兼務でもできるインハウスSEO|BtoB企業が限られたリソースで結果を出す体制構築法

「Webサイトからのリード獲得を増やしたいが、何から手をつければいいかわからない」 「SEO対策を内製化(インハウス化)しようとしたが、記事を書く時間が取れず更新が止まってしまった」 「外部に委託する予算もなく、社内でなんとか成果を出したいがノウハウがない」

中堅BtoB企業において、マーケティング担当者がこのような悩みに直面することは決して珍しくありません。専任の担当者が不在であったり、他の業務と兼務であったりと、リソースが限られる中で成果を求められるプレッシャーは大きなものです。

特にSEOは、広告のように即効性があるわけではなく、長期的な取り組みが必要です。しかし、正しい戦略と体制なしに闇雲に記事を書いても、検索順位は上がらず、質の高いリードも獲得できません。結果として「SEOは効果がない」と判断され、取り組み自体が頓挫してしまうケースも多く見られます。

本記事では、2,000社以上のBtoBマーケティング支援実績を持つferretでの知見を基に、BtoB

企業がインハウスSEOを成功させるための具体的な手順と体制構築について解説します。単なる「記事の書き方」ではなく、経営層を納得させるための考え方や、リソース不足を解消する現実的な選択肢まで、実務に即したノウハウをお届けします。

この記事の要点

  • 戦略の欠如が最大の失敗要因:ターゲット選定とカスタマージャーニー設計なしにSEOは成功しません。実際、ドキュメント化されたコンテンツ戦略を持つBtoBマーケターは全体の4割程度に過ぎず、多くの企業で戦略不在が成果停滞の一因となっています。
  • フェーズごとの施策実行:土台構築、コンテンツ制作、MQL最大化と、段階を踏んで進めることが重要です。各フェーズで適切な施策を行うことで、効率的に成果を積み上げられます。
  • リソース不足の解消:すべてを内製化せず、戦略的に外部パートナーを活用することが近道です。実際、BtoB企業の約84%がコンテンツ制作を外部に委託しているとのデータもあり、リソースやノウハウが不足する場合は伴走パートナーの活用が一般的です。
  • 成果の可視化:SEOを「コスト」ではなく「資産への投資」と位置づけ、適切なKPI設計で経営層の理解を得ることが重要です。コンテンツマーケティングは76%のマーケターがリード創出に寄与すると認める取り組みであり、正しく指標管理すれば事業貢献を示せます。

あわせて読みたい:BtoB企業のSEO対策は「戦略」が9割!リード獲得からMQL創出まで成果に直結する設計とは

目次[非表示]

  1. 1.この記事の要点
  2. 2.なぜインハウスSEOに取り組むBtoB企業の成果は頭打ちになるのか
  3. 3.失敗しないインハウスSEOの土台:「戦略設計」の重要性と手順
  4. 4.インハウスSEOを成功に導く具体的な実施手順(フェーズ別ロードマップ)
  5. 5.BtoB企業が直面する「リソース不足」を解消する体制構築の選択肢
  6. 6.インハウスSEOで成果を出し続けるための継続的なPDCA
  7. 7.【まとめ】インハウスSEOで成果を出すために、BtoB企業が押さえるべきポイント

なぜインハウスSEOに取り組むBtoB企業の成果は頭打ちになるのか

BtoB企業において、インハウスSEO(SEOの内製化)は理想的な選択肢のように思えます。社内にノウハウが蓄積され、外注コストも削減できるからです。しかし、現実には多くのBtoB企業で取り組みが頓挫したり、期待した成果が出ずに頭打ちになったりしています。その背景には、構造的な原因が存在します。

インハウス化で成果が出ない企業が抱える3つの共通課題

成果が出ない企業には、共通して以下の3つの課題が見られます。

誰に・何を届けるかの戦略不在

多くの企業が、キーワード選定からSEOを始めてしまいます。「検索ボリュームが多いから」という理由だけで記事を作成しても、自社のターゲット顧客が検索するキーワードでなければリードにはつながりません。また、自社の強みが伝わらない一般的な内容の記事ばかりでは、比較検討の土俵にすら上がれません。要するに、「誰に何を届けるか」という戦略設計が欠如している状態では成果は望めないのです。この戦略欠如は実務上でも大きな障壁となっており、B2B Content Marketing Benchmarks, Budgets, and Trends: Outlook for 2024の調査によれば、BtoBマーケターの約59%がコンテンツ戦略を文書化できていないとの報告もあります。

圧倒的なリソース不足と兼務の限界

BtoB企業のマーケティング担当者は、展示会対応、メルマガ作成、Webサイト更新など多岐にわたる業務を抱えています。SEO記事の執筆には、リサーチから構成作成、執筆、推敲まで1記事あたり数時間〜十数時間を要します。「空いた時間でやる」というスタンスでは、継続的な更新は物理的に不可能です。B2B Content Marketing Statistics and Insights for 2024の調査でも、BtoBマーケターの69%がコンテンツ制作の時間不足、55%が十分なコンテンツ量を確保できないことを最大の課題に挙げています。兼務ではこれらの課題を克服しにくいのが現状です。

KPI設定のズレと短期的な評価

経営層は「今月の売上」を求めがちですが、SEOは成果が出るまでに半年〜1年以上かかる施策です。このタイムラグを考慮せず、PV数や検索順位だけをKPIにしてしまうと、質の低いアクセスばかりを集めてしまい、最終的な売上につながらないという悪循環に陥ります。短期志向の評価により「SEOは効果がない」と判断され、途中で施策を断念してしまうケースも多いのです。実際、Ahrefsの124 SEO Statistics for 2024では、新規に公開したページのうち一年以内にGoogle検索結果トップ10入りできたものはわずか5.7%しかなく、上位ページの平均年齢は2年以上という結果が出ています。このようにSEOは中長期で成果が現れる施策であり、短期的なKPIではその真価を測りにくいのです。

BtoBにおけるインハウスSEOのメリット・デメリットを再整理する

インハウスSEOに取り組む際は、そのメリットとデメリットを冷静に比較し、自社のリソースで許容できるかを判断する必要があります。

メリット

  • 社内資産になる(ストック効果):作成したコンテンツはWeb上に残り続け、継続的に集客してくれる資産となります。例えば、質の高いSEOコンテンツは長期にわたりトラフィックを生み出し、50-ish B2B Content Marketing Statistics Every CMO Should Knowのデータによれば、SEO経由のWebサイト訪問はソーシャルメディア経由よりも1000%以上多いとのデータもあります。また、同調査では、マーケターの60%がSEOやブログなどのインバウンドチャネルから得られるリードを「最も質が高いリード源」だと評価しており、コンテンツ資産は安定した高品質リードの獲得源となりえます。

  • ノウハウの蓄積:自社製品や顧客理解が深い社員がコンテンツ制作に関わることで、専門性の高いコンテンツを作れます。社内に知見が蓄積されていくことで、後々ほかのマーケティング施策にも好循環を生みます。

  • コスト削減(長期的視点):軌道に乗れば、広告費をかけずにオーガニック流入からリードを獲得できるため、長期的には顧客獲得単価を下げられます。実際、50-ish B2B Content Marketing Statisticsの調査では、SEO経由のリードは平均して14.6%が受注に至るとされ、アウトバウンド型のリード獲得よりも高い成約率を示すという調査結果があります。このように、一度仕組みを構築すれば継続的に高い投資対効果を期待できるのがSEOの魅力です。

デメリット

  • 成果が出るまで時間がかかる:初期段階では工数ばかりかかり、すぐには成果(リードや商談)が見えにくいため、社内の理解を得るのが難しい側面があります。上述の通り、検索エンジンで評価されるまでには半年〜年単位の時間が必要であり、短期で結果を求める企業文化とのギャップが生じます。

  • 属人化のリスク:担当者が退職・異動すると運用が停止したりノウハウが失われたりするリスクがあります。特定の社員に依存していると、その人物不在時にコンテンツ更新や戦略調整が滞り、せっかく築いたSEO資産が目減りしてしまう可能性があります。

  • 専門スキルの維持コスト:Googleのアルゴリズムは日々更新されており、年に数回は大規模アップデートも発生します。そのため、常に最新のSEO情報をキャッチアップし続ける学習コストがかかります。新しい検索エンジンのガイドラインやテクノロジー(例:Core Web Vitalsなど)への対応を怠ると、せっかく上げた検索順位を維持できなくなるリスクもあります。

これらを踏まえると、BtoB企業にとっての正解は「完全な内製化」にこだわることではなく、自社でコントロールすべき戦略部分と、外部リソースに頼るべき実行部分を見極めることにあります。内製と外注のハイブリッド戦略で、メリットを享受しつつデメリットを補完する発想が重要です。

失敗しないインハウスSEOの土台:「戦略設計」の重要性と手順

「とりあえずブログを書き始めよう」とするのは、BtoBマーケティングにおいて最も避けるべき行動です。2,000社以上の支援実績からも、成果の出ないプロジェクトのほとんどは戦略設計が曖昧であることが分かっています。

誰に対して、どのような情報を発信し、どうやって自社の商材への興味を喚起するのか――この設計図なしに記事を量産することは、地図を持たずに航海に出るようなものです。

BtoBグロースステップに基づく「戦略構築」の具体的な手順

戦略設計においては、闇雲に進めるのではなく、検証されたフレームワークに沿って段階的に進めることが近道です。ここでは、BtoBマーケティングのグロースステップに沿った戦略構築の手順を解説します。

1. ターゲット(ペルソナ)の特定

まず、「誰に」商品・サービスを届けたいのかを明確にします。企業規模や業種だけでなく、担当者の部署・役職・抱えている実務上の課題(ペイン)まで深く掘り下げて具体的なペルソナ像を設定します。BtoBでは購入意思決定に関与する人が複数いる場合もあるため、主要なペルソナごとに課題やニーズを洗い出すことが重要です。

2. カスタマージャーニーの作成

設定したペルソナが、課題を認知し、解決策を探し、比較検討を経て導入に至るまでの一連の行動と心理変化を可視化します。SEO戦略においては、各フェーズでユーザーが検索しそうなキーワードを洗い出し、コンテンツ計画に反映させます。例えば:

  • 認知フェーズ:「業務効率化 方法」「○○システム メリット」といった課題認知・解決策模索系のキーワード
  • 比較検討フェーズ:「○○ツール 比較」「○○ 費用 相場」といった具体的なサービス比較・検討系のキーワード

このようにペルソナの購買プロセスに沿って必要な情報と検索クエリを整理することで、見込み顧客の疑問に答えるコンテンツを網羅的に計画できます。

3. 競合調査と差別化ポイントの定義

狙いたいキーワードで検索結果上位に表示されている競合サイトのコンテンツを分析します。競合他社がどのような情報発信をしているかを把握した上で、自社が提供できる独自の価値(一次情報、顧客事例、専門家の見解など)は何かを定義します。これがGoogleが重視するE-E-A-T(Experience、Expertise、Authoritativeness、Trustworthiness:経験・専門性・権威性・信頼性)を高める鍵となります。競合記事と比較して「自社ならではの強みが伝わるか」「網羅性や深掘り度で勝っているか」をチェックし、コンテンツ差別化の方針を固めます。

こうした戦略設計を綿密に行うことで、闇雲に記事を量産する無駄を省き、より短期間で成果を出す土台ができます。例えば、BtoBマーケティングの成功事例15選で紹介されているマネーフォワード社では、BtoB向けサービス拡大のため徹底したSEO戦略を遂行しました。YMYL(Your Money Your Life)の領域でE-E-A-Tを満たすことに注力し、著者情報の明記や専門家監修による信頼性担保、さらに被リンク獲得のためのPRコンテンツ配信など社内外のリソースを総動員した結果、自社のBtoBサイトで月間PV数が1,000万を超え、リード獲得数も従来比4倍に増加する成功を収めています。このように、誰に何をどう届けるかという戦略の段階で勝負は決まると言っても過言ではありません。

経営層を納得させるKPI設定と目標設計(KGIとの連携)

SEO担当者が陥りがちな罠が、「検索順位」や「PV(ページビュー)」だけを目標にしてしまうことです。しかし経営層が本当に関心を持つのは「売上」や「受注」といったビジネス成果です。したがって、SEOのKPIも最終的なKGI(売上・受注)から逆算して設計する必要があります。

KPIツリーの設計例

  1. KGI(重要目標達成指標):受注件数・売上金額
  2. 中間KGI:商談数・商談化率(リードから商談への転換率)
  3. SEO KGI:MQL数(有効リード数)
  4. KPI(重要業績評価指標):
    • CV数(コンバージョン数):資料請求、問い合わせ、ホワイトペーパーDL数など
    • セッション数:ターゲットキーワード経由の流入数
    • 検索順位:注力キーワード(特にCV直結の商談フェーズキーワード)の順位

このように、「キーワード順位が上がることでセッションが増え、CVが増加し、結果として商談・受注につながる」という因果ロジックを社内で合意し、数字で示すことが重要です。特に経営層には、「SEO施策によって指名検索数(社名やサービス名での検索)が増加すればブランド認知向上の証拠になる」ことや、「ホワイトペーパーのDL数増加が将来の商談数に直結する」ことなど、中長期の投資対効果を丁寧に説明しましょう。なお、SEOは短期売上への即効性が低い分、蓄積効果による後半の伸びが大きい施策でもあります。Ahrefsの調査によれば、新規ページの上位ランクインには平均で数ヶ月〜年単位が必要で、上位ページの平均掲載期間は2年以上にも及ぶことを踏まえると、SEOを「費用」ではなく「将来の資産形成」と捉えてKPIを設定する意義が見えてくるはずです。

インハウスSEOを成功に導く具体的な実施手順(フェーズ別ロードマップ)

戦略が固まったら、次は実行フェーズです。リソースが限られるBtoB企業では、すべてを一度にやろうとせず、段階を区切って着実に進めることが成功への近道です。ここでは、典型的な施策ロードマップをフェーズ別に紹介します。

フェーズ1:土台構築と検証(競合調査・サイト整備)

まずはSEOの効果を最大化するための「器」であるWebサイトの土台を整えます。サイト全体がSEOに適した構造・技術要件を満たしているかをチェックし、必要な改善を行いましょう。

  • サイト構造の最適化:ユーザーと検索エンジン(クローラー)の双方が情報を探しやすい構造にします。具体的には、パンくずリストの設置、ディレクトリ構造の整理、内部リンクの適切な配置などが該当します。重要な製品ページや記事に2クリック以内で到達できるようにし、クローラーの巡回効率も高めます。また、サイトマップ(XML/HTML)の整備や不要ページのnoindex化なども検討しましょう。

  • テクニカルSEOの点検:ページの表示速度改善、モバイルフレンドリー対応、SSL化(HTTPS化)など、Googleが推奨する技術的な要件を満たしているか確認します。特にCore Web Vitals(LCPやFID、CLSといったUX指標)はランキング要因にも組み込まれており、ユーザビリティの観点からも重要です。画像圧縮やブラウザキャッシュ活用、不要なスクリプト削除などでページ読み込みの高速化に取り組みましょう。

  • 競合コンテンツの分析:狙うキーワードで上位表示されている競合記事の内容と構成を分析し、自社が勝つための指針を得ます。競合が網羅しているトピックは何か、見出し構成はどうか、専門性や信頼性をどう担保しているかをチェックします。ただし、競合記事をそのまま真似るのではなく、「競合が触れていない論点で自社ならではの見解を追加する」「より新しいデータや事例を提示する」など、上位記事を上回る付加価値を盛り込むことを意識します。

このフェーズでは、小規模にテスト的なコンテンツ投入をしてみて検索順位や流入の手応えを確認し、戦略の仮説検証を行うことも有効です。例えばまずは3〜5本程度の記事を戦略に沿って投入し、数ヶ月間サーチコンソールで順位推移を観察することで、狙ったペルソナに刺さっているかを検証できます。

フェーズ2:コンテンツ制作とリード獲得(記事作成・ホワイトペーパー)

SEOのエンジンとなるコンテンツを制作し、そこからリード(見込み顧客情報)を獲得する仕組みを作るフェーズです。検索流入を増やすだけでなく、流入したユーザーをそのまま帰さずリード化する導線を設計します。

  • 課題解決型コンテンツ(ブログ記事)の作成:カスタマージャーニーの「認知〜比較検討」フェーズに対応する記事コンテンツを継続的に作成します。ユーザーの悩み(検索意図)を的確に捉え、それを解決する内容を書くことで信頼を獲得します。社内のエンジニアや営業担当へのヒアリングから得た一次情報や、自社独自の調査データなどを織り交ぜ、競合には書けない深みのある記事を目指しましょう。専門性・権威性を示すため、執筆者のプロフィールを明示したり、有資格者のレビューを受けたりすると効果的です。

  • オファー(ホワイトペーパー)の用意とCTA設置:記事を読んだユーザーをリードに転換するための「お土産」を用意します。例えば「○○入門ガイド」「失敗しない○○チェックリスト」「業界別事例集」など、記事内容と関連性が高く、かつダウンロードする価値がある資料(ホワイトペーパー)を作成します。そして記事内やサイト内の目立つ位置にCTA(Call to Action)を配置し、ユーザーに資料請求やメール登録を促します。BtoBマーケティングでは、ホワイトペーパーやケーススタディといったコンテンツがリード獲得に非常に有効です。実際、B2B Content Marketing Statistics and Insights for 2024の調査では、BtoBマーケターの53%が「顧客事例(ケーススタディ)」、51%が「ホワイトペーパー/ebook」が最も成果につながったコンテンツだと回答しています。このように有用な資料を提供することで、「ただ記事を読んで去った匿名ユーザー」を「見込み顧客(連絡先の分かるリード)」へと転換する確率が飛躍的に高まります。

なお、このフェーズではコンテンツの量産にばかり意識が向いて質が下がってしまうことがないよう注意します。少数でも良いのでユーザーの心に刺さる良質な記事と魅力的なオファーをセットで作り、「記事閲覧 → ホワイトペーパーDL」という理想的な顧客体験パターンを確立することが大切です。

フェーズ3:MQLの最大化と営業連携(リード育成・ナーチャリング)

獲得したリードを放置せず、商談につなげるための育成施策と営業連携を行うフェーズです。マーケティング活動(インバウンド)と営業活動(アウトバウンド)をシームレスにつなぎ、最終的な受注を最大化します。

  • メールナーチャリングの実施:ホワイトペーパーをDLした見込み顧客に対し、ステップメールやニュースレターで継続的に有益な情報提供を行います。例えば週1回ペースで課題解決に役立つブログ記事や事例を紹介したり、新たな資料を案内したりします。これにより自社への信頼関係を構築しつつ、顧客の検討段階を一段階ずつ押し上げていきます。マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入すれば、ユーザーの属性や行動に応じてメール内容を出し分けることも可能です。

  • 営業(インサイドセールス)へのトスアップ:ナーチャリングにより温度感が高まったリード(MQL:Marketing Qualified Lead)は、適切なタイミングで営業部門に引き渡します。具体的には、「特定のコンテンツ(例:料金ページや導入事例ページ)を閲覧した」「メール内のリンクを何度もクリックした」といったシグナルをMAで検知し、購買意欲が高そうなリード情報をインサイドセールスやフィールドセールスに共有します。営業担当はその情報を元にアプローチをかけ、商談創出(SQL:Sales Qualified Lead)につなげます。ここでマーケと営業のKPIを連動させておくと、スムーズな連携が図れます。

  • 営業からのフィードバック連携:送客したリードの質はどうだったか、どのような課題を持っていたかを営業からフィードバックしてもらい、SEOのキーワード選定やコンテンツ内容の改善に活かします。例えば「○○という記事経由のリードは予算感が合わないケースが多い」というフィードバックがあれば、その記事のターゲット設定を見直すなどのPDCAを回します。マーケティングと営業が双方向に情報共有し合うことで、より受注に直結するリード獲得へとブラッシュアップされていきます。

なお、リードナーチャリングの効果は数値でも現れます。ナーチャリングとは?意味・施策などについて、成功事例を交えてわかりやすく解説!によると、ナーチャリングに取り組む企業は取り組まない企業に比べて50%以上多くの商談を創出し、しかもコストを30%以上削減できたという報告があります。このように、リード育成を体系立てて行うことは最終的な営業効率の大幅改善につながるため、インハウスSEOの文脈でもフェーズ3まで含めて設計することが重要です。

BtoB企業が直面する「リソース不足」を解消する体制構築の選択肢

「何をすべきかは分かったが、それを実行する人手がいない」。これがおそらく多くの中堅BtoB企業にとって最大の壁でしょう。最後に、現実的な体制構築の選択肢について考えてみます。

内製化に不可欠なSEO人材のスキルマップと育成戦略

社内メンバーでチームを組む場合、最低限以下の3つのスキルセットが必要です。1人で全てを担うのが難しい場合は、役割分担を明確にしましょう。

1. ストラテジスト(戦略設計・分析)

  • 役割:キーワード選定、KPI管理、サイト分析、競合調査などSEO全体の戦略立案と効果検証
  • 必要スキル:マーケティング全体像の理解、論理的思考力、Google AnalyticsやSearch Consoleなど分析ツールの活用能力
  • 育成ポイント:ビジネス視点を持ちつつデータで語れる人材。まずはKPIツリーの設計や簡易な競合調査から始め、徐々に高度な分析手法を習得させる。

2. エディター(編集・品質管理)

  • 役割:記事の構成案作成、ライター(社内外)のディレクション、記事の校正・リライト
  • 必要スキル:日本語文章力、SEOライティングの知識、ユーザー視点でコンテンツを評価できる力
  • 育成ポイント:既存コンテンツの改善から着手し、「読者にとって本当に分かりやすいか?」を考えさせる。自社トンマナに沿ったスタイルガイド作成なども経験させ、編集長的な視点を養う。

3. ライター(執筆)

  • 役割:原稿の執筆(社内の有識者や外部ライターの場合も)
  • 必要スキル:文章力、情報収集力、自社商材や業界への理解
  • 育成ポイント:ライティング研修や優れた記事の読解を通じて文章の型を身につけさせる。他部署の知見を記事化する社内取材の機会を与え、自社ビジネスへの理解も深めてもらう。

特に中堅企業では1人のマーケ担当が上記すべての役割を兼ねる場合もありますが、その場合でも最初に「エディター」のスキルを重点育成することを推奨します。記事執筆そのものは外部ライターに依頼できても、記事の品質を担保し戦略に沿っているか判断する編集能力は社内に残しておくべきだからです。編集者的な視点を持った担当者がいれば、アウトソースした記事の取捨選択やリライトが的確に行え、内製戦略と外部リソースをうまく融合できます。

制作・運用リソースを外部のプロに委託する「伴走型支援」の考え方

社内のリソース調整が難しい、あるいはスピード感を持って成果を出したい場合は、外部の専門家を活用するのが合理的です。特に戦略部分は社内で握りつつ、手を動かす部分はプロに任せるというハイブリッド体制が有効です。

  • コンテンツ制作代行:戦略と記事の構成(アウトライン)までは社内で作成し、実際の執筆をプロのライターや編集プロダクションに委託します。自社の専門知識を盛り込んだ詳細な構成を用意すれば、外部ライターであっても質を担保しやすくなります。

  • SEOコンサルティング:自社内にノウハウがない場合、SEO専門のコンサルタントに戦略設計や定期的なサイト改善アドバイスを依頼します。キーワード戦略の策定、競合診断、社内勉強会の実施などを通じて、社内チームのレベルアップも図れます。

  • 伴走型支援(BPO:Business Process Outsourcing):戦略設計からコンテンツ制作、効果測定・改善提案まで、一気通貫でサポートしてくれる外部パートナーを活用します。単なる外注ではなく、あたかも自社のマーケティングチームの一員のような立ち位置で並走してもらうイメージです。BtoB企業においては、記事単体の納品よりも、このような伴走型支援によって社内にノウハウを移管しながらプロジェクトを進める方が、将来的な自走化への近道となります。

現状、To Outsource Content Creation or Not? Pros And Cons Explainedの調査によれば、BtoBマーケターの84%が何らかの形でコンテンツ制作を外部委託しているというデータもあるように、リソース不足を外部で補うのは一般的な戦略です。それらは「内製を補完する」あるいは「戦略から実行まで完全代行」といった形で柔軟に関わり、自前でチームを一から構築するよりもコスト効率が高く、必要に応じてピボットもしやすいとされています。

例えば、BtoBマーケティングの成功事例15選で紹介されているAdobe株式会社では、マーケティング手法の見直しを迫られた際に外部のSEOコンサルタントの力を借りてサイト改善とコンテンツ強化を行い、わずか数ヶ月でリード獲得数150%増・商談数130%増という成果を上げました。このように、外部のプロの知見を取り入れることで短期間で結果を出したケースもあります。

伴走型支援パートナーを選ぶ際は、「BtoBマーケティングにおける実績」「単なる作業代行ではなく戦略立案から寄り添ってくれるか」「社内へのノウハウ移転に積極的か」といった観点で見極めるとよいでしょう。パートナーを上手に活用しつつ社内メンバーの成長も促せれば、一定期間後には自社で回せる部分が増え、外部への依存度を下げることも可能です。

インハウスSEOで成果を出し続けるための継続的なPDCA

SEOは記事を公開して終わりではありません。公開後の順位変動やユーザー行動を分析し、常に改善策を講じ続けることで初めて継続的な成果が得られます。最後に、インハウスSEOを社内で持続・発展させるためのポイントを紹介します。

データ連携と効果測定の徹底

「記事が何PV獲得したか」だけで満足せず、「誰が見たか」「見た人がその後どう行動したか」まで追跡するために、マーケティングオートメーション(MA)や営業支援システム(SFA/CRM)とのデータ連携を強化します。

  • MAツールでの行動分析:例えば、ホワイトペーパーをダウンロードしたリードが、その後どのページを訪れ何に興味を示しているかをMAでスコアリングします。特定の記事(例:導入事例ページや価格ページ)がコンバージョンをアシストしていると分かれば、その記事への内部導線を増やす施策を講じます。さらに、MA上でリードの属性(業種、規模など)とコンテンツ接触状況を突き合わせれば、「どのセグメントの顧客に、どのコンテンツが刺さりやすいか」も見えてきます。

  • SFA/CRMでの受注分析:営業経由で受注に至った顧客が過去にどんなコンテンツに触れていたかを分析します。Web経由で獲得したリードの受注率や平均顧客生涯価値をトラッキングし、SEO経由リードの質を定量化します。もしも特定のキーワード群から来たリードが高受注率であれば、そのキーワードを含む記事をさらに拡充するといった戦略調整が可能です。

  • コンテンツの成果を可視化する指標設定:コンテンツ別のコンバージョン率や、コンバージョンに至ったユーザーの行動経路(例えば最初に訪れた記事 → 閲覧したページ群 → 最終コンバージョンページ)を定期的にレポート化します。経営層に対しても、SEOコンテンツがどの程度リードや商談創出に寄与したかを示すことで、継続投資の説得材料とします。近年では、50-ish B2B Content Marketing Statisticsの調査によると、約58%の企業がコンテンツ施策の効果測定にマーケティングアトリビューション(貢献分析)の仕組みを導入しているとの調査もあります。GoogleアナリティクスやCRMだけでなく、より高度なBIツールやアトリビューション分析手法も視野に入れ、SEOを含むデジタル施策全体の投資対効果をモニタリングしましょう。

施策の属人化を防ぎ、ノウハウを体系化する仕組み

最後に、インハウスSEOを企業の「組織的な強み」に昇華させるために、ノウハウの属人化を防ぎつつ社内に知見を蓄積する仕組みづくりが必要です。

  • ドキュメント整備(マニュアル化):記事の企画方法、執筆フロー、校正チェックリスト、トーン&マナーガイドライン、キーワード選定手順、ツールの使い方(例:サーチコンソールの定点観測項目)などを社内Wiki等にまとめます。属人的になりがちな作業も文書化することで、新任担当者でも過去の知見を再現・踏襲できるようにします。

  • 定例ミーティングとナレッジ共有:月次または週次でSEOチーム(兼務の場合は関係者)による定例会を実施し、最新の数値共有と改善施策のディスカッションを行います。「先月比でオーガニック流入が○%増えたが、その要因は何か?」「コンバージョン率が低下したページはどこか?原因は?」といった仮説検証のプロセスをチーム全員で共有することで、メンバーのスキル底上げと属人化防止につなげます。

  • 外部パートナーからの知見吸収:もし外部の伴走支援を受けている場合、単に作業を任せるだけでなく、定期的にそのパートナーから市場動向や最新ノウハウを学ぶ場を設けましょう。例えば「最新のGoogleアップデート解説」「競合分析の読み解き方」など、小テーマで勉強会を開催してもらい、社内メンバーが常に知見をアップデートできるようにします。外部のプロを「教師役」として活用し、契約期間終了後も社内にナレッジが残る状態を目指します。

こうしたPDCAとナレッジマネジメントを回し続けることで、インハウスSEOの取り組みは社内文化として根付き、多少の人事異動があっても成果を出し続けられる強固な体制が築けるでしょう。

【まとめ】インハウスSEOで成果を出すために、BtoB企業が押さえるべきポイント

BtoB企業がインハウスSEOで成果を出すためには、以下のポイントが改めて重要です。

  1. 戦略ファースト:ターゲット選定とカスタマージャーニー設計なくして漫然と記事を書かない。闇雲な努力よりも、正しい戦略に裏付けされた努力が成果につながります。

  2. 段階的な実行:サイト基盤の整備 → コンテンツ投入とリード獲得 → リード育成と営業連携、というステップを踏んで着実に進める。焦って抜け道を探さず王道を積み上げることで、着実に成果が積み重なります。

  3. リソースの最適配分:コア業務(戦略設計・編集判断)は社内に残しつつ、実行部分(執筆・外部発信作業など)はプロに委ねる柔軟さを持つ。

  4. 経営目線の指標管理:PVや順位だけでなく、最終的な商談・受注への貢献を常に意識し、成果を見える化する。50-ish B2B Content Marketing Statisticsの調査では、BtoBマーケターの76%が「コンテンツマーケティングはリード創出に効果がある」と証言しているように、SEOも適切に取り組めばしっかり事業成長に資する施策です。この点を社内で共有し、SEOをコストではなく将来の利益への投資と捉えてもらう。

しかし、これら全てを社内の限られたリソースだけで完遂するのは容易ではありません。特に「正しい戦略設計」と「継続的な実行体制の維持」は、多くの企業がつまずくポイントです。だからこそ、単なる外注先ではなく、戦略策定から実務実行までを共に担ってくれるパートナーの存在が成功率を大きく高めます。

ferretソリューションでは、2,000社以上のBtoBマーケティング支援実績に基づき、貴社の課題に合わせたSEO戦略の設計からコンテンツ制作、体制構築までをワンストップで支援しています。単なる代行ではなく、貴社のマーケティングチームの一員のような立ち位置で、リソース不足を補完しながら成果創出に伴走することが可能です。

「何から始めればいいか相談したい」「社内リソースの不足を補いながらSEOを強化したい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。インハウスSEO成功の最短ルートは、信頼できる戦略パートナーと二人三脚で歩むことです。

あわせて読みたい:BtoB企業のSEO対策は「戦略」が9割!リード獲得からMQL創出まで成果に直結する設計とは

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菊池 貴行(きくち たかゆき)
菊池 貴行(きくち たかゆき)
金融機関、メディア運営会社を経て2018年より株式会社ベーシックへ入社。 ferret Oneカスタマーサクセス部にて、オンボーディングチーム立ち上げメンバーとして活躍し、顧客の「BtoBマーケティング」の立ち上げ支援を行い、 担当社数は累計120社以上。 製造業・ITサービス・コンサルティングサービスなど、有形から無形の幅広い業界の企業に対して、各社の事業理解から組織状態など踏まえた顧客に 寄り添った戦略設計や施策の設計などマーケティング支援を行う。 現在はマーケティング部にてセミナーの企画から講師を担当し、これまでに支援してきた豊富な経験をもとにした、実務に使えるセミナー内容に定評がある。

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