BtoBマーケティング代行の賢い選び方|依頼先の見極め方と社内稟議の壁の乗り越え方

「BtoBマーケティングに取り組んでいるものの、思うような成果が出ない」「施策を実行したいが、社内のリソースやノウハウが足りない」といった悩みを抱えていませんか?

多くの中堅企業のマーケティング担当者は、限られた人員と予算の中で、戦略立案からコンテンツ制作、ツール運用まで幅広い業務をこなさなければなりません。その結果、施策が中途半端になり、経営層に対して明確な費用対効果を示せないという悪循環に陥りがちです。

BtoBマーケティングは専門性が高く、また必ずしも社内にマーケティングの専門家やプロが在籍している、というケースも珍しいです。もちろん社内で研修や外部の教材を活用しつつ、社内のマーケ人材育成を行っていくことも必要ですが、短期的には外部の力を借りることでマーケティング基盤を作るまでのリードタイムの短縮が可能です。

本記事では、こうした状況を打破するための「BtoBマーケティング代行の賢い選び方と活用術」を解説します。単なる作業の外注ではなく、事業成長のパートナーとして代行会社をどう選び、どう社内稟議を通せばよいのか。2,000社以上の支援実績から導き出された成功パターンと実践的なノウハウをお伝えします。

この記事の要点

  • リソース不足の解消:専門的な実務をプロに任せることで、社内リソースをコア業務(戦略・企画)に集中させ、施策の実行スピードを向上させる
  • 成功確率の向上:豊富な実績を持つパートナーのノウハウを活用することで、手探りの状態から脱却し、成果が出るまでの期間を短縮する
  • 段階的な活用:自社の課題フェーズ(戦略不在か、実行リソース不足か)に合わせて、コンサルティングから作業代行まで柔軟に使い分ける
  • 稟議の通し方:外部活用のコストを単なる「経費」ではなく、事業目標達成のための「投資」として経営層に説明するロジックを組み立てる

目次[非表示]

  1. 1.この記事の要点
  2. 2.BtoBマーケティング代行で解決できる課題と業務範囲
    1. 2.1.社内リソース不足の解消と実行スピードの向上
    2. 2.2.専門ノウハウの不足を補い成果までの期間を短縮
    3. 2.3.部分的な施策代行から包括的な支援まで
  3. 3.失敗しないBtoBマーケティング代行会社の選び方
    1. 3.1.自社の課題ステージと依頼目的の明確化
    2. 3.2.BtoB領域での実績数と業界理解の深さ
    3. 3.3.単なる作業代行ではなく全体設計から伴走できるか
    4. 3.4.担当者のスキルレベルとサポート体制の柔軟性
  4. 4.マーケティング外注を「アリ」と判断するには?社内で上司・経営層を説得する稟議の進め方
    1. 4.1.外部パートナーが必要な理由を客観的に整理する
    2. 4.2.費用対効果の明確化とシミュレーション作成
    3. 4.3.ベンダー比較と選定理由の言語化
  5. 5.よくある質問
    1. 5.1.代行会社に依頼する際の費用相場は?
    2. 5.2.契約期間や解約の条件は一般的ですか?
    3. 5.3.自社にノウハウは蓄積されますか?
  6. 6.まとめ

BtoBマーケティング代行で解決できる課題と業務範囲

BtoBマーケティングは専門性が高く、多岐にわたる業務が発生します。社内リソースだけで全てをカバーしようとすると、どうしてもボトルネックが生まれがちです。代行会社を有効活用することで、どのような課題が解決できるのかを具体的に見ていきましょう。

社内リソース不足の解消と実行スピードの向上

多くのBtoB企業では、マーケティング担当者が他部署と兼務していたり、少人数で運営していたりするのが実情です。「記事を書きたいが時間がない」「広告の数値確認が後回しになる」といった状態では、施策のPDCAサイクルが回らず、成果も遠のいてしまいます。

代行会社に実務の一部(記事ライティング、広告運用、メルマガ配信設定など)を委託することで、物理的なリソース不足を解消できます。プロが実務を担当するため、社内でゼロから取り組むよりも圧倒的に早く施策を実行に移すことが可能です。空いた時間を戦略立案や営業連携などのコア業務に充てることで、組織全体の生産性向上が期待できます。

実際、多くの企業が外部リソースを活用して成果を上げています。例えば、少人数のマーケティングチームで運営していたQualtrics合同会社では、外部のオンラインカンファレンスに積極的に協賛する戦略を展開し、約500件の新規リード獲得(うち5%以上が商談化)という成果を実現しました(参考:https://r-management.jp/media/marketing/btob-marketing-success/)

専門ノウハウの不足を補い成果までの期間を短縮

マーケティングの世界は変化が激しく、SEO、広告、マーケティングオートメーションなど、各領域で高度な専門知識が求められます。これらを社内ですべて習得しようとすると、膨大な学習コストと時間がかかります。特に中小企業にとって、新たに専門人材を採用・育成するハードルは金銭面でも時間面でも非常に高いのが実情です。

代行会社は多数の支援実績から「何がうまくいき、何が失敗するか」を熟知しています。彼らのノウハウを活用することで、無駄な試行錯誤を省き、成果が出るまでのリードタイムを大幅に短縮できます。

その好例として、「キャンパケ(キャンペーン運営業務の一括代行サービス)を運営している株式会社ブンカ様では、Webサイト流入数増加のためのSEO記事を量産するにあたり、記事によってどのようなターゲット顧客を集客するのか、どのような課題を持っている方をWeb上で狙っていくのか、記事のキーワード選定などの「記事初期戦略サービス」をご活用いただき、SEO記事を3年間で146本制作。コンスタントなコンテンツ発信を続けた結果、3年間でアクセス数・CV数が増加し、反響営業の成果で事業が黒字化したというケースもあります。(参考:新規事業を3年で投資回収した株式会社ブンカのコンテンツマーケの秘訣を大公開|ferretソリューション)

部分的な施策代行から包括的な支援まで

代行と一口に言っても、その関わり方は様々です。

  • スポット型(タスク型):記事を5本作成する、LPを1枚制作するなど、特定の成果物を納品してもらう形態
  • 運用代行型:リスティング広告の月次運用、毎月のメルマガ配信など、継続的な業務を委託する形態
  • 常駐型・伴走型:代行会社のスタッフがプロジェクトメンバーの一員として参加し、戦略MTGへの同席や進行管理まで行う形態

自社の状況に合わせて、足りないピースを埋めるように部分的に依頼することも、プロジェクト全体を任せることも可能です。まずは小さな業務から切り出して依頼し、信頼関係ができたら範囲を広げていくという進め方も賢い活用法です。

失敗しないBtoBマーケティング代行会社の選び方

世の中には多くのマーケティング代行会社が存在しますが、得意分野や支援スタイルは千差万別です。自社に合わない会社を選んでしまうと、コストだけがかかり成果が出ないという事態になりかねません。失敗しないための選定基準を押さえましょう。

自社の課題ステージと依頼目的の明確化

パートナー選びで最も重要なのは、自社の現在地を知ることです。「リード(見込み顧客)の数が足りない」のか、「リードはあるが商談に繋がらない」のかによって、打つべき施策と選ぶべきパートナーは異なります。

例えば、リード獲得の段階であれば、SEOや広告運用に強い会社が適しています。一方で、リードはある程度取れているが受注率が低い場合は、インサイドセールスの強化やマーケティングオートメーションを活用したナーチャリング(育成)が得意な会社を選ぶ必要があります。

逆に、リードはあるが活用しきれていない段階では、育成・追客に強いパートナーが有効です。

まずは自社のボトルネックがどこにあるのかを明確にし、それを解決できる強みを持った会社を選定しましょう。

BtoB領域での実績数と業界理解の深さ

マーケティングといっても、BtoC(一般消費者向け)とBtoB(企業向け)では、購買プロセスや意思決定の仕組みが大きく異なります。BtoBでは検討期間が長く、複数の決裁者が関与し、論理的な判断がされる傾向があります。そのため、BtoCの実績が豊富でも、BtoB特有の勘所を理解していない代行会社では成果を出すのが難しい場合があります。

選定の際は、必ずBtoB領域での実績を確認してください。自社と同じ業界や、同規模の企業での支援実績があるかどうかも重要なポイントです。実績が豊富であれば、業界特有の課題や市場動向に精通している可能性が高く、同程度の成果が期待できます(参考:https://ferret-one.com/blog/marketing-outsourcing)。

単なる作業代行ではなく全体設計から伴走できるか

言われたことだけをやる作業者を探しているなら、クラウドソーシングなどで安価に発注することも可能です。しかし、BtoB企業のマーケティング担当者が求めているのは、どうすれば成果が出るかを一緒に考え、導いてくれるパートナーではないでしょうか。

指示待ちの代行会社ではなく、なぜその施策が必要なのか、目的達成のためにはこちらの手法の方が良いのではないか、といった戦略や全体設計の視点から提案してくれる会社を選びましょう。部分最適ではなく、事業目標の達成(全体最適)にコミットしてくれる姿勢があるかが重要です。

具体的な見極めポイントとしては、その会社が過去にどんな成果を出してきたか、またなぜクライアントに選ばれ続けているのかを確認すると良いでしょう。

担当者のスキルレベルとサポート体制の柔軟性

契約後に実際に業務を担当するのが誰なのかも確認すべき点です。営業担当者は優秀でも、実務担当者が新人ばかりというケースも少なくありません。可能であれば、契約前に実務担当者と面談の機会を設けたり、担当者のスキルセットや過去の実績を確認したりすることをお勧めします。

また、日々のコミュニケーション手段(Chatwork、Slack、メールなど)や定例ミーティングの頻度など、サポート体制の柔軟性も確認しましょう。特にリソース不足の現場では、チャットで即座に質問できたり、急な相談に乗ってくれたりするスピード感のある対応が、プロジェクトの進行を大きく左右します。

マーケティング外注を「アリ」と判断するには?社内で上司・経営層を説得する稟議の進め方

ここでは、中堅企業が実際にどのような課題を抱え、代行会社をどう活用して解決したのか、具体的な成功パターンを紹介します。

代行会社の活用を決めても、最後の難関となるのが社内稟議です。コストに対するシビアな目を持つ経営層を説得するために必要なロジックと準備について解説します。

外部パートナーが必要な理由を客観的に整理する

「忙しいから手伝ってほしい」という理由だけでは、経営層の承認は得られません。なぜ社内リソースではダメなのか、なぜ今やる必要があるのかを客観的に整理する必要があります。

押さえるべきポイント:

  • 機会損失の提示:現状のペースで進めた場合、目標達成までに○年かかるが、外部リソースを使えば○ヶ月で達成可能となり、その分の売上機会を早期に獲得できるという時間軸でのメリットを伝えます

  • 採用コストとの比較:専門スキルを持つ人材を正社員として採用する場合の採用費・人件費・教育コストと、代行会社に依頼する場合の費用を比較し、リスクの低さやコストパフォーマンスの良さを提示します。中小企業が新たに専門人材を育てるには金銭・時間両面で大きな負担が伴うため、外注の方がリスクも低いことを論理立てて説明しましょう(参考:https://find-unique.co.jp/media/btob-marketing-outsourcing/)

  • 他社事例の提示:類似企業が外部パートナー活用で成果を上げた例を示すのも有効です。例えば、ストライク社が外注で100万PVを達成したケースや、ロジクエスト社がマーケティングオートメーション導入で商談創出を飛躍させたケースなどは説得材料になります。

費用対効果の明確化とシミュレーション作成

稟議書には必ず、具体的な数値に基づいたシミュレーションを添付しましょう。これだけの費用をかけると、これだけのリターン(売上・利益)が見込めるという費用対効果を示すことが不可欠です。

具体的には以下のようなステップで試算します:

  1. 目標設定:代行活用によって増やしたいリード数や商談数を設定
  2. 成果予測:過去の実績や代行会社の事例値を参考に、CVR(コンバージョン率)や受注率を仮定し、最終的な受注数や売上金額を算出
  3. コスト対比:想定される売上総利益と、代行費用(および広告費など)を比較し、投資回収が見込めることを証明する

効果がコストを上回る見込みなら、それは将来的に大きなリターンを生む投資だと言えます(参考:https://ferret-one.com/blog/marketing-outsourcing

3か年計画などの長期的な視点を盛り込むと、より説得力が増します。

ベンダー比較と選定理由の言語化

なぜA社(提案している代行会社)なのかという質問にも論理的に答えられるようにしておきましょう。通常、3社程度の相見積もりを取り、比較表を作成します。

比較軸としては費用だけでなく、BtoBの実績数、提案内容の具体性、体制の柔軟性、担当者のスキルなどを設け、総合点や◎○△で評価します。単に安いからではなく、自社の課題(例:戦略不足)に対し、最も適切な解決策(例:上流からの設計支援)を提示してくれたのがA社であるという選定理由を言語化することが重要です。

よくある質問

代行会社に依頼する際の費用相場は?

依頼する業務範囲や契約形態によって大きく異なります。

  • スポット業務:記事作成やバナー制作などの単発依頼であれば数万円〜十数万円程度から可能です

  • 運用代行:リスティング広告運用代行の場合、広告費の20%前後を手数料とする料金体系が一般的です(参考:https://five-inc.co.jp/blog/3128/)。例えば月間50万円の広告予算なら手数料約10万円といった計算になります

  • 包括支援・コンサル契約:戦略設計やコンサルティング、PM(プロジェクトマネジメント)を含む包括的な支援の場合は、月額数十万円〜百万円以上となることもあります。

何をお願いしたいかを明確にし、見積もりを取る際は作業範囲と責任範囲をしっかり確認しましょう。

契約期間や解約の条件は一般的ですか?

コンサルティングや運用代行の場合、最低契約期間として6ヶ月や1年を設定している会社が多いです。これは、マーケティング施策(特にSEOやコンテンツマーケティング)が成果を出すまでに一定の時間を要するためです。

成果が出るまでのタイムラグを理解し、短期的な結果だけで判断せず、中長期的な視点でパートナーシップを組むことが大切です。

自社にノウハウは蓄積されますか?

とはいえ外注先パートナーへマーケティング実行部分を「丸投げ」にしてしまうと、社内にノウハウは蓄積されません。

社内にノウハウを残したい場合は、定例会で施策の意図や分析結果を詳しく解説してくれるか、マニュアルや手順書を残してくれるか、社内メンバーへのレクチャーを行ってくれるかといった点を選定時に確認しましょう。

まとめ

BtoB企業がマーケティングで成果を出すためには、社内リソースだけに固執せず、外部の専門家の力を賢く借りることが近道です。代行会社を選ぶ際は、単なる作業者ではなく、自社の課題やフェーズを理解し、戦略から実行まで伴走してくれるパートナーを見極めることが重要です。

また、社内稟議を通す際は、リソース不足の解消という現場の視点だけでなく、費用対効果や事業スピードの向上という経営視点でのロジックを組み立てるようにしましょう。

ferretソリューションは、2,000社以上のBtoBマーケティング支援実績を持ち、戦略設計からコンテンツ制作、リード獲得の実務実行まで、貴社の課題に合わせて柔軟に支援します。何から手をつければいいかわからない、リソースが足りず施策が進まないとお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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菊池 貴行(きくち たかゆき)
菊池 貴行(きくち たかゆき)
金融機関、メディア運営会社を経て2018年より株式会社ベーシックへ入社。 ferret Oneカスタマーサクセス部にて、オンボーディングチーム立ち上げメンバーとして活躍し、顧客の「BtoBマーケティング」の立ち上げ支援を行い、 担当社数は累計120社以上。 製造業・ITサービス・コンサルティングサービスなど、有形から無形の幅広い業界の企業に対して、各社の事業理解から組織状態など踏まえた顧客に 寄り添った戦略設計や施策の設計などマーケティング支援を行う。 現在はマーケティング部にてセミナーの企画から講師を担当し、これまでに支援してきた豊富な経験をもとにした、実務に使えるセミナー内容に定評がある。

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