず強みは存在します。それが表に現れていないだけかもしれません。例えば、ある企業ではホームページ上に自社の強みや顧客事例が明確に示されておらず、競合と差がないように見えていました
実際には「補助金採択率100%」という圧倒的な実績を持っていたにもかかわらず、その事実が発信されていなかったのです(参考:BtoB企業のマーケティング成功・失敗事例から考える成功企業の共通点)。
強みを再発見し、それを正しく伝えることで、問い合わせ数や成約数が飛躍的に向上するケースもあります。
成果を出すために必要なのは、単なる機能の列挙ではなく、顧客の課題に基づいた「強みの再定義」です。そして、その強みをペルソナやカスタマージャーニーといった戦略全体に一貫して組み込むことが求められます。
本記事では、BtoBマーケティングにおける「自社の強み」の正しい定義方法から、3CやVRIOなどのフレームワークを使った具体的な分析手順、さらに戦略への落とし込み方までを徹底解説します。
あわせて読みたい:[保存版] BtoBマーケティングの戦略設計|顧客理解からペルソナ・ROI試算まで完全解説
この記事の要点
- 「機能(スペック)」と「価値(ベネフィット)」の違いを理解し、顧客視点で強みを定義する
- 3C、VRIO、SWOT分析を用いて、客観的な事実に基づき「勝ち筋」を見つける
- 抽出した強みをペルソナやカスタマージャーニーに反映させ、一貫した戦略を作る
- 社内の思い込みを排し、事実情報(一次情報)に基づいた分析で社内合意を形成する
目次[非表示]
BtoBマーケティングにおける自社の強みとは?機能と価値の違い
多くのBtoB企業が陥りがちな罠は、「自社の強み=製品の機能やスペック」だと勘違いしてしまうことです。しかし、マーケティングにおいて重要なのは「顧客がなぜその製品を選ぶのか」という理由、すなわち提供価値(ベネフィット)です。ここでは、機能と価値の違い、そして顧客視点での強みの定義について解説します。
なぜ技術力や品質だけでは強みにならないのか
「高い技術力がある」「品質には自信がある」。これは日本の製造業やIT企業でよく聞かれる言葉です。しかし、これら自体はあくまで「特徴(Feature)」であり、顧客にとっての「購入の決め手(Benefit)」になっているとは限りません。技術的な優位性は企業側から見れば誇れる点でも、顧客にはその価値が伝わりにくい場合があります(参考:BtoB製造業が競合と差別化するためのコンテンツ戦略とは?)。
例えば、顧客が求めているのが「短納期での納品」であれば、どれほど技術力が高くても納期が遅ければ選択肢に入りません。また、競合他社も同様に「高品質」を謳っている場合、顧客からは「違いがない」と判断されます。実際、製造業の分野では優れた技術や性能を持っていても、それを効果的に伝えられず価格や納期で比較されてしまうジレンマに陥ることが少なくありません(参考:BtoB製造業にマーケティングは必要?課題や具体的手法、成功事例を解説)。
BtoB市場では顧客は常に複数の選択肢を論理的に比較検討します。その際、「他社よりも優れている点」や「自社の課題を最も解決してくれる点」が明確でなければ、最終的な選定には残りません。独りよがりの「良いもの」アピールから脱却し、相対的な優位性を見つける必要があります。
顧客視点(Jobs-to-be-Done)で定義するベネフィットの重要性
真の強みを見つけるためには、「Jobs-to-be-Done(片付けるべき用事)」という考え方が有効です。これは「顧客は製品そのものが欲しいのではなく、その製品を使うことで何かを成し遂げたい(ジョブを解決したい)のだ」という視点です
例えば、ドリルを買う顧客が本当に欲しいのはドリルそのものではなく「穴」です。さらに言えば、「棚を取り付けて部屋をきれいにしたい」という目的があるかもしれません。BtoBにおいても同様で、顧客企業は製品やサービス自体ではなく「それによって達成できる成果」や「解決できる課題」に価値を見出します(参考:なぜ顧客はあなたの製品を選ぶのか ― B2Bにおけるジョブ理論の実践ガイド)。
具体的に言えば、以下のような変換が必要です。
- 機能:24時間365日の有人監視体制
- 価値(ベネフィット):深夜のシステムトラブルでも担当者が叩き起こされず、翌朝まで安心して眠れる
このように、自社の特徴が顧客のどのような「不(不安・不満・不便)」を解消するのかを言語化できて初めて、それはマーケティング上の「強み」となります。IT業界に限らず、技術的な強みそのものは顧客にとって実感しづらいため、「それがどう役立つのか」という橋渡しが必要です(参考:BtoB製造業が競合と差別化するためのコンテンツ戦略とは?)。
単なるスペックの説明ではなく、顧客が得られるメリットや安心感にまで落とし込むことが重要です。
社内の思い込みによる分析が招く失敗リスク
強みの分析を行う際、最も避けるべきは「社内の会議室だけで決めること」です。「我が社の強みはこれだ」という社内認識が、実際の顧客ニーズとズレているケースは少なくありません。
思い込みによる分析が進むと、以下のような失敗を招きます。
- Webサイトで顧客が求めていない機能を強調してしまう
- 競合がすでに解決済みの課題をアピールし、陳腐化して見える
- 営業現場で「響かない」提案を繰り返し、失注が増える
客観的な事実や顧客の声(一次情報)に基づかない強みは、単なる「願望」に過ぎません。実際、社内で「当たり前」だと思って見過ごされていることの中に、顧客視点では大きな強みが隠れていることもあります。多くのIT企業では、過去に築いた実績・得意領域・顧客からの高評価といった貴重な資産が日々の業務に埋もれて言語化されていないケースが少なくないと指摘されています(参考:BtoB製造業が競合と差別化するためのコンテンツ戦略とは?)。
例えば、「中堅製造業向けに生産管理システムの個別カスタマイズを20件以上行った」「5年以上継続契約している顧客が8割を超えている」といったデータは本来強力な訴求材料ですが、それが提案資料やWebサイトに反映されていない例も多いのです。
これは決して技術力の問題ではなく、マーケティング視点での「見せ方」と「語り方」が欠けているだけだとされています(参考:BtoB企業のマーケティング成功・失敗事例から考える成功企業の共通点)。
マーケティング担当者は、社内の常識を疑い、市場の現実と照らし合わせる冷静な視点を持つことが求められます。社内の思い込みを排除し、一次情報に基づいて強みを再発見することが、的外れなアピールによる失敗リスクを避ける鍵となります。
強みを客観的に整理する主要フレームワーク3選とBtoB特有の視点
自社の強みを客観的にあぶり出すためには、実績のあるフレームワークを活用するのが近道です。ここではBtoBマーケティングで特に有効な3つの分析手法と、それぞれの活用ポイントを解説します。
3C分析:市場・競合・自社の関係性から勝ち筋を探る
3C分析は、以下の3つの要素から成功要因(KSF:Key Success Factor)を導き出すフレームワークです。
- Customer(市場・顧客):顧客の課題、ニーズ、市場規模
- Competitor(競合):競合の特徴、シェア、強み・弱み
- Company(自社):自社のリソース、特徴、強み・弱み
BtoBにおいて重要なのは、「競合が満たせていない顧客ニーズ(空白地帯)」を見つけることです。例えば、「大手の競合A社は機能が豊富だがサポートが手薄で導入ハードルが高い」という市場の声がある場合、自社の「手厚い伴走支援」は強力な差別化要因になり得ます。
自社だけで考えるのではなく、必ず「競合との比較」の中で強みを定義しましょう。逆に言えば、競合と比べて優位性が見当たらない特徴は強みではなく「当たり前」か「劣位」の可能性があります。3C分析によって「顧客が重視するのに競合が提供できていない価値」を探り当てることが、勝ち筋発見のポイントです。
VRIO分析:その強みが持続的競争優位かを見極める
VRIO(ブリオ)分析は、自社の経営資源(リソース)を以下の4つの問いで評価し、競争優位性の持続可能性を判断する手法です。
- Value(経済的価値):そのリソースは機会の活用や脅威の無効化に役立つか?
- Rarity(希少性):そのリソースは他社が持っていない希少なものか?
- Imitability(模倣困難性):そのリソースは他社が簡単に真似できないか?
- Organization(組織):そのリソースを活用する組織体制が整っているか?
特に「I(模倣困難性)」は重要です。単なる「低価格」や「新機能」はすぐに真似されてしまいますが、「長年蓄積した独自データ」や「顧客との深い信頼関係」、「特許技術」などは簡単には模倣できません。
VRIO分析を通じて、その強みが一時的なものなのか、長期的に戦える武器なのかを見極めましょう。さらに、たとえ価値・希少性・模倣困難性の3点を満たす資源であっても、それを活用できる組織力(人材や仕組み)が伴っていなければ宝の持ち腐れになります。例えば、「高度な技術者がいる」のは強みですが、その人材を活かすプロジェクト体制やナレッジ共有の文化(O)がないと成果に直結しません。4つの観点すべてを満たす資源こそが、持続的競争優位の源泉となります。
SWOT・クロスSWOT分析:機会と脅威を掛け合わせ戦略を導く
SWOT分析は、内部環境のStrength(強み)、Weakness(弱み)と外部環境のOpportunity(機会)、Threat(脅威)を整理する手法です。自社の内部要因と市場の外部要因を網羅的に洗い出すことで、現状認識を立体的に把握できます。
さらに、これらを掛け合わせる「クロスSWOT分析」を行うことで、具体的な戦略オプションが見えてきます。例えば:
- 強み×機会(積極攻勢):自社の強みを最大限に活かし、市場の追い風に乗ってシェアを拡大する戦略
- 強み×脅威(差別化):外部の脅威(新規競合の参入など)に対し、自社の強みで回避・対抗する戦略
- 弱み×機会(改善策):市場の機会を逃さないために、弱点を補強したりパートナー提携で穴を埋める戦略
- 弱み×脅威(専守防衛・撤退):最悪の組み合わせ。重大な脅威にさらされて弱みが致命傷となる領域は、守りに徹するか撤退も検討
フレームワークは単にマトリクスを埋めて満足するのではなく、「だから具体的にどう動くのか」というアクションプランまで落とし込むことが重要です。クロスSWOTで導き出された戦略案に優先順位を付け、自社のリソース配分や施策のロードマップに反映させましょう。
フレームワーク分析の実践手順:情報収集から言語化まで
フレームワークを有効活用するためには、分析の前段階である「情報の質」が重要です。どんなに優れた枠組みでも、入力する材料が主観や憶測だらけでは正しい結論は導けません。ここからは、実際にBtoBマーケティング担当者が自社の強みを定義するための具体的な3つのステップを紹介します。
ステップ①事実情報の収集(営業ヒアリング・顧客アンケート・競合調査)
まずは、分析の素材となる「事実情報」を集めます。机上の空論に陥らないよう、社内外のリアルな声やデータ(一次情報)を徹底的に収集してください。
営業担当者へのヒアリング:営業現場は宝の山です。「顧客が当社を選んだ一番の理由は何と言っていたか?」「逆に、失注した際に見込み顧客が評価していた競合のポイントは何だったか?」といった具体的なエピソードを聞き出します。現場で日々接している営業の視点から、自社製品・サービスの評価ポイントや弱点が見えてくるでしょう。
既存顧客へのアンケート・インタビュー:実際に製品を使用している顧客に、満足している点や改善してほしい点を直接伺います。「なぜ当社を選んだのか」「導入後にどんなメリットがあったか」は特に重要な質問です。NPS(ネットプロモータースコア)調査などで定量的に把握することも有効ですが、少数でも直接インタビューを行うと意外な本音が得られることがあります。
競合調査:競合他社のWebサイト、プレスリリース、導入事例、口コミサイト、ホワイトペーパー等を徹底的にリサーチします。彼らがどのような訴求ポイントを押し出しているか、どんな顧客層を狙っているか、価格帯や提供スキームはどうか――競合の強み・弱みの仮説を立て、自社と比較する材料を集めます。また、自社では当たり前と思っていた機能が実は競合には無い可能性や、その逆も見えてきます。
情報収集の段階では、「こうに違いない」という思い込みをできるだけ排し、事実ベースで洗い出すことが重要です。社内の成功事例や失敗事例も含め、様々な角度から材料を集めておくほど、次のステップでの分析が精度を増します。
ステップ②フレームワークへのマッピングと客観視
収集した情報を、前述の3CやSWOTなどのフレームワークに書き出して整理します。この段階では、まだ「強み」と断定せず、客観的な事実として淡々と整理することがポイントです。フレームワークへの情報マッピング作業そのものが、チーム内の認識を揃え、思い込みを排除するトレーニングにもなります。
例えば3C分析であれば、以下のように整理します。
- 顧客(Customer):「導入コストを抑えたい」「専門知識がないので運用が不安」「既存システムとの連携が課題」
- 競合(Competitor):「競合X社:多機能だが高価格」「競合Y社:低価格だがカスタマーサポートはメールのみで不安」「競合Z社:同業界での実績豊富だがカスタマイズ性が低い」
- 自社(Company):「機能は必要最小限にフォーカス(シンプル)」「専任のカスタマーサクセス担当が導入から支援」「価格は中価格帯でコスパ良し」「既存システムとの連携実績が豊富」
このように情報を可視化することで、「自社は競合に比べて機能数では劣るが、その分シンプルで使いやすい。さらに手厚いサポートによって『運用不安』を感じている顧客層にはむしろ適しているのではないか」といった仮説が見えてきます。主観ではなく事実を書き出すことで、社内の議論も「どれが本当の強みか」を冷静に見極める方向に進めやすくなります。
SWOT分析でも同様に、ステップ1で洗い出した内部要因・外部要因をマトリクスに整理します。ポイントは、社内メンバーだけでなく必要に応じて営業や顧客の声も踏まえてブラッシュアップすることです。例えば、一度作ったSWOT表を営業チームに見せて「この強みはお客様視点でも強みと感じますか?」と問えば、思いがけないフィードバックをもらえるかもしれません。
ステップ③機能的特徴を顧客への提供価値へ変換する
最後に、整理した自社の特徴を「顧客への提供価値(ベネフィット)」に変換します。ここでは「So What?(だから何?)」という問いを繰り返す手法が有効です。特徴を挙げたら、「それが顧客にとって何をもたらすのか?」を自問します。そして出てきた答えに対してさらに「So What?」を繰り返し、本質的な価値を掘り下げます。
変換の例:
特徴:創業50年の歴史がある
- So What?→ 業界の知見が豊富で、トラブル時の対応ノウハウが蓄積されている
- 提供価値:予期せぬトラブルでも業務を止めない安定稼働と安心感
特徴:自社工場で一貫生産している
- So What?→ 仕様変更にも柔軟に対応でき、中間マージンが発生しない
- 提供価値:特殊なオーダーでも低コストかつ短納期で実現できる
特徴:導入企業数が業界最多
- So What?→ 多くの導入実績から得られたベストプラクティスが共有されている
- 提供価値:初めて導入する顧客でも、つまずきやすいポイントが事前に分かり安心
このように言語化された価値こそが、Webサイトや営業資料で訴求すべき「真の強み」です。一見当たり前に思える特徴でも、「それによって顧客が得をすることは何か?」を突き詰めると、強力なセールスポイントに変わります。逆に、「So What」を繰り返しても明確な提供価値につながらない特徴は、おそらく訴求の優先度は低いでしょう。特徴と価値をペアで洗い出す作業により、自社のメッセージがぐっと顧客寄りになり、刺さりやすくなります。
分析結果を戦略設計(STP・ペルソナ・CJ)に実装する
強みの定義付けができたら終わりではありません。重要なのは、その強みをマーケティング戦略全体に組み込み、一貫したメッセージとして発信することです。ここからは、定義した強みを具体的な戦略・施策に落とし込むポイントを解説します。
抽出した強みをペルソナの課題解決ストーリーに組み込む
定義した強みは、設定したペルソナ(理想的な顧客像)が抱える課題を解決する「鍵」でなければなりません。ペルソナとはターゲット顧客を具体的に描写した仮想人物ですが、ペルソナ設定が形骸化して「絵に描いた餅」になっていないか、ここで見直してみましょう。
例えば、ペルソナが「30代後半の製造業情シス担当。DX推進を任されているが、新技術の社内説明に自信がない」という人物像だとします。このペルソナの課題は「上司や現場を説得できる材料が欲しい」「失敗したくないので実績やサポートが充実した製品を選びたい」といった点かもしれません。ここで自社の強みが「業界最多の導入実績に裏打ちされた提案ノウハウ」と「導入後の充実した研修サポート」であれば、それはペルソナの課題を解決する強力な武器となります。ペルソナが感じる不安に対し、強みが具体的にどう安心材料になるのか、ストーリーとして繋げてください。
逆に、ペルソナが「コスト削減」を最優先しているのに、自社が「高品質・高価格」を強みとして訴求しても響きません。この場合はペルソナ設定か強みの捉え方のどちらかを見直す必要があります。
重要なのは、抽出した強みがペルソナの課題解決ストーリーの中で自然な解決策(ソリューション)として機能しているかを確認することです。強みに基づいて自社が提供できる価値が、ペルソナの「ジョブ」(成し遂げたい仕事)に直結しているかを物語れるようになれば、メッセージに一貫性が生まれます。場合によっては分析の過程で当初想定していたペルソナ像を修正することも厭わず、柔軟にすり合わせていきましょう。
カスタマージャーニー(CJ)の各フェーズで訴求する強みの使い分け
顧客は検討段階によって求める情報や重視するポイントが異なります。カスタマージャーニーマップ(CJ)上の各フェーズ(認知→興味関心→比較検討→意思決定→導入・継続利用など)に合わせて、訴求すべき強みを適切に使い分ける設計が必要です。
認知・興味関心フェーズ:
- 顧客心理:「自分の課題を解決する方法があるのか?」「この分野で信頼できる情報源はどこか?」
- 訴求する強み:業界での実績や知見、課題への共感、ソートリーダーシップ(業界をリードする洞察)。例えば「○○業界での導入社数No.1」「専門ブログで定期発信している豊富なノウハウ」などは、まず信頼感を醸成し興味を持ってもらうのに有効です。
比較検討フェーズ:
- 顧客心理:「他社製品と何が違うのか?」「自社の要件に合うのはどれか?」
- 訴求する強み:機能の独自性、コストパフォーマンス、サポート体制、具体的な導入効果など、他社比較で優位に立てるポイントです。例えば「唯一AIによる自動○○機能を搭載」「導入後半年で○%の生産性向上を実現した事例あり」など、競合では得られない価値を提示します。ここで「なぜ当社だけがそれを提供できるのか」まで語れると、価格以外の評価軸で選ばれる可能性が高まります(参考:価格競争から一歩抜け出すコンテンツ戦略|競合との明確な差別化のために)。
決定・購入フェーズ:
- 顧客心理:「この選択で間違いないか?」「社内決裁者を納得させる材料は揃ったか?」
- 訴求する強み:導入のしやすさ、セキュリティ・信頼性、導入後のサポート、無料トライアルや返金保証など、最後の背中を押す安心材料です。例えば「ISO準拠のセキュリティ認証取得」「○○社も利用する信頼性」「2週間の無料トライアルで効果を実感できます」などがあると、リスクを感じている顧客も一歩踏み出しやすくなります。
各フェーズで訴求ポイントを変えても、根底にある提供価値のストーリーは統一しておく必要があります。認知段階では課題提起と共感、検討段階では差別化ポイントの提示、決定段階では確証と安心感というように、強みを文脈に合わせて語り分けましょう。顧客が「この会社はどの段階でも一貫して自分たちのことを理解し価値提供してくれる」と感じられることが理想です。
Webサイト・コンテンツ・営業資料への具体的な展開方法
戦略が決まり訴求すべき強みが明確になったら、具体的なアウトプット(成果物)に落とし込みます。特に顧客との最初の接点になりやすいWebサイトは、強み訴求の要となる媒体です。
Webサイト(コーポレートサイト・LP)
ファーストビュー(FV)には最も強力な「提供価値」を一言で表すキャッチコピーを配置します。例えば強みが「業界最高クラスのスピード対応」なら、「○○業界最速、御社の課題を翌日までに解決します」といった具合に、訪れた瞬間に自社のウリが伝わる工夫をします。
また、トップページやサービス紹介ページでは、3C分析で見つけた競合との差別化ポイントを図解や表で示すのも有効です。「他社との比較」や「選ばれる理由」を視覚的に示すことで、お客様は自社の立ち位置を理解しやすくなります。
さらに、サイト内のコンテンツ(ブログ記事や導入事例ページなど)でも、強みを裏付ける具体的な事例やノウハウを発信しましょう。権威性や信頼性を高めるため、数字や客先の声を盛り込むこともポイントです。コンテンツ(ブログ・ホワイトペーパー等)
強みそのものを直接アピールする記事だけでなく、顧客の課題解決に役立つノウハウ提供記事や業界トレンド解説を通じて間接的に強みを伝える方法もあります。
例えば自社の強みが「高度な技術力」や「豊富な知見」なら、それを活かした専門的な解説記事やセミナー資料を提供することで、「この会社は詳しい」「信頼できる」という印象を与えられます。コンテンツを通じて提供価値が自然と浮かび上がるストーリーを構成することが肝心です。
また、ホワイトペーパーでは課題提起から解決策提示までの流れの中で自社の強みをさりげなく位置付けると、営業現場でも使いやすい資料になります。営業資料・提案書
営業が商談で使うスライドや提案書にも、分析で得られた洞察を反映しましょう。
他社比較表や、ペルソナの課題とそれに対する自社の解決策を並べた図などは、営業トークの助けになります。特に、競合製品との機能比較だけでなく「導入後の支援体制」「成功事例数」「契約継続率」といった点でも自社が優れていることを示せれば、価格以外の評価軸を相手に提示できます。
さらに、営業資料には社内で埋もれていた強み(例えば前述の「継続契約率○%」などの実績データ)も盛り込み、客観的な根拠とともに語ることで説得力を増すでしょう。営業担当者から「こういう資料が欲しかった」と言われるくらい、現場感を意識した作り込みを心がけます。
こうした戦略設計から具体的なクリエイティブへの展開は、広範なスキルを要するため社内リソースだけで賄うのが難しい場合もあります。その際は、戦略設計に強みを持つ外部パートナーや代理店と協力するのも一つの手です。外部の視点を入れることで社内では気付かなかった強みが見えることもありますし、戦略から実行まで一貫してサポートしてもらえるメリットもあります。
社内を納得させる:分析結果の資料化と合意形成のコツ
マーケティング担当者にとって、せっかく導き出した分析結果や戦略を経営層や営業部門に理解・納得させ、組織として一貫した動きを取るようにすることは大きなハードルです。最後に、社内合意形成のポイントと実践的なコツを解説します。
経営層・営業部門が納得するロジックの組み立て方(根拠の提示)
経営層や営業部門を納得させるためには、「顧客の声」と「数字」に基づいた客観的なロジックが必要です。「私がこう思うから」ではなく、「顧客アンケートの8割がこの機能を評価している」「競合A社と比較して当社はこの要素で○○%コスト優位性がある」といった具体的事実を提示しましょう。社内で当たり前だと思っていたことでも、数値化して示すことで初めて説得力を持つ場合があります。
また、この強みを打ち出すことでマーケティングKPIや最終的な売上にどう貢献するか、ビジネスインパクトの視点で語ることも重要です。「この強みに焦点を当てたWebリニューアルにより見込み客の反応率が向上し、その結果○○万円の受注増が見込める」といった試算や論拠を示せれば、経営層も動かしやすくなります。事実に基づく仮説であれば、たとえ最初の予測どおりにいかなくても、後から原因検証や軌道修正がしやすいという利点も説明しましょう。
具体的な資料作りとしては、SWOTや3C分析の図解、ペルソナとカスタマージャーニーの図、競合比較表などを盛り込み、思考プロセスを可視化することが有効です。経営層は全体像や論理の飛びを気にしますので、「市場環境→課題認識→打ち手→効果予測」という流れが一目で分かる構成にします。例えば3C分析で市場の空白領域を見つけ、VRIOで強みの持続性を確認し、それを元にSTPを再設定した…というストーリーを時系列で示すと良いでしょう。「こう考えたからこの戦略に至った」という筋道が立っていれば、質疑にも理路整然と答えられるはずです。
リソース不足を解消し、客観性を担保する外部パートナーの活用
社内メンバーだけで分析・戦略立案を行うと、どうしても「忖度」や「希望的観測」が入り込みがちです。また、日々の業務に追われて深い分析や議論の時間が取れないという課題もあるでしょう。そのような場合は、外部のコンサルタントやマーケティング支援パートナーを活用することも検討してください。
第三者の視点が入ることで、社内のしがらみや前提にとらわれない客観的な分析が可能になります。外部パートナーは多数の企業支援で培ったフレームワーク活用の知見やベストプラクティスを持っているため、短時間で質の高いアウトプットを引き出せることも多いです。また、「プロが分析した結果」というお墨付きは、経営層への説得材料としても強力に機能します。社内提案時に「ここは外部の専門家とも議論し、客観的に導き出した結論です」と添えるだけで、聞き手の受け止め方が変わることもあります。
リソース不足の観点でも、外部を使うことで社内メンバーは他の業務に注力できるメリットがあります。分析結果の社内共有会に外部コンサルタントを同席させ、直接プレゼンや質疑応答をしてもらうのも一案です。組織全体を巻き込むには、「自社の強みを再発見し戦略を強化するプロジェクト」として位置付け、必要な投資と協力体制を確保することが成功への近道と言えます。
【まとめ】自社の強みは自社視点ではなく顧客視点で考える
BtoBマーケティングにおける「自社の強み」は、単に存在するものではなく、顧客の課題との接点で「定義」するものです。本記事で述べてきたポイントを振り返りましょう。
機能ではなく価値を語る:顧客のJobs-to-be-Doneに着目し、スペック上の特徴を顧客にとってのベネフィットへと変換する。技術自慢ではなく、「それによって顧客がどう成功するのか」の物語を語る。
フレームワークで客観視する:3C、VRIO、SWOTといったフレームワークを駆使し、思い込みではなく客観的事実に基づいて強みを洗い出す。他社にはない持続的優位となるポイントかも検証する。
戦略へ実装する:定義した強みをSTPやペルソナ、カスタマージャーニーに組み込み、一貫したメッセージとしてマーケティング施策全体を通じて発信する。どのフェーズでも強みが軸となり、顧客の意思決定を後押しするよう設計する。
事実に基づいて合意形成する:社内の思い込みや属人的な主張に頼らず、一次情報に裏打ちされた分析結果を資料化して共有する。必要に応じて外部の知見も借り、経営層や他部署を巻き込みながら、全社で強みを軸に戦略を推進する。
強みの明確化は、Webサイトのリニューアルやコンテンツ制作、リード獲得といったすべての施策の土台となります。しかし、自社だけで100%客観的に強みを見つけ出し、戦略に落とし込むのは容易ではありません。情報不足やノウハウの欠如により、分析が形骸化してしまうこともよくあります。
もし、「自社の強みがどうしても見つからない」「強みは分かったが戦略への落とし込み方がわからない」とお悩みであれば、BtoBマーケティングの専門家の力を借りるのも一つの手です。2,000社以上の支援実績を持つferretソリューションでは、貴社独自の強みを発掘し、成果につながる戦略設計から実行支援までをワンストップで提供しています。
ferretソリューションのサービス資料ダウンロードはこちら。 https://sol.ferret-one.com/















