BtoB展示会で商談・受注に繋げるリード獲得戦略|商談化率向上に繋がる設計とは?

「展示会で名刺はたくさん集まるのに、商談や受注に繋がらない」 「費用対効果(ROI)が不明確で、来期の出展予算の稟議を通すのが難しい」

中堅・企業のBtoBマーケティング担当者の多くが、こうした課題に直面しています。展示会はリード獲得の「量」を担保できる強力な施策である一方、準備や会期中の対応、そして会期後の追客に莫大なリソースを要するため、「施策の実行」が目的化し、肝心の「商談」への貢献が見えにくいという負のスパイラルに陥りがちです。

本記事は、2,000社以上のBtoBマーケティング支援実績を持つ弊社のノウハウに基づき、展示会を「名刺獲得」から「商談・受注起点」に変えるための具体的な戦略と手順を解説します。単なる準備・当日・事後のテクニック論ではなく、最も重要な「戦略設計」「営業連携」の仕組みに焦点を当て、ROIを明確化し、リソースが限られた中でも成果を出すための実践的な方法をお伝えします。この記事を読み終える頃には、あなたの展示会活動は単発のイベントではなく、事業成長に不可欠なグロースエンジンへと進化しているはずです。


本記事の要点

本記事で解説する、展示会を「商談・受注」に繋げるための重要なアクションと知見は以下の4点です。

  • KPIを再定義する: 獲得した名刺数ではなく、商談貢献度や受注数から逆算したKPIを設定し、施策の目的化を防ぎます。
  • リードの「質」を言語化する: 営業部門と連携し、MQL(マーケティング部門が定義する良質なリード)の具体的な基準をスコアリングによって明確化します。
  • MA/SFAを活用して熱量を繋ぐ: 展示会直後の熱量が冷めないうちに、MA/SFAを活用した自動的なナーチャリングと営業へのシームレスなリードパスの仕組みを構築します。
  • LTVベースでROIを証明する: 単年度の費用対効果だけでなく、顧客生涯価値(LTV)を加味した試算ロジックを策定し、経営層への説得力を高めます。

目次[非表示]

  1. 1.本記事の要点
  2. 2.展示会リード獲得で「商談・受注」に繋がらない根本原因
    1. 2.1.名刺獲得が目的化する「戦略不在」の罠
    2. 2.2.BtoB展示会におけるリード獲得目標(KPI)の再設定
  3. 3.商談に繋がるリードを生み出すための全体戦略
    1. 3.1.ペルソナ・カスタマージャーニーと連動したリードの質定義
    2. 3.2.営業(IS)部門と合意形成すべきリードパス基準の仕組み
    3. 3.3.展示会を単発ではなく「顧客とのはじめの接点」として捉える
  4. 4.【展示会前・中・後】商談化率を高める具体的アクションプラン
    1. 4.1.【準備期】ターゲット別に響くコンテンツとブース設計
    2. 4.2.【当日】質の高い接点を生むためのオペレーション
    3. 4.3.【会期後】熱量を下げずにMQL化に繋げるナーチャリング施策
  5. 5.獲得リードを「商談」に変えるMA/SFA利活用と営業連携
    1. 5.1.MA/SFAを活用したリードスコアリングの最適化
    2. 5.2.営業部門へのリード情報共有とSFAへの連携方法
    3. 5.3.現場で活きる!マーケと営業のフィードバックループ構築
  6. 6.経営層を納得させる展示会出展の費用対効果(ROI)証明
    1. 6.1.BtoB特有のLTVを加味したROI試算ロジック
  7. 7.中堅企業の成功事例と失敗パターンから学ぶノウハウ導入法
    1. 7.1.従業員300名規模の製造業・IT企業の事例比較
    2. 7.2.失敗しないための外部パートナー選定基準(リソース確保策)
  8. 8.まとめ

展示会リード獲得で「商談・受注」に繋がらない根本原因

展示会で大量の名刺を獲得しながらも、その後の商談化率が低迷し、結果的に「効果の薄い施策」と見なされてしまう企業は少なくありません。この問題の根本原因は、現場の「対応力」にあるのではなく、出展前の「戦略設計」の甘さと「営業部門との分断」にあります。

名刺獲得が目的化する「戦略不在」の罠

多くの企業で「展示会出展」が自己目的化してしまい、戦略の歯車としての役割が見失われています。

例えば、

  • とにかく名刺を多く集めることに終始し、ブース担当者がターゲットではない来場者にまで過剰な声かけを行う
  • 集客目標が「昨年の名刺獲得数+10%」のように、売上や商談貢献に直結しないKPIになっている
  • 集めた名刺の属性やニーズを深掘りするヒアリング項目が設計されていない

こうした状況は、本来ターゲットではない層のリード(質の低いリード)を大量に生み出し、後のインサイドセールスやフィールドセールスの工数を無駄に消費させます。施策を成功させるためには、その手前の段階、つまり「誰に、何を、どう伝えるか」という戦略的な問いに明確に答えることが不可欠です。戦略の甘さは、そのまま後の工程における商談化率の低迷という形で現れるのです。

BtoB展示会におけるリード獲得目標(KPI)の再設定

成果の出ない展示会から脱却するために、まず行うべきはKPIの再設定です。単なる「獲得名刺枚数」ではなく、「商談貢献度」を評価軸の中心に置く必要があります。これは、最終的な事業目標(売上・利益)から逆算して、展示会で獲得すべきリードの「質」と「量」を明確にすることです。

目標設定は、以下の例のように出口から逆算するのが鉄則です。

指標

目標値(例)

算出根拠

A. 目標受注額

5,000万円

事業計画に基づく

B. 受注単価

500万円

実績平均

C. 必要受注件数 (A/B)

10件

-

D. 受注率

10%

過去実績(商談ベース)

E. 必要商談件数 (C/D)

100件

-

F. 商談化率(展示会リード→商談)

5%

過去実績(展示会ベース)

G. 必要獲得リード数 (E/F)

2,000件

展示会目標名刺数

H. MQL化率(G×MQL率)

20%

獲得リードのうち、商談に進めても良いレベルのリードの割合

このロジックにより、展示会で2,000件の名刺を獲得することは目的ではなく、5,000万円の売上を達成するための必要条件であると明確に定義されます。 BtoBマーケティングにおける「土台作り」では、このように商談貢献をゴールとしたKPIを明確に設定することが不可欠です。この逆算の考え方を組織内で共有することが、施策の目的化を防ぐ第一歩です。


商談に繋がるリードを生み出すための全体戦略

商談に繋がる質の高いリードを獲得するには、展示会を「単発の集客イベント」ではなく、「マーケティング戦略」の中核と位置づける戦略設計が不可欠です。この戦略の有無が、商談化率の成否を分けます。

ペルソナ・カスタマージャーニーと連動したリードの質定義

展示会出展の前に、自社のペルソナ(理想の顧客像)とカスタマージャーニー(顧客の購買プロセス)を明確に定義し、それに基づいて「商談に繋がるリードとは何か」を言語化することが重要です。

定義項目

具体的な問い(展示会向け)

ペルソナ

どの部門の、どの役職の人が、どんな課題を抱えているか?(例:製造業の生産管理部門の課長で、アナログな在庫管理に限界を感じている)

ニーズの深度

どの程度、課題解決策(製品導入)を具体的に検討している段階か?(情報収集段階か、比較検討段階か、稟議段階か)

接点時の行動

ブースでどの製品デモに興味を示したか?配布したどの資料を持ち帰ったか?ヒアリングで現状課題を具体的に語ってくれたか?

これらの要素を整理することで、ブース担当者は目の前の来場者が「商談に進む可能性の高い見込み客か」を瞬時に判断できます。リードの質を上げるには、「どのリードは追うべきで、どのリードはナーチャリングに回すべきか」という判断基準を持つことが重要です。

営業(IS)部門と合意形成すべきリードパス基準の仕組み

マーケティング部門が獲得したリードを、営業部門にパスする際の基準が曖昧だと、商談化率は上がりません。このリードパスの基準こそが、MQL(Marketing Qualified Lead:マーケティング活動を通じて創出された質の高いリード)の定義です。

MQLを定義するには、マーケティング側だけでなく、営業側と以下の点について具体的な合意形成を行う必要があります。

  1. リードの属性(BANT情報): 予算(Budget)、決裁権(Authority)、ニーズ(Need)、導入時期(Timeframe)のどの情報が揃ったら営業にパスするか。
  2. 行動スコア: ウェブサイト訪問履歴、ホワイトペーパーダウンロード数、展示会でのヒアリング内容など、どの行動に何点加点するかをMA/SFA上で定義します。
  3. パスのトリガー: 合意したMQLスコアに達したリード、または展示会で「即アポ」を獲得したリードは、24時間以内に営業(IS)にトスアップするというルールを徹底します。

特に「戦略が描けず手探り状態」の中堅企業様の場合、MQLの定義やスコアリング設計は複雑に感じられ、リソース不足から後回しになりがちです。しかし、この戦略の土台が固まらない限り、展示会の成果は安定しません。

このような課題を抱える企業様には、「戦略設計」からMA/SFAのスコアリング設計まで、2,000社以上のBtoB支援実績を持つ専門家が伴走し、貴社の事業特性に合わせた戦略の仕組み化を一気通貫で支援することが有効な選択肢です。

展示会を単発ではなく「顧客とのはじめの接点」として捉える

展示会は、BtoBマーケティングにおける「リード獲得」のフェーズにおいて、最も効率的に新規顧客との接点を作れる手段です。しかし、その効果を最大化するには、展示会をリード獲得に続く「MQL化」と「営業連携」のステップを見据えた起点として位置づける必要があります。

具体的には、展示会を起点として以下のようなサイクルに組み込むイメージです。

  1. 戦略設計: ターゲット、ペルソナ、LTVを加味したKPIを明確化。
  2. リード獲得(展示会): 定義したペルソナに近い良質な名刺を獲得。
  3. MQL化(ナーチャリング): 会期後のホットなリードを優先的にフォローし、商談手前の状態(MQL)まで育成。
  4. 営業連携(商談・受注): MQLを合意された基準に基づいて営業にパスし、商談・受注に繋げる。

この全体像を意識することで、「展示会後の追客」も単なる作業ではなく、MQL化の重要なプロセスとして位置づけられ、リソース配分の優先度が明確になります。


【展示会前・中・後】商談化率を高める具体的アクションプラン

展示会の成功は、当日のブースの賑わいだけでは決まりません。むしろ、準備段階の戦略と会期後の熱量の維持にかかっています。商談化率を高めるための具体的なアクションを「準備期」「当日」「会期後」の3つの期間に分けて解説します。

【準備期】ターゲット別に響くコンテンツとブース設計

リードの質と商談化率を高めるためには、ブースに来場するターゲットの属性とニーズの深度に合わせたコンテンツ設計が不可欠です。中堅・中小企業のマーケターはリソースが限られているため、汎用的な資料ではなく、「刺さる」コンテンツに絞り込むことが重要です。

ターゲット属性(例)

ニーズの深度

訴求メッセージ/コンテンツ例

製造業系

情報収集〜課題認識初期

「ベテランのノウハウ」を失うリスク。IT導入による業務効率化のわかりやすい事例。デモ動画。

ITソリューション系

比較検討期

競合他社との機能比較、具体的なROIシミュレーション、導入後の運用体制・サポートに関する詳細資料。

事前集客の段階では、ターゲットに合わせたメールマガジンやWeb広告で「貴社の〇〇という悩みを解決する展示があります」と具体的に訴求し、来場を促します。 当日のブース設計では、来場者が「自分事」として課題を認識できるような具体的な事例パネルを用意し、担当者がヒアリングの導入として活用できるように訓練しておくべきです。

【当日】質の高い接点を生むためのオペレーション

展示会当日、ブース担当者が行うべきは「名刺交換」ではなく、「リードの質を見極めるヒアリング」です。質の高い接点を生むためのオペレーションのコツを解説します。

  • ヒアリングの必須項目: 名刺をいただく際に、ただの挨拶で終わらせず、以下の3点を必ずヒアリングシートに記録します。
    1. 来場目的: 「今回、どのような情報をお求めですか?」
    2. 具体的な課題: 「今の業務で特に困っているのはどの点ですか?」
    3. 興味度合い: 「製品デモ、資料、具体的な商談のどれをご希望されますか?」(この回答をスコアリングに活用)
  • 役割分担の明確化: ブース担当者は「リード獲得担当」「製品デモ担当」「即アポ取得担当(最も熟練したIS/FS担当)」の3つに役割を分けます。即アポ取得担当者は、ヒアリングで興味度が高いと判断されたリードに対し、その場で次の商談日程を確定させる役割に徹します。
  • ツールの活用: スピーディなリード情報入力と追客のために、名刺管理アプリや展示会専用のリード情報入力ツールを導入し、その日のうちにSFA/MAへデータ連携する体制を整えます。これにより、会期終了後すぐにナーチャリングを開始できます。

【会期後】熱量を下げずにMQL化に繋げるナーチャリング施策

展示会で獲得したリードの約8割は、直後のフォローアップがないと熱量が急速に低下すると言われています。会期後の追客はスピード勝負であり、熱量を下げずにMQL化に繋げることが最大のミッションです。

会期中に得た「興味度合い」や「課題」に応じて、獲得リードをセグメント分けし、それぞれに最適なコンテンツを自動で配信します。

セグメント(興味度)

課題認識の深度

推奨ナーチャリング施策

A. 即アポ/高関心

比較検討後期、導入直前

営業からの個別電話(リードパス)、導入事例、競合比較ウェビナー

B. 資料請求/中関心

課題認識初期〜中期

課題解決に特化したステップメール、ホワイトペーパー(課題解決編)、ミニセミナー動画

C. 名刺交換のみ/低関心

情報収集初期

業界動向に関するニュースレター、自社の成功事例ブログ記事、展示会のお礼メール(翌日配信)

ナーチャリングにおいては、MAツールを活用してリードのウェブサイト上での行動履歴(資料の再ダウンロード、料金ページの閲覧など)をスコアリングし、熱量が再燃したリードを逃さずにMQLとして抽出する仕組みが重要になります。


獲得リードを「商談」に変えるMA/SFA利活用と営業連携

展示会リードを商談に変えるには、MA(マーケティング・オートメーション)とSFA(セールス・フォース・オートメーション)の有機的な利活用と、部門間のシームレスな連携が不可欠です。既にこれらのツールを導入済みの中堅企業様こそ、展示会リードに特化した運用設計を見直すべきです。

MA/SFAを活用したリードスコアリングの最適化

MA/SFAのスコアリングは、ウェブ上での行動だけでなく、「展示会での生の接点情報」を最大限に活用できるよう最適化すべきです。

スコアリング項目の見直し例

項目

従来のスコア(例)

展示会リードでの見直し案

ウェブサイト訪問

10pt/回

展示会後の特定ランディングページ訪問は30pt

資料ダウンロード

50pt/件

導入事例(高関心コンテンツ)は100pt

展示会ヒアリング

項目なし

当日のヒアリングシートに基づく「興味度合い(3段階)」で50pt/100pt/200ptを付与

MQL基準

総合計300pt以上

展示会スコア+ウェブ行動スコアの合計で基準を策定

このように、展示会での興味度の高さをスコアに反映させることで、MA/SFAの機能が「真に商談に近いホットなリード」を自動で判別するエンジンとなります。スコアがMQLの定義に到達した瞬間、自動で営業部門に通知が飛び、即座にアプローチできる体制が理想です。

営業部門へのリード情報共有とSFAへの連携方法

営業担当者が展示会リードを効率よくフォローするには、「誰が、いつ、どこで、何を話したか」という一次情報をSFA上で確認できる仕組みが重要です。

  • SFA連携フローの徹底:
    • 展示会で獲得した名刺情報とヒアリングシートの内容は、会期後48時間以内にMA/SFAに連携完了させます。
    • 営業担当者は、SFA上でリードの全接触履歴(展示会での興味度、ダウンロード資料、ウェブサイト訪問ページ)をワンクリックで確認できるダッシュボードを整備します。
  • 工数削減の工夫: マーケティング担当者が全てのリード情報を手動で入力するのは非現実的です。名刺管理ツールとSFAの連携機能を使ったり、展示会専用のフォームで入力されたヒアリング内容をMA経由でSFAに自動同期したりする仕組みを構築することで、マーケティング部門の作業工数を削減しつつ、情報共有のスピードを最大化できます。

現場で活きる!マーケと営業のフィードバックループ構築

展示会リードを活かす最後の砦は、マーケティングと営業の継続的なフィードバックの仕組みです。マーケティングが獲得したリードの「質」が本当に高かったのかどうかは、営業現場の「商談・受注」の結果を見なければ分かりません。

  • 会議体の設計: 週に1回、30分など、短時間で集中できる「MQLレビュー会」を設け、以下の情報についてフィードバックを行います。
    1. 商談化できなかったリードの原因: 営業(IS)から「温度感が低かった」「ターゲットが違った」などの具体的なフィードバックをもらいます。
    2. 受注に繋がったリードの特徴: 受注リードの属性や、展示会での接点の「質」を言語化し、成功パターンを抽出します。
  • 施策への反映: 営業からのフィードバックに基づき、ブースでのヒアリング項目やナーチャリングコンテンツのテーマを改善します。例えば、「資料を求めているが、価格感が合わなかったリードが多い」というフィードバックがあれば、ナーチャリングコンテンツで費用対効果(ROI)に焦点を当てた事例を強化するといった改善を行います。

このフィードバックループを構築し、マーケティング活動を成果に繋げることが、商談化率・受注率の向上に不可欠です。


経営層を納得させる展示会出展の費用対効果(ROI)証明

中堅企業のマーケティング担当者にとって、展示会出展の「費用対効果(ROI)」を明確にし、次期予算を確保することは最大のミッションの一つです。感情論ではなく、数字に基づいたロジックで経営層を納得させる方法を解説します。

BtoB特有のLTVを加味したROI試算ロジック

BtoBビジネスでは、一度受注すれば数年間にわたって収益が継続するLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の概念が重要です。展示会出展の費用対効果を測る際は、このLTVを必ず加味する必要があります。

展示会ROI試算ロジック

ROI(%) = {(LTVに基づく総収益 - 総投資額) ÷ 総投資額} × 100

ここでいう「LTVに基づく総収益」は、以下のように計算できます。

LTVに基づく総収益 = (展示会経由の総受注数 × 平均受注単価) × 平均取引継続年数 × 粗利率

試算のポイント

  1. 平均取引継続年数の使用: BtoBでは平均3年〜5年の取引が多いため、単年ではなく複数年の収益を加味します。
  2. 粗利率の使用: 営業経費などを除いた、純粋な利益貢献で評価することで、経営層への説得力が高まります。
  3. 総投資額の明確化: 出展料だけでなく、ブース設営費、人件費(担当者の準備・当日・追客工数)、制作物費、ノベルティ費用、MA/SFAなどのシステム利用料まで含めた「真のコスト」を算出します。

このLTVを加味した試算ロジックを確立することで、単年度ではマイナスに見える施策も、長期的な事業貢献という観点から評価できるようになります。

中堅企業の成功事例と失敗パターンから学ぶノウハウ導入法

中堅・中小企業が展示会を成功させる上での共通の課題は、「リソース不足」と「ノウハウ不足」です。特にマーケティング担当者が3〜5名体制の場合、戦略設計やコンテンツ制作、会期後の追客までを全て内製するのは困難です。

従業員300名規模の製造業・IT企業の事例比較

リソース・ノウハウ不足を乗り越え、展示会を成功させた中堅企業の具体的な事例を、業界ごとの特性を考慮して比較します。

比較項目

製造業(デジタル活用初期段階)の成功パターン

ITソリューション企業(デジタル活用が進んだ企業)の成功パターン

初期課題

施策の目的が曖昧で、獲得したリードの営業パス基準が未整備。

MAは導入済みだが、スコアリングが機能せず質の低いMQLが大量発生。

コア戦略

外部パートナーの支援を受けて「誰に売るか」を明確化。製造業特有の課題に合わせて、業務効率化を体験できるデモ施策を導入。

SFA連携強化と展示会リードに特化したスコアリング再設計。

実行と成果

ターゲットを絞り込んだ結果、名刺獲得数は減少したが、商談化率は3倍に向上。費用対効果が明確になり、次期予算が増額。

商談パス基準を厳格化し、営業が追うべきホットリードの抽出精度が向上。インサイドセールスが高確度リードに注力できるようになり、受注率が向上。

この比較からわかるように、自社のデジタル活用度や課題のステージによって、成功へのアプローチはまったく異なります。
「名刺を配るだけ」の展示会運営から脱却するためには、まず自社の現状を見極め、課題に合った戦略の羅針盤を持つことが重要です。

失敗しないための外部パートナー選定基準(リソース確保策)

リソース不足を補うために外部パートナーに頼る場合、単なる「作業代行」で終わらせてはいけません。展示会を商談化起点に変えるためには、以下の基準でパートナーを選定すべきです。

  • 戦略設計能力の有無: ブースの装飾デザインや当日スタッフの手配だけでなく、「なぜ出展するのか」「誰に、何を売るのか」という戦略設計から支援できるノウハウがあるか。
  • MA/SFAの運用実績: 展示会後の追客で最も重要なMA/SFAのスコアリング設定や、営業への自動連携フローの構築・運用実績が豊富にあるか。
  • BtoB特化の経験: BtoCやtoCtoBではなく、BtoB特有の購買プロセス(稟議、多部署関与、LTVの長さ)を理解し、支援実績が2,000社以上など豊富にあるか。

展示会対策を単発の代行依頼で終わらせるのではなく、貴社のマーケティング活動全体を支援し、体系化されたノウハウに基づき戦略構築から実行、リソース不足時のコンテンツ制作や人材常駐まで柔軟に支援できるパートナーを選定することが、長期的な成果に繋がります。


まとめ

中堅・中小企業のBtoBマーケティング担当者様が、展示会を「名刺獲得イベント」ではなく「商談と受注の起点」に変えるための鍵は、初期の戦略設計とマーケティング・営業間の連携体制の仕組み化にあります。

  • 戦略の再構築: 「商談貢献度」をゴールにKPIを逆算し、ペルソナに基づいた質の高いリードの定義を明確化してください。
  • 連携の仕組み化: MA/SFAのスコアリングを活用し、質の高いMQLを自動で、かつ迅速に営業部門にパスする仕組みを構築してください。
  • ROIの可視化: LTVを加味した試算ロジックで、経営層への説明責任を果たし、次期以降の予算を勝ち取ってください。

もし、これらの戦略設計や、現場のリソース不足を解消しながら実行フェーズを強化することに課題を感じていらっしゃるなら、ぜひ弊社の支援をご検討ください。ferretソリューションは、2,000社以上のBtoBマーケティング支援実績から生まれた体系化されたノウハウに基づき、戦略設計、コンテンツ制作、MA/SFA運用代行、そして人材常駐まで、お客様の「足りない」部分をどこからでも支援します。「戦略不在」を解消し、展示会を確かな成果に繋げるための強力なパートナーとして、柔軟な支援体制をご用意しています。

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菊池 貴行(きくち たかゆき)
菊池 貴行(きくち たかゆき)
金融機関、メディア運営会社を経て2018年より株式会社ベーシックへ入社。 ferret Oneカスタマーサクセス部にて、オンボーディングチーム立ち上げメンバーとして活躍し、顧客の「BtoBマーケティング」の立ち上げ支援を行い、 担当社数は累計120社以上。 製造業・ITサービス・コンサルティングサービスなど、有形から無形の幅広い業界の企業に対して、各社の事業理解から組織状態など踏まえた顧客に 寄り添った戦略設計や施策の設計などマーケティング支援を行う。 現在はマーケティング部にてセミナーの企画から講師を担当し、これまでに支援してきた豊富な経験をもとにした、実務に使えるセミナー内容に定評がある。

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