BtoB広告代理店の正しい選び方|中堅企業のための戦略設計型パートナー選びとROI試算の考え方
「広告代理店に運用を任せているのに、一向に商談や受注に繋がらない」 「毎月、広告レポートでCPA(顧客獲得単価)が良いことだけは分かるが、それが事業の売上にどう貢献しているかが説明できない」
中堅BtoB企業において、このような課題に直面しているBtoBマーケティング担当者の方は少なくありません。施策の実行体制はあっても、その「戦略の設計」が曖昧なために、広告運用が目的化してしまっているのです。
本記事では、2,000社以上のBtoB企業を支援してきた実績を持つマーケティングの専門家として、この負のスパイラルから抜け出すための根本的な解決策を提示します。
代理店選びで最も重要視すべきは、目先の運用スキルではなく、貴社の事業成長にコミットできる「戦略設計力」です。本記事を最後まで読むことで、貴社に最適なBtoB広告代理店を選定するための5つの基準と、経営層を納得させるためのROI試算の論理を習得し、施策を事業成果に直結させるロードマップを描けるようになります。
本記事の要点
- BtoB広告の成果は「運用ノウハウ」ではなく、「戦略設計」の質で決まります。リード獲得数を追うのではなく、商談・受注数への貢献をゴールにしましょう。
- 成果の出ない最大の原因は、事業KPIと広告効果の「断絶」です。代理店選びでは、営業部門のKPIまで踏み込んで設計できる戦略設計力を持つパートナーを選びます。
- 短期的なCPAだけでなく、商談単価(CPL)や受注単価(CPO)に基づいたROI試算を行い、経営層への論理的な説明責任を果たしましょう。
- 中堅企業のリソース・ノウハウ不足を解消するためには、内製化を見据えた「伴走型支援」や、コンテンツ制作などの「実行リソース」を柔軟に提供できるパートナーを選定することが重要です。
目次[非表示]
- 1.本記事の要点
- 2.BtoB広告で成果が出ない中堅企業が抱える3つの課題
- 2.1.課題1: 施策実行が目的化し、事業KPIと広告効果が結びついていない
- 2.2.課題2: リソース・ノウハウ不足によりPDCAサイクルが回らない
- 2.3.課題3: 代理店への丸投げで、社内にマーケティング資産が蓄積されない
- 3.代理店選びの成否を分ける「戦略設計」を最重要視すべき理由
- 4.商談・受注ベースで評価するBtoB広告代理店の選定基準5つ
- 4.1.基準1: ターゲット企業規模(中堅・中小)と業界に特化した実績
- 4.2.基準2: 営業活動と連動したKPI設計(MQL・商談数・受注率)の経験
- 4.3.基準3: 既存ツールとのデータ連携と運用改善提案力
- 4.4.基準4: 成果に応じた柔軟な体制・支援オプション(制作代行/人材常駐)の有無
- 4.5.基準5: 継続的なノウハウ蓄積と自社マーケ組織の育成支援への姿勢
- 5.中堅企業が陥りがちな代理店選びの「3つの罠」と回避策
- 5.1.罠1: ランキングや広告媒体の得意・不得意のみで選定する
- 5.2.罠2: 低運用フィーを鵜呑みにし、戦略設計コストを軽視する
- 5.3.罠3: 業界特性やデジタル活用度の違いに応じたアプローチができていない
- 5.3.1.アプローチ例
- 6.BtoB広告代理店との「伴走型グロース」を実現する導入ステップ
- 7.BtoB広告代理店に関するよくある質問(FAQ)
- 8.まとめ
BtoB広告で成果が出ない中堅企業が抱える3つの課題
多くのBtoBマーケティング担当者は、日々、目標達成とリソース不足のプレッシャーに直面しています。特に中堅企業の場合、限られた予算と人員の中で「成果」を出すことが至上命令です。成果が出ない現状には、共通する構造的な問題点が存在します。
- 広告運用が「リード獲得」で止まり、事業のKGI(最終目標)である「受注」と結びついていない
- リソース不足により、戦略の見直しやコンテンツ制作といった「打つべき手」が打てていない
- 代理店への「丸投げ」により、施策を回す知見やノウハウが社内に蓄積されない
課題1: 施策実行が目的化し、事業KPIと広告効果が結びついていない
広告運用におけるKPIが「リード獲得数(CV数)」や「CPA(顧客獲得単価)」に留まっていませんか?これらの指標は、マーケティング活動の入り口を示す指標ではありますが、事業の最終成果である商談や受注に直結する「事業KPI」ではありません。
BtoBマーケティングにおいて、真に追うべきKPIは、MQL(マーケティングによる質の高いリード)の件数、商談化率、受注数といった、営業部門と連携した指標です。戦略設計が甘いと、「とにかくCPAを下げる」という施策の目的化に陥り、獲得したリードの質が低く、結果として営業部門から「使えないリードだ」というフィードバックを受け、部門間の断絶を生んでしまいます。
BtoBマーケティングの理想形では、商談・受注という最終ゴールから逆算して、各施策の目標設定を行うことが不可欠です。この認識のズレが、広告投資の「事業貢献度」を曖昧にし、担当者の責任感と裏腹に成果が出ない最大の原因となります。
課題2: リソース・ノウハウ不足によりPDCAサイクルが回らない
中堅企業のマーケティング部門は、多くの場合、担当者が3〜5名程度と少数精鋭です。この限られたリソースで、Webサイトの運用、SEO、メールマガジン、そしてWeb広告の管理といった「実行タスク」をすべて担うのは現実的ではありません。
特に課題となるのは、「戦略的なタスク」に時間を割けないことです。例えば、「ペルソナやカスタマージャーニーの見直し」「効果測定に必要なデータの整備」「ターゲットに響くホワイトペーパーや事例コンテンツの制作」など、成果を向上させるための重要なタスクに手が回らず、結果として「日々の広告入札調整」のようなオペレーション業務に終始してしまいます。
本来、広告運用はPDCAサイクルを回して精度を上げていくものですが、戦略の再構築やコンテンツ制作に手が回らないというリソース配分の構造的な課題が、PDCAの停滞を引き起こしています。
課題3: 代理店への丸投げで、社内にマーケティング資産が蓄積されない
過去に代理店に運用を任せていた経験がある企業様から、「費用はかかったが、運用ノウハウが一切残っていない」という声をよく聞きます。これは、代理店に「運用代行」のみを依頼し、「ノウハウの内製化支援」を求めていなかったことが原因です。
代理店の担当者が退職したり、契約が終了したりすれば、それまでに最適化された運用手法はブラックボックス化し、ゼロからの再スタートとなります。費用を払っているのに、いつまで経っても外部に依存せざるを得ず、自社の競争優位性を高めることができません。
本来、Web広告運用は、市場データや顧客の反応という貴重な資産を得るための活動です。真のパートナーシップとは、施策の実行を通じて、自社のマーケティング組織を育成してくれる関係性を指します。ノウハウを「消費」するのではなく、「蓄積」できる体制づくりを意識しましょう。
代理店選びの成否を分ける「戦略設計」を最重要視すべき理由
「どの代理店が良いか」を考えるとき、リスティング広告のキーワード選定の細かさや、バナー制作のデザインセンスに目が行きがちです。しかし、BtoB事業の成長という視点から見ると、「戦略設計」の質こそが、その後の運用成果の9割を決めると言っても過言ではありません。BtoBは商材の検討期間が長く、関わる人物も多岐にわたるため、土台となる戦略がなければ、どんなに優秀な運用担当者でも成果を出すのは困難です。
では、成果につながる戦略設計のポイントを3つに整理します。
- Web広告の効果を最大化するために、事業の「3つの戦略基盤」を再構築する必要がある
- 目先のCPA改善だけを追う「短期CPA至上主義」の罠から脱却する
- 体系化されたBtoBノウハウを持つパートナーに戦略設計を依頼することで、失敗確率を大幅に下げられる
BtoB事業を成功に導く「3つの戦略基盤」の再構築
まず、成果の出ない広告運用を改善するためには、以下の3つの戦略基盤を代理店とともに再構築する必要があります。これらはBtoBマーケティングの土台として機能し、広告クリエイティブやターゲティングの根拠となります。
- ペルソナの深掘り: 決裁者、情報収集担当者など、購買に関わる複数の人物像を明確にし、それぞれの抱える課題や検索行動を定義します。ターゲットインサイトに基づき、広告メッセージを設計します。
- カスタマージャーニーマップの策定: 認知〜検討〜比較〜受注に至るまでのプロセスで、どのタイミングで、**どんな情報(コンテンツ)**を、どの広告媒体で接触させるか、一連の流れを設計します。これがなければ、予算配分が最適化されません。
- 営業戦略との連携: 広告で獲得したリードを、いつ、誰が、どのようにフォローするかという営業戦略(インサイドセールス・フィールドセールス)までを、マーケティング側で把握し、KPIを連携させます。
この戦略基盤が固まっていれば、運用担当者が変わっても、ブレずに成果を出し続けることが可能です。
短期CPA至上主義の罠:戦略の甘さがもたらす失敗パターン
「とにかくCPAが安い代理店を選びたい」という考えは、BtoB広告においては失敗の入り口になりがちです。CPAが安いリードが、結果的に「情報収集目的」や「個人事業主」など、受注確度の低い層ばかりだった場合、マーケティング部門はリード獲得数を達成できても、事業貢献度はゼロに近くなります。これが短期CPA至上主義の罠です。
戦略が甘いと、以下のような失敗パターンに陥ります。
失敗パターン | 具体的な現象 | 戦略的な問題点 |
|---|---|---|
訴求のミスマッチ | 広告文やLPが技術的な特徴ばかりで、ターゲットの経営課題に響かない。 | ペルソナ(特に決裁者)のインサイトの理解不足 |
リソースの浪費 | 獲得したリードが低品質で、インサイドセールスのフォロー工数が無駄になる。 | MQL定義や営業との連携が不明確 |
予算の偏り | 媒体側の提案に流され、事業フェーズに合わない媒体に予算を集中してしまう。 | カスタマージャーニーと集客チャネルの設計不足 |
BtoBマーケティングにおいては、CPAが高くても、受注単価(CPO)が低いリードを獲得することが、事業成長における正解です。そのためには、初期段階でCPOを意識した戦略設計が必須となります。
体系化されたノウハウを導入することで失敗確率を下げる
BtoB広告で成果を出すには、BtoCとは異なる専門的なノウハウが求められます。特に中堅企業が抱える「ノウハウ不足」の課題を解決するためには、代理店の「属人的なスキル」に頼るのではなく、再現性のある「体系化されたノウハウ」を導入することが近道です。
実績豊富なパートナーが持つ体系化されたノウハウとは、つまり「成功と失敗のパターンデータ」です。これを戦略設計の段階で適用することで、貴社がこれから直面するであろう失敗の可能性を事前に回避できます。戦略設計に必要なのは、最新のWeb広告の機能を知っていることではなく、「どういう戦略で、どのKPIを追えば、事業成果に繋がるか」を知っていることです。
商談・受注ベースで評価するBtoB広告代理店の選定基準5つ
ここからは、貴社が広告代理店を評価・選定する際に、「商談・受注ベースでの貢献度」を客観的に見極めるための具体的な5つの基準を解説します。単なる運用フィーの安さや、媒体認定パートナーであるかといった表面的な情報ではなく、事業成長に資するかという本質的な視点で評価しましょう。
要点
- 「ターゲット企業規模と業界に特化した実績」を持つ代理店を選び、中堅企業の特性を理解させる
- 広告効果を「MQL・商談数・受注率」まで追跡し、改善にコミットできるかを確認する
- 既存のツールとのデータ連携を前提とした運用設計が可能か見極める
基準1: ターゲット企業規模(中堅・中小)と業界に特化した実績
BtoBマーケティングは、ターゲットとする企業の規模や業界によって、取るべき戦略が大きく異なります。従業員100〜500名規模の中堅・中小企業をターゲットとする場合、大手企業を狙うマーケティングとは異なるアプローチが必要です。
例えば、決裁者の役職が多岐にわたる、などの中堅企業特有の事情を理解し、その規模感に合った最適なリードの質と量を追求できるかが重要です。また、例えば違う業界のITソリューション系と製造業とでは、リード獲得に必要なコンテンツの深さや、刺さる訴求が全く異なります。
代理店の実績を確認する際は、「〇〇社導入」といった数だけでなく、「貴社と同じくらいの企業規模をターゲットとする案件」や、「貴社と同じ業界での具体的な成果」を質問するようにしましょう。
基準2: 営業活動と連動したKPI設計(MQL・商談数・受注率)の経験
良い代理店は、マーケティング部門のCV数やCPAといった指標だけで運用を完結させません。彼らは、広告で獲得したリードが、最終的にどれくらいの確率で商談化し、受注に繋がっているかという、営業部門のKPI(商談化率・受注率)にまで踏み込んで責任を持ちます。
代理店との最初の打ち合わせで、以下の点を確認してみましょう。
- MQLの定義: 貴社独自の「MQL(質の高いリード)」の定義を、営業と連携して設計する経験があるか。
- 連携KPI: 広告運用目標を、「月間商談数〇〇件」「商談単価(CPL)〇〇円以下」といった、商談ベースのKPIで設定できるか。
- レポート内容: 月次レポートに、広告媒体の指標だけでなく、商談化率や受注率など、ツールから連携した指標が含まれているか。
これにより、代理店が事業全体を見通した提案ができるかどうかを見極められます。単に媒体の運用スキルが高いだけでなく、事業視点を持っているかどうかが重要です。
基準3: 既存ツールとのデータ連携と運用改善提案力
既にSFA(Sales Force Automation)やMA(Marketing Automation)を導入している企業は、そのデータを広告運用に活かしきれていないという課題を抱えています。しかし、これらのツールに蓄積された「過去の失注リードの傾向」「受注に至った顧客の共通点」といったデータこそが、広告ターゲティングの精度を飛躍的に向上させる宝の山です。
代理店に求められるのは、単にツールの運用知識があることではありません。広告運用データとツールデータを連携させ、広告施策へのフィードバックループを設計する力です。具体的には、「過去に資料請求はしたが商談に至らなかった企業リスト」を広告配信の除外リストにしたり、特定コンテンツを閲覧したリードに合わせたナーチャリング広告(リターゲティング)を提案できるか、といった部分が重要となります。既存投資を最大限に活用できるかが、パートナー選定の重要な鍵となります。
基準4: 成果に応じた柔軟な体制・支援オプション(制作代行/人材常駐)の有無
中堅企業にとって、リソース不足は恒常的な課題です。広告代理店を選ぶ際、運用代行だけでなく、「実行リソースの穴埋め」を柔軟に担ってくれる体制を持っているかどうかも重要な選定基準となります。
特にBtoB広告の成果を上げるためには、広告の受け皿となる「コンテンツ」の質と量が必須です。ホワイトペーパー、導入事例、LP(ランディングページ)といったコンテンツ制作までを、広告運用と一気通貫で依頼できる体制があれば、施策間の連携がスムーズになり、成果を最大化できます。また、内製化を進めるフェーズでは、プロ人材を貴社に常駐させるなど、段階的なリソース切り替えに対応できるかも重要です。
リソース不足に悩む中堅企業にとって、コンテンツ制作支援やBtoBマーケティングのプロ人材による伴走支援、または常駐オプションなど、フェーズや課題に応じて柔軟に体制を変えられるパートナーの存在は重要です。
基準5: 継続的なノウハウ蓄積と自社マーケ組織の育成支援への姿勢
「代理店の成功体験」で終わらせず、「自社のマーケティング資産」として蓄積することを目標にしましょう。これを実現できる代理店は、単なる「下請け」ではなく、「育成パートナー」としての役割を果たしてくれます。
具体的に、以下の項目が支援内容に含まれているかを確認してください。
- 内製化ロードマップの提示: 契約開始時に、最終的に自社でどこまで運用を担えるようになるか、具体的なスケジュールとマイルストーン(目標地点)を提示してくれるか。
- レポーティングとレクチャー: 運用結果の報告だけでなく、「なぜこの結果になったのか」「次に何をすべきか」という戦略的な視点を含めた週次のレクチャーが含まれているか。
- ドキュメント化支援: 施策のプロセスや、自社で活用すべきデータ分析手法などを、標準的な業務フローとしてドキュメントに残す支援をしてくれるか。
ノウハウを隠さない姿勢を持つ代理店こそが、貴社の長期的な事業成長に不可欠なパートナーです。
中堅企業が陥りがちな代理店選びの「3つの罠」と回避策
「失敗しない代理店選び」を実現するためには、良い代理店を見つける基準だけでなく、「避けるべき罠」を知っておくことも重要です。特に中堅企業のリソース不足やノウハウ不足を突くような、本質的ではない提案を見抜く力を養いましょう。
要点
- ランキングや媒体選定能力だけでなく、戦略設計力で評価すべき
- 低運用フィーの裏に潜む「機会損失」のコストを認識すべき
- ターゲットとする業界・業種の特性に合わせた柔軟なアプローチを重視すべき
罠1: ランキングや広告媒体の得意・不得意のみで選定する
Web広告代理店の比較サイトや、媒体の認定パートナーランキングを見て選ぶ企業は多いですが、これだけで選定するのは非常に危険です。特定の媒体(Google広告やFacebook広告など)の運用に特化していても、貴社の事業全体を理解した戦略設計力がなければ、その運用スキルは宝の持ち腐れになります。
例えば、ある代理店が「当社はGoogle広告の運用実績No.1です」と主張しても、そもそも貴社のペルソナがGoogle検索で情報収集しない層であれば、どれだけ技術が高くても成果には繋がりません。
重要なのは、「どの媒体で、誰に、何を伝えるか」という戦略を貴社と二人三脚で考えられる代理店です。運用スキルは、戦略設計の結果として発揮されるものです。媒体の得意・不得意は二の次とし、戦略設計のプロセスを重視して選定しましょう。
罠2: 低運用フィーを鵜呑みにし、戦略設計コストを軽視する
「運用フィーが予算の20%以下」といった安さだけを代理店選定の基準にすると、かえって事業全体の機会損失を招くことになります。低フィーの代理店は、リソース不足により、戦略設計やコンテンツ企画といった「非オペレーション業務」に時間を割けないケースが多いからです。
運用フィーを抑えること自体はコスト削減になりますが、その結果、成果に直結しない広告に予算を使い続け、数ヶ月後に成果が出ずに代理店を再選定する時間と機会損失の方が、遥かに大きなコストになります。
戦略設計の初期費用を「ムダな出費」と捉えるのではなく、「広告の精度を高めるための先行投資」として捉える経営視点を持つことが、中堅企業には不可欠です。初期の戦略設計にしっかりとコストを投じ、その後の運用で高いROIを目指す方が、結果的にトータルコストは抑えられます。
罠3: 業界特性やデジタル活用度の違いに応じたアプローチができていない
BtoB商材のターゲットは、業界や業種によってデジタル施策への関心度や情報ニーズが大きく異なります。
たとえば、SaaSなどのITソリューション企業の担当者は、最新のツールやデジタルマーケティングに詳しく、専門的な情報を求める傾向があります。
一方で、製造業や老舗企業の担当者は、現場の業務改善や導入後の効果といった、より実践的で分かりやすい情報を重視するケースが多いです。
良い代理店は、こうした業界ごとの情報感度や課題意識の違いを踏まえ、広告クリエイティブの表現や提案内容、コミュニケーションのトーンを柔軟に変えることができます。
アプローチ例
IT・デジタル志向の企業向け:
専門用語も適度に使いながら、機能や技術的な優位性を比較できるコンテンツが有効。製造業・現場志向の企業向け:
専門的な説明よりも、業務課題の解決や導入効果に焦点を当てた事例・解説コンテンツが効果的。
貴社のターゲット業界や業種に特有の「前提知識」や「意思決定のプロセス」を理解し、
それに合わせてアプローチを最適化できるかどうかが、代理店の専門性と経験値を測る重要なポイントになります。
BtoB広告代理店との「伴走型グロース」を実現する導入ステップ
広告代理店との協業は、単なる「外注」ではなく、貴社事業の成長を共に目指す「パートナーシップ」です。戦略設計から実行、そして最終的な内製化支援までを見据えた「伴走型グロース」を実現するための具体的な導入ステップを解説します。
要点
- 戦略設計を起点に、内製化を目指す長期ロードマップを設定すべき
- コンテンツ制作の品質管理を徹底するためのチェックリストを活用すべき
戦略設計から実行・内製化支援までのロードマップ(3か年計画)
BtoBマーケティングは短期的な成果が出にくいからこそ、長期的な視点でのロードマップが不可欠です。代理店との契約前に、このロードマップの作成を依頼し、双方のコミットメントを明確にしておきましょう。
フェーズ | マイルストーン(状態GOAL) | 貴社(担当者)の役割 | 代理店(パートナー)の役割 |
|---|---|---|---|
Phase 1: 土台作り(1年目) | 事業貢献KPIが営業と連携し、施策検証体制が構築される | 戦略設計へのインプット、営業部門との連携 | ペルソナ/ジャーニー設計、広告アカウント構築、戦略に基づいた初期コンテンツ制作 |
Phase 2: 成果拡大(2年目) | リード獲得の勝ちパターンが見つかり、MQLが安定的に増加する | 施策検証へのフィードバック、コンテンツのテーマ選定 | 勝ちパターンへの集中投資、データ連携強化、コンテンツ制作の高速化 |
Phase 3: 内製化(3年目〜) | 広告運用の一部ノウハウが社内に蓄積され、代理店費用の削減(予算シフト)が可能になる | 運用・分析業務の一部引継ぎ、内製チームの育成 | 内製化支援のレクチャー強化、高度な戦略設計と改善提案への注力 |
このロードマップを共有することで、「いつになったら内製化できるのか」「いつまで費用がかかるのか」という経営層の疑問に対し、明確な回答を示すことができます。
実行リソース不足を解消する「コンテンツ制作」依頼のチェックリスト
広告運用を最適化しても、リードを育成するためのホワイトペーパーや、商談を後押しする導入事例といったコンテンツが不足していれば、商談化率は向上しません。リソース不足を理由にコンテンツ制作を代理店に依頼する際は、以下のチェックリストを参考に、品質と納期を確保しましょう。
- 顧客インサイトの反映: 広告の獲得データや営業ヒアリングに基づき、「顧客が本当に知りたい情報」をコンテンツ企画に落とし込めているか。
- 制作体制: 記事やLP、ホワイトペーパーといった多様なコンテンツを、一気通貫した世界観で制作できる体制か。
- 納期の厳守: コンテンツの納期が、広告運用やセミナー開催といった他の施策のスケジュールと連携できているか。
- 事例収集支援: 導入事例の制作において、お客様への取材や掲載許可取得といった面倒な業務をサポートしてくれるか。
コンテンツ制作は、単なる制作代行ではなく、「広告効果の最大化」のために不可欠な要素です。
BtoB広告代理店に関するよくある質問(FAQ)
Q. 既存ツールを活用しながら支援してもらえるか?
A. 既存ツールの活用は可能ですし、むしろ必須です。
BtoB広告の運用において、既存のMA(Marketing Automation)やSFA(Sales Force Automation)を最大限に活用することは、成果を出すための絶対条件です。
これらのツールに蓄積された以下のデータは、広告運用の質を高めるために不可欠な情報です。
- 受注・失注の傾向: どの属性のリードが受注しやすいか
- コンテンツ接触履歴: どのコンテンツを見たリードが商談に至りやすいか
これらのデータと広告データを連携させ、「商談確度の高いターゲットのみに予算を集中させる」といったデータドリブンな運用こそが、BtoB広告の勝ち筋です。代理店が「新しいツール導入」を強いるのではなく、既存環境を活かしきる提案ができるかどうかを重視してください。
Q. 契約後に期待通りの成果が出ない場合、見直しをどう進めるべきか?
A. 事前のKPI設定と検証ポイントに基づき、段階的に見直しを進めます。
契約時に、広告運用のフェーズごとに「検証ポイント」と「見直しの基準」を明確に定めておくことが重要です。
もし期待通りの成果が出ない場合は、まず代理店と協力し、問題の発生源が「戦略」にあるのか、「運用(実行)」にあるのかを切り分けます。
- リードの質が悪い: 戦略(ペルソナ、ターゲット)の設計見直し
- リード数が足りない: 媒体選定やコンテンツ(LP、WP)の改善
- 商談に繋がらない: MQL定義の見直し、営業部門へのトスアップ設計改善
この切り分けを論理的に行うことで、感情論に流されず、次の一手を明確にできます。
まとめ
BtoBマーケティングにおける広告運用の成否は、「誰に、何を、どう伝えるか」という戦略設計にかかっています。短絡的なCPAの改善を追うのではなく、商談・受注という事業の最終成果にコミットできるパートナーを選び抜くことが、中堅企業の限られたリソースと予算を最大限に活かす唯一の道です。
成果が出ない現状は、戦略の土台が揺らいでいるサインかもしれません。本記事で提示した「戦略設計重視の選定基準5つ」や、「経営層を納得させるROI試算のロジック」を活用し、事業成長の道筋を明確に描けるパートナーと手を組みましょう。
BtoBマーケティングの成果は、戦略設計の質で決まります。ferretソリューションは、2,000社以上の実績と体系化されたノウハウに基づき、中堅企業の貴社が抱える「成果の出ない広告運用」という課題に対し、戦略設計から実行、内製化支援までを柔軟にサポートします。戦略を見直したい、専門家の支援を受けたい、リソース不足を解消したいとお考えの方は、まずは事業全体の課題を明確にするための無料の相談会をご活用ください!
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