
BtoB顧客分析の始め方|初心者でも使えるフレームワーク5選と実践手順
BtoBの顧客分析とは、取引先企業の属性・購買履歴・行動データを体系的に分析し、注力すべき顧客層や最適なアプローチ方法を導き出す取り組みです。代表的なフレームワークには、デシル分析・RFM分析・セグメンテーション分析・LTV分析・行動トレンド分析の5つがあります。BtoBでは売上の80%を20%の顧客が生み出しているとされ、限られたリソースで成果を最大化するには「どの顧客に注力すべきか」を見極める顧客分析が不可欠です。本記事では、BtoBマーケティング初心者でもすぐに取り組めるフレームワークの選び方と4ステップの実践手順を解説します。
「顧客分析が大事なのはわかるけど、何から始めればいいかわからない」——BtoBマーケティングの現場では、こうした声が少なくありません。BtoCと比べて取引先の数が限られるBtoBでは、1社1社の分析精度がそのまま売上に直結します。しかし、フレームワークの種類が多く、自社に合った手法を選べずに手が止まってしまうケースも多いのではないでしょうか。
この記事では、6,650社以上のBtoB企業を支援してきた知見をもとに、初心者が「まず何をすべきか」を明確にし、分析結果を施策に落とし込むまでの道筋を具体的にお伝えします。
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BtoBにおける顧客分析とは?なぜ今重要なのか

顧客分析とは、顧客の属性情報・購買履歴・行動データなどを体系的に整理・分析し、「誰に・何を・どうやって届けるか」を導き出すための取り組みです。顧客の考えや行動を予測して事業戦略を練ることは企業の売上に直結するため、顧客分析は重要度の高い業務といえます。
BtoBならではの3つの特徴
BtoBの顧客分析がBtoCと大きく異なるのは、以下の3点です。
- 意思決定者が複数いる:BtoBでは情報収集をする担当者と、最終的な意思決定を下す決裁者が別々に存在します。「組織ターゲット」と「個人ターゲット」の両方を分析する必要があります。
【実務知見】組織×個人の「二層構造」でターゲットを定義する
BtoBの顧客分析では、個人の行動特性よりも「企業の組織課題や購買プロセス」が重視されます。6,650社以上のBtoB企業を支援してきた「BtoBグロースステップ」の実務知見からも、顧客を分析する際は 「組織ターゲット(業種・規模・事業課題など)」と「担当者(決裁者)ターゲット(役職・ミッション・個人の悩みなど)」の二層構造 で定義することを推奨しています。複数人が関与するBtoBの意思決定において、組織と個人の両面の課題を正確に捉え、最も商談化や受注に繋がりやすい最優先ターゲットを絞り込むことこそが、無駄打ちを防ぐ顧客分析の第一歩です。
- 購買プロセスの大半が営業接触前に完了する:BtoBビジネスにおいて、買い手は意思決定プロセスの67%を営業担当の接触前に済ませているというデータがあります。顧客が自ら情報収集する段階で、自社が選択肢に入っているかどうかが勝負を分けます。
- 1社あたりの取引額が大きい:BtoBでは取引の規模が大きくなるため、顧客の重要度を的確に評価することが求められます。少数の優良顧客を見極める精度が、事業全体の収益を左右します。
BtoBの顧客分析では、定量データ(売上金額、取引回数、商談回数など)と定性データ(業種、役職、課題・要望など)の両方を活用することが重要です。どちらか一方だけでは、顧客の全体像を捉えきれません。
BtoB顧客分析で使える主要フレームワーク5選

BtoBの顧客分析で実務的に使われるフレームワークを5つ紹介します。それぞれの特徴と向いている場面を理解し、自社の状況に合ったものを選びましょう。
1. デシル分析
「デシル」とはラテン語で10等分という意味です。デシル分析では、一定期間の購入金額の高い順に顧客を10等分し、ランク1〜10にグループ分けします。各グループの購入金額の合計を算出すると、売上貢献度の高いグループを可視化できます。
BtoBでの活用例:取引先を売上金額順に10グループに分け、上位2〜3グループに営業リソースを集中配分する。デシル分析を活用して売上の上位20%を占める顧客を特定し、専任のアカウントマネージャーを配置して重点的にサポートするといった施策が考えられます。
メリット:Excelだけで実施でき、分析の指標が購入金額のみなので初心者でも取り組みやすい。
注意点:金額だけで判断するため、取引頻度や直近の活動状況は考慮されません。
2. RFM分析
RFM分析とは、R(Recency)=最終購入日からの経過日数、F(Frequency)=購入頻度、M(Monetary)=累積購入金額の3つの切り口で顧客を分類する分析手法です。
BtoBでの活用例:最近の取引がある顧客はフォローアップの優先度が高く、取引頻度が高い顧客は長期的なパートナーシップの候補となり、高額な取引を行う顧客には特別な関係構築やサービスが求められます。
メリット:優良顧客、休眠顧客、新規顧客の比率が可視化でき、それぞれの段階に応じたマーケティング施策が実行できるようになります。
注意点:3指標の組み合わせでグループ数が多くなるため、最初は各指標を3段階程度に絞って始めるのがおすすめです。
3. セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、顧客を属性・ニーズ・購入履歴などでセグメント(細分化/グループ分け)する手法です。デシル分析やRFM分析は購入に関する数値でのみ分析しますが、セグメンテーション分析ではそれ以外のデータも活用します。
BtoBでの活用例:職種や勤務先の企業規模などでセグメントすることで、「従業員300名以上のIT企業」「製造業の中小企業」といった具体的なターゲット像を描けます。BtoBでは業種×企業規模×担当部署×予算といった複数条件の掛け合わせが有効です。
メリット:数値データだけでなく、業種や課題感といった定性的な情報も分析に組み込める。
注意点:分類軸が多すぎるとセグメントが細分化しすぎて施策に落とし込みにくくなります。
4. LTV分析
LTV分析とは、算出したLTV(顧客生涯価値)の数値をもとに顧客との関係性を分析し、長期的な見通しの予測をすることです。LTVを分析することで、収益の最大化や利益構造の明確化、コスト面の把握や分析ができるようになります。
代表的な計算式は以下の通りです。
- 売上ベース:平均購入単価 × 平均購入回数
- 利益ベース:平均年間取引額 × 収益率 × 平均継続年数
- SaaS向け:平均購入単価 × 粗利率 ÷ 解約率
BtoBでの活用例:LTV分析を行うと、特定の月でサービスの解約率が上がったり購入単価が下がったりといった傾向が把握でき、解約が増える月に継続ユーザー限定の割引キャンペーンを打つといった対策が立案できるようになります。
5. 行動トレンド分析
行動トレンド分析は、顧客の購買行動の時系列変化や季節性に着目する手法です。BtoBにおいて春先に依頼が増える場合、「年度内に予算を使い切りたい」「新年度の人事異動に向けて準備をしたい」といったニーズが見えてきます。周期性が見えれば、販促のタイミングや生産計画などが最適化できます。
BtoBでの活用例:四半期ごとの商談数の推移を分析し、商談が増える時期の2ヶ月前からコンテンツ配信やセミナー開催を強化する。
注意点:購買層の定義や分析する時間単位は企業によって異なるため、自社に合った軸を見つける必要があります。
自社に合った顧客分析手法・フレームワークの選び方
5つのフレームワークを紹介しましたが、すべてを同時に始める必要はありません。以下の3つの基準で、自社に最適な手法を選びましょう。
基準1:手元にあるデータの種類
- 売上データだけある → まずはデシル分析から
- 売上+取引日・頻度のデータがある → RFM分析が有効
- 顧客の属性情報(業種・規模・部署)もある → セグメンテーション分析を追加
- 継続率・解約率のデータがある → LTV分析で長期的な視点を加える
基準2:分析の目的
- 「どの顧客が重要か」を知りたい → デシル分析 or RFM分析
- 「どんな顧客層を狙うべきか」を知りたい → セグメンテーション分析
- 「顧客との関係を長期的に最適化したい」 → LTV分析
- 「いつアプローチすべきか」を知りたい → 行動トレンド分析
基準3:分析に使えるリソース
Excelだけで始めるなら、デシル分析が最もハードルが低い手法です。CRMやMAツールを導入済みであれば、RFM分析やセグメンテーション分析のデータ収集が効率化できます。
迷ったらデシル分析→RFM分析→セグメンテーション分析の順番で段階的に取り組むのがおすすめです。データの整備状況に合わせてステップアップしていきましょう。
フレームワークを「机上の空論」で終わらせないコツ
3C分析やセグメンテーション分析などのフレームワークは強力ですが、社内の会議室だけで枠を埋めても実態とかけ離れた分析になりがちです。
分析の精度を飛躍的に高めるために強く推奨したいのが、見込み顧客や既存顧客への直接インタビューです。「競合のサービスに対してどんな不満があったか」「どんな決め手(KBF:Key Buying Factor)があれば自社を導入したいか」というリアルな声を抽出しましょう。
担当者の推測を排し、この生々しい一次情報をフレームワークに落とし込む泥臭いプロセスこそが、競合と差別化された精緻な顧客分析の源泉となります。
BtoB顧客分析の実践手順【4ステップ】

ここからは、実際に顧客分析を進めるための4ステップを解説します。
ステップ1:分析の目的を明確にする
「なぜ顧客分析をするのか」を最初に定義します。目的が曖昧なまま分析を始めると、データを集めただけで終わってしまいます。
BtoBでよくある分析目的の例:
- 受注率の高い顧客層を特定し、営業のターゲティング精度を上げたい
- 休眠顧客を発見し、再アプローチで商談を増やしたい
- 解約リスクの高い顧客を早期に検知し、フォロー体制を強化したい
ステップ2:必要なデータを収集・整理する
BtoBの場合、顧客分析に使うデータとして、定量データ(企業規模、売上金額、取引回数、商談回数、問い合わせ回数、資料ダウンロード数、発注日時など)が考えられます。
データ整理のポイント:
- CRM・SFA・MAツールに蓄積されたデータを一元化する
- Excelで管理している場合は、顧客ごとに1行=1レコードの形式に統一する
- 欠損データや重複データをクリーニングする
データの品質が分析結果の精度を左右します。「データがない」場合は、まず3ヶ月分の取引データを整理するところから始めましょう。完璧なデータを待つよりも、今あるデータで小さく始めることが重要です。
ステップ3:フレームワークを適用して分析する
ステップ1で定めた目的に合ったフレームワークを選び、実際に分析を行います。
例:RFM分析の場合
- 顧客ごとに最終取引日・取引回数・累計取引金額を集計する
- 各指標を3〜5段階でスコアリングする(例:Rは「1ヶ月以内=3点」「3ヶ月以内=2点」「3ヶ月以上=1点」)
- 合計スコアで顧客をグループ分けする
- 顧客を3〜10程度のグループに分類し、それぞれにパーソナライズしたキャンペーンを打つ。取引が途絶えた顧客や購買頻度が低い顧客を発見し、再び購買行動を活発化させる
ステップ4:分析結果を検証し、PDCAを回す
分析は一度やって終わりではありません。顧客満足度の向上や売上の増加を実現するためには、データ収集から分析までのプロセスを徹底し、継続的に改善することが重要です。
- 月次または四半期ごとに分析を更新する
- 施策の効果を数値で検証する(商談化率・受注率の変化など)
- 新たに得られたデータを分析に反映する
顧客分析の結果をマーケティング施策に活かす方法
分析結果を「知って終わり」にしないために、まず分析結果を「面」の戦略に昇華させる方法を解説し、その後に具体的な施策への落とし込み方を紹介します。
まず「カスタマージャーニーマップ」で全体像を描く
顧客分析でターゲット像(ペルソナ)を明確にしたら、それを カスタマージャーニーマップ に落とし込み、「点」の分析を「面」の戦略へと昇華させましょう。
顧客が課題を認知し、情報収集、比較検討を経て商談に至るまでのプロセス全体を可視化し、「この検討フェーズにいる顧客はどんな情報を求めているか」を整理します。これにより、以下のようなコンテンツとCTA(導線)のマッピングが可能になります。
セグメント別アプローチで施策の精度を上げる
カスタマージャーニーの全体像を描いたら、次は顧客を以下の 3つの切り口(セグメント) で分類し、施策の精度をさらに高めましょう。
- 検討フェーズ別:顧客が今どの検討段階にいるかを想定し、刺さる訴求を出し分ける
- 行動アクション別:「特定のサービスページを閲覧した」「ホワイトペーパーをダウンロードした」といった実際の行動履歴から、商談に近い層を特定してアプローチする
- 業界・業種別:ターゲットの業界特有のニーズやキーワード(例:製造業の現場課題、IT業界の効率化など)に合わせてメッセージを最適化する
顧客をこのセグメントに切り分け、それぞれに最適なコンテンツを届ける運用こそが、顧客分析を「売上」に直結させる本質です。
以下に、具体的な施策への落とし込み方を3つ紹介します。
1. ターゲティング精度の向上
より少ないコストでより多くの売上を上げるためには、ターゲットを特定し、上位2割に入る優良顧客に向けて集中的にアプローチすることが必要です。ターゲットを絞ることで、販促費用の効率的な活用も期待できます。
具体的には、セグメンテーション分析で特定した「受注率の高い業種×企業規模」の組み合わせを、広告のターゲティングやインサイドセールスの優先リストに反映します。
2. コンテンツの最適化
顧客分析で見えた課題やニーズに合わせて、Webサイトのコンテンツやホワイトペーパーのテーマを設計します。たとえば、「IT企業の300名規模」がメインターゲットなら、その業種・規模に特化した導入事例や課題解決コンテンツを優先的に制作します。
3. 営業部門との連携強化
分析結果をマーケティング部門だけで抱え込まず、営業チームと共有することが成果につなげるカギです。「この業種の顧客は商談化率が高い」「この規模の企業は解約リスクが低い」といったインサイトを営業に伝えることで、アプローチの優先順位付けが改善されます。
顧客分析の結果は、マーケ・営業・インサイドセールスの共通言語になります。「なんとなく」ではなく「データに基づいて」ターゲットを決められるようになるのが最大のメリットです。
よくある失敗パターンと対策

BtoBの顧客分析で初心者が陥りやすい失敗パターンを3つ紹介します。
失敗1:データ収集に時間をかけすぎる
「完璧なデータが揃ってから始めよう」と考えると、いつまでも分析に着手できません。
対策:まずは手元にある売上データだけでデシル分析を実施し、上位顧客の傾向を把握するところから始めましょう。データは分析を繰り返す中で徐々に充実させていけば問題ありません。
失敗2:分析結果が施策に紐づかず「点」で終わる
フレームワークを使って顧客を分類したものの、「で、何をすればいいの?」となるケースです。「BtoBマーケティングで成果が出ない」という企業の多くは、分析結果が各施策(Webサイト、広告、メルマガなど)に紐づいておらず、単発の「点の施策」になってしまっていることに原因があります。
対策:分析の前に「この結果が出たら、こういう施策を打つ」という仮説を立てておきましょう。たとえば「RFM分析でRスコアが低い(最近取引がない)顧客が見つかったら、再アプローチのメールを送る」といった具合です。
さらに重要なのは、分析で導き出した 「ターゲット顧客が抱える真の課題」 と、それを解決する 「自社独自の強み(バリュープロポジション)」 を、Webサイトのファーストビューのキャッチコピーから営業が使う提案資料にまで一貫させることです。戦略設計から現場の実行までブレのない「線のマーケティング」を敷くことが、顧客に「選ばれる理由」を強力に印象付けます。
失敗3:一度の分析で満足してしまう
顧客の状況は常に変化します。半年前の優良顧客が今も優良とは限りません。
対策:分析の更新サイクルを決めておきます。月次でRFMスコアを更新し、四半期ごとにセグメントの見直しを行うのが実務的なペースです。
まとめ:顧客分析を起点にBtoBマーケを加速させよう
BtoBの顧客分析は、「誰に注力すべきか」を明確にし、限られたリソースで最大の成果を出すための土台です。
本記事のポイント:
- BtoB顧客分析の代表的なフレームワークは5つ(デシル分析・RFM分析・セグメンテーション分析・LTV分析・行動トレンド分析)
- 迷ったらデシル分析から始め、段階的にステップアップする
- 分析結果は施策に落とし込み、PDCAを回して継続的に改善する
- マーケティング部門だけでなく、営業チームとの連携が成果のカギ
ただし、顧客分析はあくまで「出発点」です。分析結果をもとにターゲットを設計し、Webサイトを最適化し、リード獲得の仕組みを構築するところまで一貫して取り組むことで、はじめて売上につながります。
「人がいない」を言い訳にしない——コア業務とノンコア業務の切り分け
精緻な顧客分析を行い、カスタマージャーニーを描いたとしても、それに合わせたコンテンツ(記事やホワイトペーパー)を制作し、継続的に発信する社内リソースがなければ施策は頓挫してしまいます。
すべてを内製化しようとせず、業務を戦略的に切り分けましょう。「見込み顧客へのヒアリング」や「自社の強みの定義(戦略設計)」といったコア業務に自社リソースを集中 させます。一方で、分析に基づいた「コンテンツの実際の制作」や「MAツール等の運用」といった実行負荷の高いノンコア業務は、BtoBの知見を持つ外部パートナーに伴走・代行してもらう 「ハイブリッド型」の体制 を築くことが、ノウハウを蓄積しつつ最短で事業をグロースさせるための賢い選択です。
ferretソリューションは、IT・製造・人材・コンサルティング業など、さまざまなBtoB企業を6,650社以上支援してきました。マーケティングを体系化した「BtoBグロースステップ」は、800ページにわたるBtoBマーケの実践知識で、属人化せず迷わず最短で成果を出せるように設計されています。
BtoBグロースステップのSTEP1では、まさに本記事で解説した「ターゲットの特定」「競合分析」「強みの特定」を体系的に進め、顧客分析の結果をWebサイト構築やリード獲得施策に直結させます。ボトルネックの解消から組織の立ち上げまで、再現性の高い手法で支援し、はじめてBtoBマーケティングに取り組む企業も迷うことなく最短ルートで成果を創出できます。
「顧客分析の結果を、具体的にどう施策に落とし込めばいいかわからない」「分析はしたけど、次の一歩が踏み出せない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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