BtoB企業向け SEOで指名検索を増やす実践ガイド|中堅企業が広告費に頼らず「選ばれる」ための戦略と工程
「Web広告のCPA(獲得単価)が高騰し続けている」 「SEOで記事を量産しているのに、質の低いリードばかり増える」 「競合他社のように、自社名で検索されるブランドになりたい」
もしあなたがこのような悩みを抱えているなら、いま向き合うべきは「指名検索数(ブランド検索数)」の最大化です。
指名検索とは、ユーザーが「社名」や「サービス名」を直接入力して検索する行動のこと。これは、顧客がすでにあなたの会社を認知し、興味を持っている証拠であり、BtoBマーケティングにおいて最もコンバージョンに近い「信頼の指標」と言えます。
しかし、多くの中堅・中小企業では「指名検索を増やす=テレビCMやタクシー広告などのマス広告が必要」と誤解されがちです。あるいは、ロゴの露出を増やすといった表面的な施策に終始し、成果が出ずに疲弊しているケースも少なくありません。実際に、マーケティング担当者の半数以上が「指名検索数を増やせていない」ことに課題を感じているというデータもあります。
本記事では、2,000社以上のBtoBマーケティング支援実績を持つferretでの知見をもとに、広告費に頼らず、コンテンツと戦略によって着実に指名検索を増やすための実践的な手順を解説します。
この記事の要点
・指名検索は「信頼の総量」: 一般検索よりCVRが高く、SEO順位変動にも強い資産となる。
・増えない原因は「戦略不在」: 「何屋」として想起されたいかが曖昧なまま、露出だけ増やしても効果は薄い。
・勝ち筋は「お役立ち」の蓄積: 潜在層の悩みを解決するコンテンツ(ストック)が、将来の指名検索(フロー)を生む。
・成果は「広告換算」で可視化: 指名検索の価値を広告費に換算し、経営層に投資対効果を証明する。
指名検索=「信頼の総量」。BtoBマーケティングにおける重要性
BtoBマーケティングにおいて、指名検索数は単なる「SEOの一指標」ではありません。それは、市場における「企業の信頼総量」を表すバロメーターです。
なぜ今、BtoBで「指名検索」が最重要KPIなのか
近年、BtoB顧客の情報収集行動は大きく変化しています。製品を導入する前に、約8割の担当者がWeb検索やSNSで情報収集を済ませていると言われます。その際、信頼できる情報源として「知っている企業(ブランド)」の情報が優先的に選ばれる傾向があります。
また、Googleの検索品質評価ガイドラインにおいても「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」が重視されており、指名検索が多いことは「ユーザーから信頼されているサイト」という強力なシグナルとなります。つまり、指名検索が増えることは、サイト全体のSEO評価を底上げすることにもつながるのです。
SEOや広告効率へのインパクトとLTV向上効果
指名検索経由のユーザーは、すでに自社への関心が高いため、一般的なキーワード検索に比べてコンバージョン率(CVR)が圧倒的に高いのが特徴です。
例えば、あるBtoBツールの事例では、一般キーワード(例:「勤怠管理システム 比較」)のCVRが1〜2%であるのに対し、指名キーワード(例:「〇〇システム」)のCVRは10%を超えることも珍しくありません。指名検索が増えれば、高騰するリスティング広告に頼らずとも、低い獲得単価(CPA)で良質なリードを獲得し続けることが可能になります。
なぜ自社の指名検索は増えないのか?3つのボトルネック
「知名度がないから指名されない」と諦める必要はありません。指名検索が増えない企業の多くは、以下の3つのボトルネックのいずれかに陥っています。
【原因1:戦略不在】「何屋」として覚えられたいかが定義されていない
最も多いのが、自社の強みや提供価値(USP)が言語化されていないケースです。「ITツールなら何でもできます」といった総花的な訴求では、顧客の記憶にフックがかかりません。「〇〇の課題解決なら、あの会社」という「第一想起(マインドシェア)」を取るための戦略が欠けています。
【原因2:資産不足】顧客の課題を解決するコンテンツ(ストック)がない
指名検索の源泉は「過去のポジティブな体験」です。「以前検索した記事が役に立った」「ホワイトペーパーで勉強させてもらった」という体験の蓄積が、いざという時の指名検索につながります。このための「役に立つコンテンツ(資産)」が不足していると、いつまで経っても信頼は貯まりません。
【原因3:接触不足】想起されるための継続的な接点(フロー)がない
どれほど良いコンテンツがあっても、一度きりの接点ではすぐに忘れ去られます。メルマガやSNSなどを通じて、顧客の検討フェーズに合わせて定期的に接触し続ける仕組みがないと、想起のきっかけを作れません。
【STEP1:戦略設計】「なんとなく」の露出を止める。指名される理由の定義
ここからは具体的な手順を解説します。まずは、やみくもに記事を書く前に「指名される理由」を定義します。
競合と比較された際に選ばれる「独自の強み(USP)」を言語化する
戦略設計においては、まず自社の理想の状態や提供価値を明確にすることが重要です。
競合他社と並べられたときに、顧客が自社を選ぶ理由は何でしょうか?
・「業界最安値」なのか? ・「もっともサポートが手厚い」なのか? ・「特定の業界に特化している」のか?
この「USP(Unique Selling Proposition)」が曖昧なまま露出を増やしても、「名前は見たことあるが、何が得意な会社か知らない」状態で止まってしまいます。
ペルソナとカスタマージャーニーマップで「指名される瞬間」を設計する
次に、ペルソナ(理想の顧客像)がどのような課題を持った瞬間に自社を思い出してほしいかを設計します。これを「カスタマージャーニーマップ」に落とし込みます。
例えば、「製造業のDX」を支援する企業であれば、顧客が「工場の生産効率が落ちている...」と悩んだ瞬間に、「そういえば、生産管理の効率化について詳しいあの会社のブログがあったな」と思い出してもらうことがゴールです。この「想起される文脈」を意図的に作り出すことが戦略設計の肝です。
【STEP2:資産構築】「役に立つ」体験を積み上げ、信頼を貯金する
戦略が決まったら、次は顧客にとって価値あるコンテンツ(資産)を構築します。ここでのポイントは、売り込みではなく「徹底的な課題解決(Give)」に徹することです。
潜在層の悩み(Knowクエリ)に応えるブログ・記事コンテンツの制作
まだ自社を知らない潜在層は、自社の課題を解決する方法(Knowクエリ)を検索しています。
例えば、「インボイス制度 対応方法」「営業 効率化 ツール」といったキーワードです。
こうした検索に対し、プロフェッショナルとして的確な回答とノウハウを提供する記事を作成します。「この会社の記事はいつもわかりやすい」「勉強になる」という信頼残高(クレジット)を積み上げることが、将来の指名検索への第一歩です。
課題解決型のホワイトペーパーで「専門家」としてのポジションを築く
Web記事で関心を持ってくれたユーザーに対し、さらに深いノウハウをまとめた「ホワイトペーパー(eBook)」を提供します。
・「〇〇業界向け 失敗しないシステム選定チェックリスト」 ・「2025年版 〇〇市場調査レポート」
こうした資料は、保存性が高く、社内で回覧される可能性もあります。資料の表紙や各ページにロゴを入れておくことで、「この分野の専門家=貴社」という認知を刷り込むことができます。
【STEP3:認知拡大】「忘れられない」ための継続接触と外部露出
資産ができたら、それを広め、忘れられないための仕組みを作ります。
SNS(X/LinkedIn)とメルマガ活用による「単純接触効果」の最大化
人は接触回数が多いほど、その対象に好意を持つ「ザイアンス効果(単純接触効果)」があります。BtoBでもこれは有効です。
・SNS(XやLinkedIn): 担当者の顔が見える発信で親近感を醸成する。日々の気付きや業界ニュースへの見解など、人間味のある投稿が信頼を生みます。
・メールマガジン: 週1回程度、作成したブログやホワイトペーパーを案内する。「売り込み」ではなく「お役立ち情報の提供」というスタンスを崩さないことが継続の鍵です。
プレスリリースと事例コンテンツで「社会的信用」を醸成する
自社サイト以外の場所での露出は、「権威性(Authority)」を高める上で非常に有効です。
・プレスリリース: 新機能だけでなく、「業界カオスマップの公開」や「意識調査アンケートの結果発表」などもニュースになります。メディアに取り上げられれば、被リンク獲得によるSEO効果も期待できます。
・寄稿・事例: 業界紙や専門Webメディアへの寄稿は、そのメディアの読者(潜在層)にリーチできるだけでなく、「あのメディアに載っている会社なら安心だ」という第三者のお墨付きを得られます。
もし、こうした施策を実行したいが社内にリソースがない、あるいはどのようなコンテンツを作れば良いかわからないという場合は、ferretソリューションのコンテンツ制作・運用支援をご検討ください。貴社のリソース不足を補いながら、成果につながる資産作りをサポートします。
成果を可視化し、社内稟議を通す。指名検索の価値測定とレポート
指名検索を増やす施策は、効果が出るまでに時間がかかります。そのため、上層部や他部署から「これって意味あるの?」と問われることがあります。そこで必要なのが、定量的な成果の証明です。
指名検索の価値を広告費換算で示す
指名検索の価値を「金額」に換算して伝えると、経営層の納得感が変わります。もしその指名検索流入を、一般的なリスティング広告で獲得しようとしたら幾らかかるか、という視点で価値を算出します。
例えば、指名検索での月間流入が1,000件あり、自社関連の一般キーワードの平均クリック単価(CPC)が500円の場合、「毎月50万円分の広告費をかけずに集客できているのと同じです」と説明できます。
経営層が納得するレポートフォーマットと定性評価の伝え方
数字だけでなく、現場の「生の声」も強力な説得材料になります。
インサイドセールスや営業担当と連携し、以下のような定性情報を集めてレポートに付記しましょう。
・「今回のアポ、先方がブログを読んでいて最初から信頼してくれていた」 ・「競合と比較されたが、Webでの情報発信量が決め手で選ばれた」
こうした報告は、指名検索施策が単なるマーケティング活動ではなく、「営業活動そのものを楽にしている」ことを実感させるのに効果的です。
まとめ
指名検索数は、一朝一夕に増えるものではありません。しかし、正しい戦略のもとでコンテンツという「資産」を積み上げれば、必ず右肩上がりに成長し、広告費に依存しない強固な集客チャネルとなります。
本記事の振り返り
戦略設計: まず「何屋」として想起されたいか(USP)を定義する。
資産構築: 潜在層の課題を解決する記事やホワイトペーパーを蓄積する。
継続接触: SNSやメルマガで顧客との接点を保ち、第一想起を獲得する。
成果証明: 広告換算で価値を可視化し、社内合意を得る。
「やるべきことはわかったが、自社だけで戦略設計からコンテンツ制作まで回すのは難しい」 「今のマーケティング施策が本当に指名検索につながっているか診断したい」
そうお考えの方は、ぜひferretソリューションにご相談ください。
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