【BtoB担当者必見】オウンドメディアが継続しない企業の失敗パターンと解決策
「オウンドメディアを立ち上げたものの、記事の更新が続かない」「コンテンツを増やしても、商談や受注に繋がる質の高いリード(見込み顧客)が集まらない」
中堅・中小企業のBtoBマーケティング担当者様から、私たちはこうしたお悩みを日々伺っています。リソースが限られている中で、上層部や営業部門へ投資対効果(ROI)を説明する必要があり、「戦略が描けず手探り状態」「施策が目的化している」という焦りを感じているかもしれません。
その停滞、実はリソース不足だけが原因ではない可能性が高いです。多くの場合、コンテンツ制作という「施策」そのものが目的化してしまい、事業全体の成長に紐づく戦略設計が欠如していることが根本的な原因です。
本記事では、オウンドメディアの継続・成果未達に悩むBtoBマーケターの皆様へ、2,000社以上のBtoBマーケティング支援実績から得られた体系的な解決手順を解説します。施策に疲弊する状態から脱却し、オウンドメディアを事業の成長を牽引する「武器」に変えるための、戦略再構築と実行体制確保のロードマップを具体的なKPIや稟議ロジックと共にご提供します。
本記事の要点
オウンドメディアの継続と成果に悩むBtoBマーケティング担当者が、この記事を読むことで実践できるアクションと知見は以下の4点です。
- 成果の出ない原因を特定する: 施策の継続が困難な根本原因は「戦略設計の甘さ」にあることを理解し、自社の失敗パターンを特定できます。
- 事業貢献に繋がるKPIを設計する: KGI(売上・利益)から逆算し、営業部門と連携したMQL(高確度リード)の定義や、3年を見据えた長期目標を設定するフレームワークを確立できます。
- リソース不足を解消する体制を構築する: 属人化を排除したコンテンツの企画・制作・改善の標準ワークフローを設計し、リソース補強のための外部パートナーの適切な選び方を理解できます。
- 経営層の合意を得る稟議を通す: マーケティング投資のROI試算ロジックと、事業貢献度を中心とした経営層向け報告フォーマットを把握し、継続的な予算を獲得する道筋を描けます。
目次[非表示]
- 1.本記事の要点
- 2.オウンドメディアが継続できないBtoB企業が陥る「根本的な失敗パターン」
- 2.1.施策実行が目的化し、KPIが事業貢献に繋がらない構造
- 2.1.1.施策目的化の典型的な状態
- 2.2.リソース不足と属人化を招く「ノウハウ不在」の負の連鎖
- 2.3.【失敗パターン解説】BtoB企業にありがちな3つの壁
- 3.失敗の9割は「戦略設計の甘さ」が原因
- 4.戦略を実現する「コンテンツ企画・制作体制」の再構築ロードマップ
- 4.1.成果に直結するコンテンツテーマと制作優先順位の決め方
- 4.1.1.制作優先順位の決め方ロジック
- 4.2.属人化を防ぐ「企画・制作・改善」の標準ワークフロー設計
- 4.2.1.企画・制作・改善の標準ワークフローとチェック項目
- 4.3.リソース・ノウハウ不足を補う外部パートナーの選び方と活用法
- 5.ツールを活用し、商談・受注に繋げるナーチャリング戦略
- 5.1.MQL(高確度リード)の定義とデータによる行動分析
- 5.1.1.MQL定義を再構築する際の検討要素
- 5.2.リストを有効活用するためのセグメント別コンテンツデリバリー戦略
- 5.2.1.セグメント別ナーチャリングの基本戦略
- 6.経営層を納得させる「ROI試算と稟議」を成功させる5つのステップ
- 6.1.マーケティング投資の費用対効果(ROI)を試算するロジック
- 6.1.1.マーケティングROIの試算ロジック
- 6.2.継続的な予算獲得に繋がる「経営層への報告」フォーマット
- 6.2.1.経営層向け報告サマリーの構成案
- 6.3.外部ベンダー選定で失敗しないための評価軸とチェックリスト
- 7.まとめ
オウンドメディアが継続できないBtoB企業が陥る「根本的な失敗パターン」
オウンドメディアが継続できず、成果に繋がらない最大の原因は、戦略設計の段階で事業と紐づいた目標設定ができていないことにあります。
コンテンツ制作やSEO対策といった「施策」は、あくまで目標達成のための手段です。手段が目的化してしまうと、成果を測る基準があいまいになり、リソースが枯渇した時点で簡単に頓挫してしまいます。中堅企業に見られる構造的な失敗パターンを理解し、根本的な解決を目指しましょう。
施策実行が目的化し、KPIが事業貢献に繋がらない構造
多くのBtoB企業では、「競合がやっているから」「とりあえずSEOが必要だから」という理由でオウンドメディアをスタートさせがちです。その結果、施策の実行「自体」が目標になってしまう「施策目的化」の状態に陥ります。
施策目的化の典型的な状態
現状のKPI設定の課題 | 本来の事業貢献との乖離 |
|---|---|
記事公開本数が目標になっている | 記事を増やしても商談数が増えない |
PV(ページビュー)の最大化が目標になっている | PVは多いが、問い合わせ(CV)に繋がらない |
リード数の確保が目標になっている | リード数は増えたが、商談化率が極端に低い |
特に中堅企業の場合、ツールが取得できる表面的なデータ(Webサイト訪問数、メール開封率など)をKPIに設定してしまい、最終的なKGI(売上・利益)への貢献度が見えなくなっているケースが多く見られます。ツールを導入しているにもかかわらず、そのデータが営業部門に連携されず、リードの「質」の評価に活かされないため、KPIは形骸化してしまうのです。
リソース不足と属人化を招く「ノウハウ不在」の負の連鎖
BtoBマーケティングは、商材特性上、市場の専門知識や、製品の導入事例といった高品質なコンテンツの継続的な投入が求められます。しかし、リソースやノウハウが不足している企業では、以下のような「負の連鎖」が発生し、結果的に継続が不可能になります。
- ノウハウ不在: 担当者の個人的なスキルや前職の経験にコンテンツ制作の品質が依存します。
- 属人化の発生: 制作プロセスやSEOノウハウが体系化されず、特定の担当者以外には引き継げない状態になります。
- リソースの枯渇: 兼任が多い担当者が多忙になったり、担当者が退職・異動したりすることで、更新が停滞します。
- 成果の停滞: 継続的なコンテンツ更新が途切れると検索順位が下落し、リード獲得数が減少。「成果が出ない→リソースを割けない」という悪循環に陥ります。
この連鎖を断ち切るには、属人的な「頑張り」に依存するのではなく、誰が担当しても一定の成果が出せる「再現性のある体系的な戦略と仕組み」を構築することが不可欠です。
【失敗パターン解説】BtoB企業にありがちな3つの壁
中堅BtoB企業がオウンドメディア運営で直面しやすい、より具体的な3つの課題の壁について解説します。これらの課題の根本には、戦略設計の甘さが隠されています。
1. 「属人化→担当者退職」によるリソース崩壊の壁
戦略設計やドキュメント作成をせず、優秀な一人のマーケティング担当者にすべてを任せてしまった結果、その担当者が転職や異動で抜けた途端にオウンドメディアが完全にストップしてしまうケースです。ノウハウやパスワード、外部パートナーとの連携窓口が一元化されていたため、後任者が何をどうすればいいか全く分からなくなり、立て直しに膨大な時間とコストがかかってしまいます。
2. 部門間の対立による「間違ったMQL定義」の壁
マーケティング部門と営業部門でKPIが分断され、「営業が追いたいリード」と「マーケが送りたいリード」の定義(MQL定義)が一致しないことで、マーケティング活動が事業貢献に繋がらない壁です。例えば、マーケティング側は「資料をダウンロードした人」をMQLとして大量に送客しても、営業側は「役職が部長以上で、〇〇のページを3回以上見ている人」しか追わない、といった状況です。結果、マーケティングの活動が「頑張っているだけ」に終わり、経営層から投資の妥当性を疑われます。
3. 技術リテラシーの高さが邪魔をする「施策の複雑化」の壁
特にITソリューション系や高機能な製造業の場合、技術に詳しい担当者がツールや施策をオーバースペックに複雑化させてしまう壁です。高機能なMAツールを導入したものの、高度なセグメントやシナリオ設計にこだわりすぎて、施策設計に時間がかかり、肝心のコンテンツ制作が進まないという本末転倒な状況に陥ります。シンプルかつ効果的な「勝てる戦略」を定義できず、ツールに振り回されてしまうのです。
この3つの壁を乗り越えるには、場当たり的なコンテンツ制作を止め、事業のKGI達成から逆算した強固な戦略設計を再構築することが唯一の解決策となります。
失敗の9割は「戦略設計の甘さ」が原因
オウンドメディアの失敗は、リソース不足やコンテンツの質といった「戦術」以前に、事業とマーケティングの繋がりを定義する戦略設計の欠如に原因があります。
今こそ、一度立ち止まり、マーケティング活動を事業の成果に直結させるための「土台」を再構築しましょう。この土台固めこそが、今後のリソース投資、外部ベンダーの選定、そして経営層への説明責任を果たすための生命線となります。
事業計画に連動する「3年後の目標」とKPI設定のフレームワーク
戦略再構築の第一歩は、KGI(Key Goal Indicator)、つまり事業目標とマーケティング目標を完全に連動させることです。マーケティング部門独自の目標(例: PV数)ではなく、売上や利益に直結する目標から逆算してKPIを設定するフレームワークを用います。
KGIから逆算するKPI設定のフレームワーク(3年計画)
指標 | 定義と目標設定のポイント | 担当部門の連携 |
|---|---|---|
KGI(最終目標) | 3年後の売上目標、利益目標、市場シェアなど。経営層と合意形成した数値。 | 経営層、事業責任者 |
KPI(重要業績評価指標) | KGI達成に必要な受注数、商談数、そして**MQL(高確度リード)**の目標件数。 | 営業部門、マーケ部門 |
KPA(重要活動指標) | KPI達成に必要な施策レベルの指標。コンテンツ制作本数、SEO順位、メール開封率、Web広告のCPAなど。 | マーケ部門 |
特に中堅企業の場合、短期的な成果を求められがちですが、オウンドメディアは中長期的な投資です。3年を見据えた長期計画を策定し、段階的に必要なリソースと目標を明確にすることが、経営層の理解を得る上で欠かせません。
この計画があることで、「今年はリソースをコンテンツ制作に集中し、来年以降のROIを最大化する」といった戦略的な意思決定が可能になります。
営業部門との連携を前提としたペルソナ・カスタマージャーニーの策定
「戦略なき施策」が生まれる大きな原因は、マーケティング活動が営業部門と乖離した「独りよがり」になっていることです。
ペルソナ(理想の顧客像)とカスタマージャーニー(顧客の購買プロセス)の策定は、マーケティング担当者だけで完結してはいけません。**顧客と直接対話する営業部門(特にフィールドセールス・インサイドセールス)**を巻き込み、リアルな課題や購買プロセスに関する知見を取り入れましょう。
営業連携で戦略を策定する具体的な手順
- ペルソナの共同定義: 営業担当者が「最も受注しやすい顧客」の属性、課題、意思決定プロセスをヒアリングし、マーケティング側で定義したペルソナをブラッシュアップします。
- カスタマージャーニーの紐付け: ペルソナが「課題認識」から「情報収集」、そして「比較検討」を経て「商談」に至るまでの各フェーズで、「どのような情報(コンテンツ)」を求めているかを営業と共に具体的に洗い出します。
- コンテンツの役割を定義: 各フェーズのコンテンツが「商談に繋がるリードの獲得(MQL)」または「営業提案の補強」といった具体的な事業貢献の役割を持つことを明確にします。
この戦略設計こそが、施策の迷走を防ぎ、事業に貢献する目標設定を可能にする最も重要なステップです。ferretソリューションでは、2,000社以上の実績と体系化されたノウハウに基づき、事業に貢献する目標設定と戦略設計を、お客様の組織体制に合わせて徹底的に支援しています。
戦略を実現する「コンテンツ企画・制作体制」の再構築ロードマップ
強固な戦略設計を策定したら、次はその戦略を確実に実行し、属人化を防ぐ「体制と仕組み」を構築するフェーズです。リソース不足に悩む中堅企業だからこそ、効率的で再現性の高いワークフローの設計が求められます。
成果に直結するコンテンツテーマと制作優先順位の決め方
オウンドメディアのコンテンツは「量より質、そして優先順位」が重要です。やみくもに記事を増やすのではなく、「商談化率」や「受注率」が高いフェーズに効くコンテンツから順に制作を進めましょう。
制作優先順位の決め方ロジック
優先度 | コンテンツの目的とフェーズ | 優先順位が高い理由 |
|---|---|---|
最優先 | 比較検討期のコンテンツ(導入事例、製品比較記事、料金ページ) | 獲得したリードを商談へ引き上げる最も重要な導線であり、ROIに直結する。 |
優先度高 | 課題解決期のコンテンツ(コアなキーワード記事、ノウハウ系ホワイトペーパー) | 顕在的な課題を持つ層を効率よく集客し、MQLを創出する。 |
優先度中 | 潜在課題期のコンテンツ(広範囲のSEO記事、業界動向レポート) | 長期的にリード総数(母集団)を増やし、企業の信頼性を構築する。 |
制作テーマを選定する際は、ペルソナが抱える「真の課題」と、その課題が「どの購買フェーズにあるか」を軸に評価し、リソースを考慮して費用対効果(ROI)の高いテーマから着手するロジックを確立しましょう。特に、営業部門が「提案時に欲しい」と要望する事例コンテンツや製品資料は、最優先で質の高いものを整備すべきです。
属人化を防ぐ「企画・制作・改善」の標準ワークフロー設計
「担当者が変わると記事の品質が落ちる」「PDCAが回らない」という事態を防ぐには、属人的なノウハウではなく、**組織で共有された「型」が必要です。コンテンツの企画・制作・改善(PDCA)**の各プロセスを標準化し、誰でも高い品質を担保できるワークフローを設計しましょう。
企画・制作・改善の標準ワークフローとチェック項目
フェーズ | 達成目標 | 標準化すべき要素(チェックリスト) |
|---|---|---|
企画 | 戦略とペルソナに基づくテーマ選定と構成作成 | ・キーワード選定基準(検索ボリュームと意図の合致)の明確化 ・記事構成案(見出し・文字数)のテンプレート化 ・執筆者に渡すコンテンツブリーフの項目統一 |
制作 | 求める品質基準を満たした記事の完成 | ・文体、表記、画像選定ルールの明文化(制作ガイドライン) ・一次情報・引用出典の確認フロー ・納品前のSEO/E-E-A-Tチェックリストの作成 |
改善(PDCA) | 成果に基づき、コンテンツのパフォーマンスを最大化 | ・月次で振り返り会議の開催(頻度と参加者の固定) ・分析すべきKPI(流入KW、CVR、MQL化率)の定義 ・改善施策(リライト、導線変更)の実行担当と期日の明確化 |
このワークフローをドキュメント化し、ナレッジベースとして組織全体で共有することで、仮に担当者が入れ替わっても、オウンドメディアの品質と継続性を担保できます。
リソース・ノウハウ不足を補う外部パートナーの選び方と活用法
中堅企業にとって、マーケティング部門の人員増強は容易ではありません。戦略の実行を担保し、ノウハウを蓄積するために外部パートナーの活用は非常に有効な選択肢です。ただし、単なる「コンテンツ制作代行」と「戦略に基づいた伴走支援」を区別して選ぶ必要があります。
支援タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
コンテンツ制作代行 | 費用が安価な傾向。一時的に記事本数を増やせる。 | 戦略設計は自社で担う必要がある。事業貢献度は担保されない。 |
伴走支援・人材常駐 | 戦略設計から実行、PDCAまでをプロと共に実践できる。ノウハウが自社に蓄積される。 | 費用が高くなる傾向がある。パートナー選定を誤ると成果が出ない。 |
自社のリソースが「制作リソース」が不足しているのか、「戦略・ノウハウ」が不足しているのかによって選ぶべきパートナーは異なります。戦略設計から実行体制の構築、コンテンツ制作、そして各種ツールの活用まで、一気通貫で支援できるパートナーを選ぶことが、成果への近道となります。
ツールを活用し、商談・受注に繋げるナーチャリング戦略
MA(マーケティングオートメーション)やSFA(セールスフォースオートメーション)を導入している中堅企業が多い一方で、「ツールを導入しただけで、データが活用されていない」という課題も一般的です。ここでは、ツールを活用し、リードを商談・受注に直結させるナーチャリング戦略の要諦を解説します。
MQL(高確度リード)の定義とデータによる行動分析
マーケティング活動を事業貢献に繋げる上で、最も重要なのがMQL(Marketing Qualified Lead:マーケティング部門が定義・創出した商談確度の高いリード)の定義です。MQLを「資料請求」や「問い合わせ」といった単なる行動で定義するだけでは不十分です。
MQLは、営業部門とマーケティング部門が共通認識を持てる「質」の基準である必要があります。ツールが蓄積するデータを用いて、以下のような行動履歴(スコアリング)に基づき、MQLの定義を再構築しましょう。
MQL定義を再構築する際の検討要素
- 属性情報: 役職(決裁権者、影響力を持つ担当者)、企業規模(従業員数、売上)、業種(ターゲットセグメントとの一致)。
- 行動履歴(スコアリング): Webサイトの訪問頻度(直近1ヶ月で5回以上など)、特定コンテンツ(料金ページ、導入事例)の閲覧回数、メール開封率・クリック率。
- 非行動データ: 競合他社のIPアドレスからのアクセス、特定の展示会での名刺交換の有無など。
この定義を営業部門と綿密にすり合わせることで、「マーケティングが良質なリードを送ってくれない」といった部門間対立を解消し、商談に繋がるリードの獲得体制を強化できます。
リストを有効活用するためのセグメント別コンテンツデリバリー戦略
既に保有しているリスト(過去の展示会名簿、古い資料請求者など)は、「宝の山」です。これをセグメント(分類)し、適切なタイミングで適切なコンテンツを届けるセグメント別コンテンツデリバリー戦略を実行することで、効率的にMQLを創出できます。
セグメント別ナーチャリングの基本戦略
セグメント(リストの状態) | 配信コンテンツの例 | 目的と施策 |
|---|---|---|
未開封・休眠リスト | 業界の最新トレンドレポートや、競合との比較ホワイトペーパーなど、興味を引くテーマ。 | 再活性化し、Webサイトへの再来訪を促す。 |
情報収集リスト | 閲覧したコンテンツに関連する詳細ノウハウ資料、導入事例のメールなど。 | 課題解決の具体的なヒントを提供し、検討フェーズへ移行させる。 |
比較検討リスト | 価格情報や製品デモ動画、他社比較の資料。 | 商談化(MQL化)を促す。営業トスアップへ。 |
ツールを活用し、このセグメントとコンテンツのデリバリーを自動化(ステップメールやスコアリングによるアラート設定)することで、リソースが少ないマーケティング部門でも、継続的な顧客育成の仕組みを構築することができます。
経営層を納得させる「ROI試算と稟議」を成功させる5つのステップ
BtoBマーケティング、特にオウンドメディアのような中長期投資は、継続的な予算獲得が重要です。経営層は「成果」と「投資対効果(ROI)」を最も重視します。マーケティング活動を「事業の武器」として認めさせるための、稟議戦略と報告フォーマットを確立しましょう。
マーケティング投資の費用対効果(ROI)を試算するロジック
経営層への説明責任を果たすためには、「どれだけアクセスが増えたか」ではなく、「その投資が将来どれだけの売上をもたらすか」というロジックで説明する必要があります。
オウンドメディアのROI試算では、短期的なCPA(顧客獲得単価)だけでなく、LTV(顧客生涯価値)と、オウンドメディアが生み出すリードの質(商談化率・受注率)を考慮に入れることが肝心です。
マーケティングROIの試算ロジック
ROI(%)= ((LTV × 施策貢献による新規顧客数) − 施策投資額) ÷ 施策投資額 × 100
この計算式で、特に重要なのが「施策貢献による新規顧客数」です。これは単なるCV数ではなく、「オウンドメディア経由で獲得し、最終的に受注に繋がった顧客数」である必要があります。そのため、前述の営業部門との連携によるMQL定義とデータ連携が極めて重要になるのです。
また、オウンドメディアの価値は、コンテンツが「無形の資産」として蓄積され、時間が経つほど費用対効果が高まる点にもあります。初年度のROIが低くても、2年目、3年目でどのようにROIが改善していくかの長期ロードマップを提示しましょう。
継続的な予算獲得に繋がる「経営層への報告」フォーマット
経営層への報告は、「何をしたか」という活動報告ではなく、「事業にどう貢献したか」という結果と戦略に焦点を当てたものにする必要があります。彼らが最も知りたいのは、「追加投資すべきか否か」という意思決定のための情報です。
報告の頻度は月次や四半期とし、以下の要素をサマリー形式で簡潔に提示するフォーマットに統一しましょう。
経営層向け報告サマリーの構成案
構成要素 | 報告すべき内容の例 | 経営層の着目点 |
|---|---|---|
エグゼクティブ・サマリー | 今期目標(KGI)と実績のギャップ。「ギャップ解消のための次の一手(投資案)」の提言。 | 事業全体への影響、次期投資の妥当性 |
事業貢献度分析 | オウンドメディア経由の受注貢献額、LTV、MQLの質(商談化率) | マーケティングチャネルとしての実力 |
リスクと機会 | 競合の動向、法規制、リソース不足の現状と、それに対する戦略的な打ち手。 | リスクマネジメント、市場競争優位性 |
次期アクションと予算要求 | 提案する次の戦略と具体的なKPI(MQL目標など)、そして必要な追加予算の理由(ROI試算に基づく) | 投資の回収見込み |
施策の細かな進捗ではなく、KGI達成に向けた「事業貢献のストーリー」を伝えることで、マーケティング活動への信頼性と、予算獲得の継続性が高まります。
外部ベンダー選定で失敗しないための評価軸とチェックリスト
戦略の実行やノウハウの体系化を外部パートナーに依頼する場合、選定を誤ると費用対効果が全く得られません。特に中堅企業に必要なのは、「自社の事業特性と組織体制」を理解した上で、柔軟に「戦略と実行」を支援できるパートナーです。
単にコンテンツ制作が速い、費用が安いといった理由だけでなく、以下のチェックリストを基に、**E-E-A-T(専門性・権威性・信頼性・経験)**を担保できるベンダーを選びましょう。
評価軸 | チェックリスト |
|---|---|
専門性・実績 | ✔ BtoBに特化した支援実績(BtoCやWeb制作専門ではないか)があるか |
ノウハウの体系化 | ✔ 属人化を排除し、再現性のある独自の戦略フレームワークを持っているか |
実行体制の柔軟性 | ✔ コンテンツ制作代行だけでなく、人材常駐(リソース支援)など、柔軟な支援体制を提供できるか |
ツール活用力 | ✔ 導入済みのツール(Salesforceなど)のデータ連携・活用に長けているか |
提案内容の軸 | ✔ 「記事本数」ではなく、「事業KGI」を基軸とした提案内容になっているか |
営業連携への理解 | ✔ マーケティングと営業部門間の連携(MQL定義など)の重要性を認識しているか |
戦略設計から実行、そして社内合意形成までを支援できるパートナーを選ぶことが、オウンドメディアを真に「事業の武器」にするための重要な一歩となります。
まとめ
戦略設計の再構築こそが、BtoBグロースへの最短ルート
本記事では、オウンドメディアの継続や成果に悩むBtoBマーケティング担当者の皆様に向け、失敗の根本原因と、そこから脱却するための体系的なロードマップを解説しました。
最も強くお伝えしたい結論は、「コンテンツ制作」や「リソース不足」といった目の前の問題解決だけでは、根本的な課題は解決しないということです。
オウンドメディアが継続できない真の原因は、「事業のKGI達成から逆算した戦略設計が不在であること」にあります。
この戦略設計(誰に、何を、どう売るか、KPIは何か)を、営業部門と連携しながら再構築することこそが、施策の迷走を止め、限られたリソースを最大限に活かし、最終的に経営層からの継続的な投資を引き出すための最短ルートです。
「まずは自社のオウンドメディアが抱える課題の真因を知りたい」 「具体的な戦略設計の手順と、どれくらいの成果が見込めるのか相談したい」
もしあなたが今、オウンドメディアの継続と成果に限界を感じ、体系的な戦略設計と実行力の獲得が必要だと感じているのであれば、ぜひ一度ferretソリューションにご相談ください。
戦略の立て直しから実行体制の構築、経営層への稟議ロジックまで、お客様の状況に合わせた最適な「次の一手」をご提案します。
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